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前回は声優について少し触れた。成功率は5万分の3ぐいかとも書いた。
それでも生きがいがある道はゼロではない。
今日は歌手、特にストリートパホーマンスについて少し触れよう。
10年ぐらい前から街角で歌う歌手・グループが増えた。以前は渋谷ホコテンで100を超える歌手・演奏家が大音響でプレーしていた。あまりのやかましさで中止になる。
野外は反響が無い。雑音もある。音響設備も弱い。当然、声帯を無理する。98%までが音声障害でドクターストップがかかる。
ステージ代金も要らず、観客を集める苦労も少ない。手製のCDを2,000円で売り、チラシをまいてミニライブの案内をする。1回でCD売上20万円なんてツワモノもいる。しかし声は壊れる。
声帯さえ怖くなければ街角ライブは最高だ。自分の目標は「街角ライブだ」と言う人もいる。
そんなわけで街角ライブ歌手が増えて、警察は取締りを強化している。1時間で他に移動しなければならない。当然、CDの売上も減る。値段も安値合戦で1500円、1200円と下がる。
低音が出なくなり、高音が苦しくなる。当然声の響きは悪い。声帯は慢性的に赤くはれて、風邪を引くと全然歌えない。それでも続けると声帯結節で手術となる。
声帯手術は経験と腕が必要だ。経験の浅い医師に保険で手術を頼むと後がおかしくなるケースが多い。
先日、近くの大きな病院の待合室で声帯手術を受けた老婦人の声を聞いた。しわがれていた。完璧であれば澄んだ綺麗な声のはずだ。恐らく声帯の皮膚の下の筋肉を削り取ったと思われる。表皮は再生するが下にある筋肉は再生しない。これで音質が悪くなる。
街角ライブの歌手は相対的に貧乏な人が多い。野球の王監督のように最高の医師に手術を受けられないだろう。つまり声帯手術は保険外で最高の手術が安全だ。100万円から300万円は必要かも。
街角歌手は声帯を壊し、お金が無いので安く治す。そして声質が変わり、少し歌うと声が疲れる。回復も遅い。
何十万人の若者が歌手目指す。その大半が声帯を壊す。声帯手術はある意味で恐ろしい。それを知っている若者はほとんどいない。
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