手術が終わった。約80分だ。
意識があるので、緊張する。
血圧が190にもなる。
途中で中止になるのではと気をもむ。
執刀医が小声で助手と話すので、気になる。
比較的簡単な手術だが、失敗もあり得る。
年齢で小水の時間が早い。
途中でお漏らしするのではと心配だ。
それで血圧が又は上がる気がする。
右手上腕部を締め付けて、血流を止めているので腕が痺れる。
左手には血圧の空気ベルトがあり、時々猛烈に締め付ける。250以上まで空気圧をあげるので、腕が千切れそうだ。
段々小水が漏れそうなので、早く終わってくれと医師を急かす。
メスを入れる痛みはないが、血流止めと血圧測定の締め付けが辛い。
終わった。直ぐにトイレにはしりたい。
丸太ん棒のように包帯が巻かれ、裸の体で自分の衣服の袖が入りにくい。
手術室は何故か寒い、看護師が布団乾燥機のエアーバックのようなもので、暖かくしてくれた。
簡単な手術なのに大変だ。
大変なのは手術前の消毒だ。500mlはゆうに使うぐらい流す。
親指には鞘が4本ありその一番目を切り開く。中を通る筋が引っ掛からないためだ。
あとは開きっぱなしだ。
最終的打ち合わせの時に、あの超小さな精子のDNAの中にこんな腱まで書き込まれているとは、と驚きを医師に発する。
本当に人間の体は良くできている。