下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
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貫井徳郎『慟哭』

2007-11-19 23:11:13 | 
貫井氏の作品は、以前アンソロジー『「ABC」殺人事件』で読んだきりですが、
最近ちょっと手を広げてみようと思ったりもしているので、
貫井氏ご本人が、「読むなら最初にこれを」とおっしゃるこの作品にしました。

行方不明になった幼女の遺体が発見される。殺人であった。
数ヶ月前に起こった幼女失踪事件と合わせての連続殺人が疑われ、
若手キャリアの筆頭である佐伯捜査一課長が陣頭指揮を取り、捜査が始まった。
ところが、捜査は難航を極め、大きな手がかりの無いまま、第3の犠牲者が!
一方、心に大きな空洞を抱えた男が救いを求めて新興宗教にのめりこんでいく。
その微かな光の先に彼がたどりついた答えとは?
二つのストーリーが読者に深い悲しみの「慟哭」を見せていく・・・

奇数章では、一人の男が心の空洞を埋めようとする軌跡が描かれています。
彼が新興宗教に救いを求め、ハマっていく過程が非常に興味深いです。
わ~、次にどうなっちゃうんだろう、と心配になったり。
そういえば、最近は街頭勧誘とかあんまり見ない感じですね~。

偶数章では、幼女連続殺人の捜査が敏腕若手キャリアの佐伯を中心に行われます。
この佐伯捜査一課長、出自や家族関係なんかに暗い影を持っていて、
捜査もさながら、彼の苦悩がこの章の中心となっているような気がします。

この二つの章が、微妙な場面で次々とチェンジするので、
読んでいて連続ドラマを2本見ているような感じがするんですよね。
どっちの話も、続きが早く知りたいよ~!というタイミングで交代するのがニクイ!(笑)

で。読み解けたかというと、かなり前半から見当がついていました。
まあ、ある意味、私もスレてきたのでしょうね(^^;
ここまであやしい伏線のような展開が多くて、登場人物の性格もあれだと・・・

だけど、どんよりと暗い読後感です。
どこかで、ボタンを掛け違えたのでしょうね。
「強い」ということの意味を考えさせられる作品でもありました。