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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ナンプラ州の旅

2019-06-13 00:00:15 | モザンビーク

普段滞在しているモザンビーク・ザンベジア州から、北隣にあたるナンプラ州に行ってきました。

州都ナンプラは国内2番目の都市。私が住む街キリマネはナンプラの次の国内3番目の都市らしいですが、2位と3位の間には大差があります。キリマネに比べるとナンプラは大都会です。
そのぶん治安もよろしくなく、同行した同僚(モザビ人)は到着直後に引ったくりに遭いました。現金だけ抜き取られたバッグが発見されたのは翌朝、ホテルのそば。

なんか手口が鮮やか。これはプロの仕業です。きっとナンプラには、そんなプロの犯罪者がゴロゴロいるのです。

そう考えたら、街を行くヒトたちからこちらに向けられる視線もなんだかトゲトゲしく感じられてしまう。
安全なキリマネでノホホンと過ごしてきた我々は、今後注意深く旅を続けるべく自らに喝を入れたのでした。

 

白い教会と青い空。治安が悪いくせに妙に清潔感のあるナンプラ風景であります。

 

 さすが大都会、地方から来たクルマが渋滞しています。キリマネでは見られない風景です。

気を取り直してナンプラから東の方角へ。この州の稲作の中心地である海岸地方に向かいます。
車窓からの視界には岩山が点在しています。奇妙な形をしているのもあり、見てると結構楽しい。

 

ほら、これなんかアフリカ人男性の横顔に見える。

  

舗装路はすぐに未舗装路に変わり、砂地にタイヤを取られたり、デコボコ揺られたりしながらおよそ4時間の行程の末、アンゴシェ市に着きました。 

アンゴシェは海に面したきれいな街です。メインストリートは往復6車線くらいある広い道で、ゴミなんか一つも落ちていない。人口はさほど多くなく(およそ10万人)、そのほとんどがイスラム教徒です。街も静かでモスクでのお祈りの時間を知らせる街頭放送以外はあまり騒音もありません。なんだか季節外れのリゾート地みたいな雰囲気。真昼でも夕暮れ時のような老成感があります。滞在した4日間のうちにイスラム教のラマダン(断食月)が明けて、さすがにその日だけはとても賑やかでしたけど。

海に面しているので魚がおいしくて、滞在中は毎日夕暮れ時になるとメインストリートのどん詰まりにあるシーフード・レストラン(というかメシ屋)に通いました。ざるにのせられた穫れたての魚の中から好みのものを選ぶと炭火で焼いてくれるんです。でも注文してから火を熾(おこ)したりするので、料理ができるまでに大抵1時間ぐらいかかってしまいます。

Peixe grelhado com arrozであります。ポルトガル語で言うとちょっとカッチョ良いですが、単に「焼き魚とゴハン」という意味です。

じっくりと炭火で焼かれた名前も知らない馬面のサカナ。新鮮で身がぷりぷりしていて、すごくうまい。こういう魚はナイフ・フォークを使わずに手づかみで食べるとさらにうまくなります。骨の有無もわかるので安心です。最後はアタマの肉もほじくり出して食べ、骨までしゃぶってしまいます。

ゴハンはココナツミルクで炊いた白飯。サカナもうまいけど、メシもうまい。ココナツミルクの甘い風味が食欲をそそります。Muito bon! (スゴくおいしい!)などと言いながらオカワリしてしまう。

 

満腹になって店を出て、見上げた空は降るような星空。画像のほぼ中央に南十字星が光ります。その右、3時半の方角にはニセ十字も写っています。

(この項、続く)

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おいで一緒に、私たちと。

2019-05-27 12:03:13 | モザンビーク

今年の1月に撮影したビデオです(歩行中に撮影したので画面が揺れます)

 

田んぼ仕事の後、歩いて村へ帰る農家のオバサン・オジサンたち。仕事を終えた充実感からか誰からともなく歌声が上がり、すぐに全体的なコーラスになります。

このビデオでは良く聞こえませんがリードボーカルがいて「私たちは種子を手に入れた」とか「みんな手に鍬を持っている」とかのセリフをアドリブで歌っているんだそうです。それに答えるかのように他のみんなが「オノーノネアモーエ、オノーノエアモー」をリピートする。これは「一緒にいらっしゃい、共に働こう」という呼びかけなんだそうです。

私たちには種子も鍬もある。共に働き、収穫時の喜びを分け合おう。

なんとも協調心に溢れたコーラスじゃありませんか。懐を開き、他者を仲間として受け入れようとする。こんな労働歌が笑顔で力強く歌われるのです。私は素直に一緒に働く喜びを感じたものです。

あの時田植えした水田も、もう稲穂が揺れています。そろそろ収穫の喜びを分け合う季節です。

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茹でマンゴー

2019-01-07 01:10:04 | モザンビーク

あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

モザンビークのザンベジアではマンゴーが11月頃から食べられるようになります。
私は果物にはほとんど興味がないのですが、マンゴーだけは別です。いくら食べても厭きが来ない。

農村周辺には多くのマンゴーの木が自然に生えております。木の持ち主が明確でないため、どのマンゴーの実も取ったヒトのものになります。だから食べ放題。なんかパラダイス。周辺住民全員サル化。
たわわに実ったマンゴーの木の下に立ち、好みの熟度の実を選びます。実をもぐとき、樹液が噴き出すことがあるので注意する必要があります。皮膚についてもあまり害はないと思いますが、マンゴーはウルシ科の植物ときいておりますので、一応警戒しています。

実に歯を立てて皮をむきます。

品種にもよりますが、オレンジ色に熟れたマンゴーの果肉には柔らかさとともに微かな粘着性があり、純粋に食感だけを比較すると琵琶の実に似ているような気がします。木材の香りを希薄にしたようなタンニンの風味が果肉の甘みを惹きたてる。厭きが来ないので満腹するまで食べちゃったりすることがあります。

先日出会った農家は農作業のかたわら、マンゴーを茹でてました。

「茹でたマンゴー」は語感が似てはいますが「ゆで卵」とは完璧に別物であります。
言うまでもないことでありますが。
むしろ言わないほうが良かったような気もしますが。

本来生食を基本とするマンゴーを茹でるとは、なんだか奇習のように思えます。
豊富に手に入るマンゴーを生で食べるのに厭きて、かといって農村周辺には他に簡単に手に入る食料も見当たらないので、仕方なく加熱して味を変えて食べているのでしょう。まったく気が進まなかったのですが、強く勧められて断り切れず、いただくことにしました。

 

 

手渡された実は柔らかく膨らみ、皮がブヨブヨになっています。

うへぇ。まずそう。

その感覚は、例えは悪いけどカエルの腹に似ています。
爪を立てて皮をむくと裂けるように割れました。皮の裏に果肉が張り付いています。色も香りもマンゴーですが見た目は別物のよう。
恐る恐る口に含むと……、

あれっ? なんで? コレうまいじゃん!

あんこのようにねっとりと柔らかく、強い甘みが舌にまとわりつきます。加熱によりタンニンが抜けたのでしょうか。渋みがなくなったぶん、甘みが強調されたようです。
そして、更にびっくりしたのはその味。どういうわけか焼き芋の味がするんです。じっくり丁寧に焼かれた甘い焼き芋の味。おいしい。
大きめのマンゴーでしたが、夢中になってペロリと食べてしまいました。いやー、おいしかった。

農家によると、茹でることで味が変わるだけでなく、もしも虫食いだった場合は加熱で虫を殺せるというメリットもあるそうです。

食わず嫌いは生涯の損。食べてみなけりゃその味はわからない。

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マプト空港

2018-10-24 01:13:03 | モザンビーク

年に数回、モザンビークでの任地キリマネと日本を往復する生活をしております。

出入国の際、キリマネには国際空港がないので首都マプトの空港を経由することになりますが、このマプト空港がクセモノなんです。空港のトラブルと言えば荷物の紛失とか搭乗便の遅延が一般的ですが、マプト空港のトラブルは主に空港職員による種々のタカリとチョロマカシであります。

 モザビから日本へ帰国する際のこと。

航空会社のカウンターでチェックインしたあとに出国監査を受けますが、その前にセキュリティ・チェックがあります。主に搭乗前の持ち物検査がその目的で、手荷物の中身をX線で透視し、搭乗者が不審な金属製品や液体を持っていないか探知機でチェックするんです。
私の手荷物は、いつも身に着けているウェストバッグと、パソコンなどの精密機械を入れたバッグだけです。どちらのバッグにも特に目を惹くようなものは入れないように気をつけています。
マプトの空港警察官が最も注意深くチェックするのは搭乗予定者の財布です。モザンビークには現地通貨紙幣の国外持ち出し厳禁というルールがあるそうで、500メティカルス(約925円)以上の紙幣を持っていると即座に没収されるんだそうです(コインはお咎めなしです)。
今までの経験ではほぼ毎回、チョロマカシ目的の警察官がバッグを開けて中身をチェックします。X線の透視で特に不審なものが見つからなくても、です。

既に10回以上もモザンビークの出入国を繰り返している私です。

「バッグノ中身ヲ見セロ」

という要求に驚くことも反抗することもせず、

あー、はいはい。

という感じで素直にバッグを開けます。
警察官は財布を探り、紙幣を探します。
低額紙幣を数枚入れただけ(100メティほど)の私の薄い財布に意外そうな表情で、

「メティカル、モット持ッテルダロ?」

いえ、ありません。全部使いました。

「ホントニ?」

ええ、本当です。

そんなはずはない、絶対に持っているはずだ、と私のウェストバッグの隅から隅までくまなく探します。「メティカル紙幣国外持ち出し禁止令」という大義名分がありますから、極めて大っぴらにしつこく捜査します。多額の紙幣持ち出しが発覚したとしても別に送検されるわけではなく単に没収するだけなので、警察官にとっては「オイシイ捜査」なんです。

 この間、モザンビーク人(と思われる)搭乗者が何人もお咎めなしのノー・チェックで通り過ぎて行きます。紙幣持ち出しを疑われるのは、どうも外国人搭乗者だけのようです。

 結局紙幣は見つからず(絶対に見つからないように隠しているので当然ですが)放免されますが、毎回繰り返すこのプロセスが本当にめんどくさくて疲れます。実質的にはまだモザンビーク国内にいるにもかかわらず、セキュリティ・チェックをクリヤした時点で、すでに日本への帰路の半分以上をこなしたような気分になるほどです。

 やれやれ。

 出国監査も済ませてホッとしてトイレに行くと、掃除係のオバチャンが

「チップチョーダイ」

またも金銭の要求でありますが、この場合はなんとなく許せる気になって、ちょっと多めにコインを渡したりして。

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カシューナッツ

2018-03-13 23:38:00 | モザンビーク

カシューナッツは今でこそ日本でもかなりポピュラーな食べ物になっておりますが、もともと熱帯の産物であるため日本国内で手に入る物はすべて輸入品で、昔はかなり高価な物だったように記憶しています。また、すでに一般的だったアーモンドやピーナッツなどの同様のナッツに比べて食感がちょっと柔らかく、その柔らかさに絡む甘みがとてもやさしく感じられ、勾玉状の外観も相まって、少々高貴な印象を感じていました。ナッツ界のプリンセス。

先日、稲作農家を訪問して簡単な技術指導をしていた折、帰り際に村のオバチャンが包みを持たせてくれました。

「良かったら帰りのクルマの中で食べて」

開けてみると、中は焼きカシューナッツでありました。


ピーマンみたいなカシューの果実の先に着いた種子の部分を取り、天日で乾燥させて熾火の中でじっくり焼き、硬く焦げた殻を棒などで叩き割って取り出したものです。市販のものと製法そのものは同じだと思いますが、村の製造手段は少々原始的です。見てくれもさほどキレイじゃない。渋皮がしっかりとこびりついています。

 収穫後に天日乾燥しただけのものですから、乾燥機などを使う工場製品に比べて乾燥具合が徹底していません。ムラがある。ですが、その分しっとりとした食感が強くなります。ナッツというより焼き栗に似ている感じ(栗の実もナッツに分類されますが)。日本で食べるような収穫されてから長時間経過したものではなく、「産地直食」とでもいうようなカシューナッツであります。種子の中にカシューの果実が持つ甘みが色濃く残っているように思え、その味は新鮮でありながらなぜか懐かしく感じます。

 

 焼いた後に硬いシェルを叩き割っているところ。イモムシみたいに見えますか?

 

爪の先でくすぐるようにして渋皮をはがす細かい作業も、めんどくさいけど楽しかったりする。

栗と違うのは、いっぱい食べてもあまり転失気(オナラ)が出ないことかな?



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