下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

瀬名秀明『八月の博物館』

2007-11-26 23:22:26 | 
この本が瀬名氏の3作目の長編か~と思ったものの、
何となく買おうとまで心が動かなかったとき、巻末を見たら・・・
解説・有栖川有栖氏!! ふむふむ・・・買おう!と即決でした(笑)


ミステリ作家の「私」は、何かに引かれるように真夏の「恐竜展」に向かう。
博物館の中でフーコーの振り子が発する地球の振動音を自覚した「私」は、
ついに「物語の始まり」を思い出した・・・
19世紀のエジプト学者オーギュスト=マリエットの発見したアピス像の謎。
少年トオルがあの夏に不思議な博物館で少女ミウと体験した冒険。
作家の「私」がつむいでいく物語の先には、一体何が待っているのか!?


メタなのはあまり読まないぞと言っていたのに、冒頭から結構なメタっぷり(^^;
しかし、読後感のこんなに素敵な物語だから、嫌じゃなかったです。
いやむしろ、必然かな。
詳しくは申せませんので、読んでいただけると分かると思いますが。

この物語の中に出てくる博物館は本当に夢のような場所です。
何故なら、世界中の色々な博物館につながる部屋がたくさんあるのですから。
しかも客は自分だけで、名画や彫刻など、自由に手を触れることもできるのです。
それを可能にしているシステムはさておき、
こんな博物館があったら、色んなことに興味を持って楽しめそうですね♪

さらに、この中には世界中の古今東西の書籍が集まる図書館も完備!
すごいのは、どの言語に翻訳するかも選択できてページごとに翻訳文が読めること。
そして、印刷したいページの隅のマークを押すと印刷も自動的にやってくれる。
調べたい言葉が出てきたら辞書が横に出てきて、すぐ引けるようになっている・・・
こんな図書館があったら、毎日でも通いたいですね!

今まで理系バリバリの作品を世に出してきた瀬名氏ですが、
この作品はそんな枠から離れて、非常にのびのびと展開していると思います。
もともと、ファンタジーに対する指向が強いのではないかと思っていたので、
こういう作品の方が、好きなことが書けるんじゃないかな~。

ちょっと瀬名氏のイメージが変わった本でした。