18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

はちみつとクローバー

2009-01-31 11:24:20 | 映画
 漫画が原作のほろにが青春映画。美大を舞台に5人の男女がそれぞれ恋愛に揺れ、才能に嫉妬するなかでまた新たな一歩を見つけて踏み出すまでを描いた、ちょっと昔懐かしい設定の映画。

 “青春”なんていう言葉自体が最近聞かれない。昔、日本テレビ系列だったか“青春”シリーズから“俺たちの旅”あたりまでのドラマにあるような、高校生や大学生の日常を舞台にしたものも少ない昨今。ちょっと懐かしい感じがした。

 実はこの映画を借りようと思ったのは、別の映画の中での予告編を見たことがきっかけだった。120号~150号ぐらいありそうなキャンバスに向かって蒼井優演じるはぐみが描いていた絵があまりに印象的だった。若くして亡くなったスペインの天才画家トレンツ・リャドのようなインパクトがあった。

 それいらいずっと気になっていた映画。


 内容は、櫻井翔君演じる、美大3年生の竹本裕太が、同じ美大に通う不思議な雰囲気を持つ少女花本はぐみ(蒼井優)に出会い恋に落ちるところから始まる。もともと蒼井優じたいちょっと雰囲気を持っている人なので、役作りに全く違和感もなく、いやそれ以上にもしかしたら素の蒼井優ってもしかしたら・・・と思わされてしまう。

 美大生だから、みんなそれぞれにとても個性的だけども、同じ美大でも建築科に通う竹本裕太と油絵科のはぐみではあまりにも才能の種類が違いすぎる。その二人の間に彫刻科8年生の森田忍(伊勢谷友介)が登場する。天才肌の忍とはぐみはもちろん波長が合う。言葉を交わさない分それがうまく映画のなかで表現されている。そこに竹本裕太の嫉妬が絡んで話がまわりはじめる。


 映画としては普通の、ごくごく普通の青春片思いストーリー。安心して観ることが出来る。こういう映画が親子で観ることが出来て感想を言い合えるととても意味があるかもしれない。がんばれ若者!と応援したくなる。


 調べたら、あの絵はMAYA MAXXさんが描いたらしい。MAYA MAXXさんのホームページは、http://mayamaxx.com/japanese/



 監督・脚本:高田雅博
 原作:羽海野ちか
 主演:櫻井翔、蒼井優





マリッジリング

2009-01-30 17:11:46 | 映画
 失楽園の渡辺淳一原作のロマンス映画。といっても不倫映画だから基本的にはストーリーは見えている。わざわざ映画にする必要があったのか・・・と思いながらレンタルで鑑賞。

 主人公はごく平凡なOL森谷千波(小橋めぐみ)。その千波が、新たに着任した上司の桑村紀夫(保阪尚希)に惹かれてゆき身体の関係を持つなかで揺れ動く心を描くというストーリー。

 千波も自分のやっていることが良くないことと分っていながらも、深く悩むそぶりは見せず、紀夫がだれかの夫であることにどこか安心感を持っている。男のほうはといえば、あまり後先考えずに清楚でどこか凛とした瞳のかがやきを持つ千波を情熱のまま愛している。

 逢瀬を繰り返す二人だが、ある日紀夫がマリッジリングをハズして来た。それに気づいた千波は・・・。


 

 こういう原作は作りを深くこねくり回すことは出来ません。淡々とした日常を描きながら不倫を楽しむ二人を自然に描くしかない。なんでもない会話や視線で二人の心のあやが描かれているが、これはそれなりの年齢にならないと理解しにくいでしょう。


 小橋めぐみがとてもうまく「上司が思わず不倫したくなるOL」の雰囲気を作っているのは最高。とてもチャーミングで凛とした雰囲気を持っているのだけども、少しスキがあってどこか小悪魔的で毒をもっている。妖艶ではいけないし、乾いていてもいけない。身が固いようでもダメ。すごく微妙なところを演じている。自然に魅せることができているのはすごい。


 保阪尚希さすがベテラン。小橋めぐみが中心であることを分っているから自分が目立つのではなくて、小橋めぐみがより魅力的になるように、ごく普通のサラリーマンを演じている。この上司が色気バリバリでやり手で・・・なんていうのじゃないから映画として成り立っているとも言える。保阪尚希の力量と監督の力でしょう。




 不倫は文字通り、倫に外れたことだからいけないが、人は弱い生き物だから、寂しい生き物だからいつもだれかと心を交わしたいと思っている。


 心を交わす為には別に男女は関係ないし、身体の関係も必要ではないということも改めて分っておいた方がいいと思う。心だけが行き来している実感があるだけでも救われる。


 携帯電話が一人一台持てる時代。もっと恥ずかしがらずに積極的に心を交わし合うことで豊かな日々を送ることが出来ると思う。


 この映画を見てそう思った。でも小橋めぐみはかわいい。



 監督・脚本:七里圭
 原作:渡辺淳一
 主演:小橋めぐみ
 公式サイトURL:http://www.m-ring.jp/

 映画としては100点満点で60点ぐらい。







戦場のレクイエム

2009-01-25 20:07:55 | 映画
 1946年~51年頃の中国の内戦を部隊に描かれた中国映画。中国としては巨額の17億円の制作費を掛けた史実にもとづいた映画。

 1946年といえば第二次大戦終戦の翌年。それまでの中国は抗日ということで1つに結束していたが、日本の敗戦後、新しい中国の建設を巡って毛沢東率いる共産党の人民解放軍と、蒋介石が率いる国民党が激しい内戦を繰り広げていた。

 この映画はその同じ国民同士が戦うという内戦でも特に激しいと言われたうちの淮海(わいかい)戦役で、部下47人を失った悔恨と死んでいった47人に対する国の扱いへの憤りの間で苦悩する連隊長の心を描いている。

 この連隊長が率いる第9連隊は、炭坑跡地を守ることを使命として与えられるが、武力も劣るなかで死者は増加。遂に連隊は全滅する。

 ただ一人残ってしまった連隊長は、それでも軍の為の名誉の死だと考えていたが、実際はその連隊も、その連隊が所属する第139師団さえ歴史から消されていることに持って行き場のない怒りを感じる。

 あらゆるつてをたどって行く中で、第139師団の存在が確認され師団長の陵で衝撃の事実を知らされることになる。




 戦争映画で部下を亡くし、自分だけ生き残ってしまったことに対して自分の幸福と悔恨の間で悩み、苛まれ続けるという話はこの手の映画に時折見受けられるが、「部下の誇りの為に」というのはとても珍しい。


 戦争の惨たらしさや戦死した人へのその捧げた命への思いなどを伝える映画ではなく、ただ一人の男の心がそのまま等身大で描かれているのがとても印象的だった。

 彼は、名前が分らない戦死者を葬った墓地で、地面に刺さった気の棒に書かれている「無名」という文字を、不自由になった目で一つ一つ確かめるシーンがある。

 そこでの彼の一言がとても印象的だ。

      「親からもらったのに、なんで名無しになるんだ。」

 

 いかに軍隊のためであれ、国のためあれ、一人一人の人間のことを大切にしないのは間違っていると主張しているように受け止めることが出来た。


 なかなかの作品だと思う。

 
 監督:フォン・シャオガン
 脚本:リウ・ホン
 主演:チャン・ハンユー



大阪ハムレット

2009-01-25 08:27:28 | 映画
 東京国際映画祭にも出品された映画「大阪ハムレット」。

 見逃してしまったので、気になってたらラジオで「これはいいですよ」との話。そりゃ見にいかねばと出かけましたが、うんうんいいね。こころ暖まるハートウォーミングムービーでしたわ。

 舞台は大阪の下町、玉造界隈。映画はごくごく普通の5人家族の普通の朝の風景から始まる。しかし普段と違うのはその家族のお父さんが、映画に登場もせずに(笑)死んでしまう。

 父親を失った家族に突然現れる、この死んだ父親の無職の兄(岸部一徳)は何故かそのままこの家族と同居してしまう。

 高校受験を控えたふけ顔の長兄は道ばたで出逢った教育実習生に一目惚れし、大学生と偽ってつきあい始める。

 やんちゃばっかりしてる次男はひょんな事からハムレットを辞書を片手に読み始め一人哲学しはじめ、身体の小さい三男は、真剣に女の子になりたいと言い出す。

 そこに母の妹が加わり、主要な登場人物が揃う。

 母は、夫の死で開き直ったのか覚悟したのか、そういう家族達をありのまま受け止めしっかり毎日を暮らしていく。その生き様がなんとも包容力があり、いい家族を作るのはこんな母親なんだろうなと思う。

 平凡な毎日の中にも実はたくさんの出来事があって、悩んだりするのだけどもこの映画の中の台詞のように自分のことを捉えられたら人生楽しいだろうなぁと思いました。

 「わたしら生かされとんねん。男でも女でも生きとったらどっちでもええわ」

 
 この映画の中の次男の通う中学の先生、サイコーです。
 

 監督:光石富士朗
 出演:松坂慶子、岸部一徳、間寛平、森田直幸、久野雅弘、大塚智哉
    本上まなみ、加藤夏希、

ワールド・オブ・ライズ

2009-01-23 10:10:39 | 映画
 なかなかいい感じの映画。原題はBody of Lies。でもBodyって何のことか分らないので、邦題ではWorld of Lies。Bodyは団体とか組織という意味もあるのでこっちのほうが映画の内容にはフィットしそう。

 肝心の映画はというと、これがなかなかいい。中東にスパイとして潜入しているフェリス(ディカプリオ)とそれを米国から指揮するホフマン(クロウ)。それぞれの立場の違いもあって十分な意思疎通ができない。しかしホフマンは、フェリスの有能さを認めていてさまざまな重要案件に彼を起用する。

 最前線で活躍するフェリスと米国内で指揮するホフマンという同じアメリカ人、同じ組織で、同じ目的の為に活動する二人の視点の差がとても分りやすく自然に描かれている。そしてそこに登場する、この物語に欠かせないのがマーク・ストロング演じるハニ・サラーム。

 この映画のタイトルのライズ(嘘)とまったく逆の(真実)がハニの組織での掟。このハニとフェリスが一つの作戦の為に手を組むが、フェリスの案でもう一つの作戦が動き始めていた。それはハニの掟に逆らう物だった。

 構成も脚本も素晴らしくて、またサスペンス映画に欠かせない美女の登場も物語のテンポをうまくコントロールしている。

 映画の最後に、スパイを引退して中東に住みたいというフェリスと現役を進めるホフマンとの会話が印象的。米国の中東に対してのあり方を批判する一言となっている。
 
 「あんな所に住むのか?」

 「中東をそう思っているというのが問題だ」

 映画の最初のエピソードに重ねるとよりその意味がわかる。

 監督:リドリー・スコット
 主演:レオナルド・ディカプリオ、ラッセル・クロウ