下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

『有栖川有栖の鉄道ミステリ・ライブラリー』

2011-01-07 19:06:52 | 
新年最初の読書も有栖川氏関連で♪
古今東西の鉄道にまつわる短編作品が収められた有栖川氏編集のアンソロジーです。
広義のミステリということで、ショートショートや漫画など、ジャンルを問わずに収録。


☆「青いスパンコール」 オースチン・フリーマン/大久保康雄 訳
 ホームズのライバル(?)、ソーンダイク博士の活躍。
 1人しか乗っていない車両で、その1人が頭から血を流して死んでいた・・・
 かなり強引ですが・・・現在の科学捜査系作品群の元祖ですね。

☆「地図にない町」 フィリップ・K・ディック/仁賀克雄 訳
 ある日、駅の窓口に来た男は「存在しない町」への切符を買おうとするが・・・
 次元のゆがみ的なSFテイストの作品ですが、読後にずーんと怖くなってきます。

☆「メビウスという名の地下鉄」 A・J・ドイッチュ/三浦朱門 訳
 地下鉄から、運行中の電車が乗客ごと消えた・・・!
 数学小説(?)ということだそうで、理論的にはサッパリ分かりませんが、
 広中平祐先生の特異点理論もジェットコースターに例えられてたから、アリかな。

☆「高架殺人」 ウィリアム・アイリッシュ/村上博基 訳
 電車に乗っていた刑事の目の前で、乗客の男は銃殺されて・・・
 これは、探偵役のスティーブンがあまりにも体力なくて笑えてしまいます(^^;
 このマイペースキャラ、他の作品もあれば読んでみたいかも!

☆「4時15分発急行列車」 アメリア・B・エドワーズ/泉川紘雄 訳
 休暇を楽しむために友人の館へと向かう主人公は、列車で見知った男と一緒になるが・・・
 よくあるタイプの怪談かもしれませんが、犯人を探す場面が結構面白かったです。

☆「泥棒」 雨宮雨彦
 戦争中に金塊が隠された機関車を、一晩のうちに車庫から盗み出した泥棒の話・・・
 大きな蒸気機関車を丸ごと盗むのですから、スケールが大きい話ですね。

☆「江ノ電沿線殺人事件」 西岸良平
 鎌倉で画家が殺されたが、最も怪しい容疑者には鉄壁のアリバイが合って・・・
 漫画なんですけど、どこかで見た絵柄だな~と思ったら「三丁目の夕日」の作者でした。
 これは予想通りのトリックでしたが、漫画だとほのぼのしますね♪

☆「0号車/臨時列車/魔法」 江坂遊
 ある日、体調の悪いまま列車に乗った男が体験したこととは・・・?(0号車)
 これはショートショート3作ですが、鉄道の特性を生かした面白い作品でした☆
 「臨時列車」が、じっくり考えるとすごく怖いです(^^;

☆「田園を憂鬱にした汽車の音は何か」 小池滋
 佐藤春夫の「田園の憂鬱」に出てくる真夜中の汽車の音の謎にせまる!
 これは随筆というよりは個人研究っぽいこだわりの発想なんですけど、
 佐藤春夫に教えてあげたいかも・・・まさに日常の謎系の傑作です。

☆「箱の中の殺意」 上田信彦・有栖川有栖
 駅に送られてきた箱の中には、女の死体が入っていた・・・
 ≪推理トライアスロン≫というイベントのために書かれた脚本等を収録。
 かなり楽しめる犯人当てで、私はかなり細かいところまで正解しました♪


普段鉄道に乗ることのない私から見ると、鉄道に乗ることは未知の世界への旅。
そういう、どことなく日常と離れた空間は、ミステリの現場にぴったりなのかも。
有栖川氏の鉄道への愛+素晴らしい作品への愛が感じられるアンソロジーでした☆