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戦場のレクイエム

2009-01-25 20:07:55 | 映画
 1946年~51年頃の中国の内戦を部隊に描かれた中国映画。中国としては巨額の17億円の制作費を掛けた史実にもとづいた映画。

 1946年といえば第二次大戦終戦の翌年。それまでの中国は抗日ということで1つに結束していたが、日本の敗戦後、新しい中国の建設を巡って毛沢東率いる共産党の人民解放軍と、蒋介石が率いる国民党が激しい内戦を繰り広げていた。

 この映画はその同じ国民同士が戦うという内戦でも特に激しいと言われたうちの淮海(わいかい)戦役で、部下47人を失った悔恨と死んでいった47人に対する国の扱いへの憤りの間で苦悩する連隊長の心を描いている。

 この連隊長が率いる第9連隊は、炭坑跡地を守ることを使命として与えられるが、武力も劣るなかで死者は増加。遂に連隊は全滅する。

 ただ一人残ってしまった連隊長は、それでも軍の為の名誉の死だと考えていたが、実際はその連隊も、その連隊が所属する第139師団さえ歴史から消されていることに持って行き場のない怒りを感じる。

 あらゆるつてをたどって行く中で、第139師団の存在が確認され師団長の陵で衝撃の事実を知らされることになる。




 戦争映画で部下を亡くし、自分だけ生き残ってしまったことに対して自分の幸福と悔恨の間で悩み、苛まれ続けるという話はこの手の映画に時折見受けられるが、「部下の誇りの為に」というのはとても珍しい。


 戦争の惨たらしさや戦死した人へのその捧げた命への思いなどを伝える映画ではなく、ただ一人の男の心がそのまま等身大で描かれているのがとても印象的だった。

 彼は、名前が分らない戦死者を葬った墓地で、地面に刺さった気の棒に書かれている「無名」という文字を、不自由になった目で一つ一つ確かめるシーンがある。

 そこでの彼の一言がとても印象的だ。

      「親からもらったのに、なんで名無しになるんだ。」

 

 いかに軍隊のためであれ、国のためあれ、一人一人の人間のことを大切にしないのは間違っていると主張しているように受け止めることが出来た。


 なかなかの作品だと思う。

 
 監督:フォン・シャオガン
 脚本:リウ・ホン
 主演:チャン・ハンユー


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