下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
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竹本健治『ウロボロスの偽書』

2007-11-12 23:39:34 | 
メタの大御所ということで、今まで読んでいなかったのですが、
作中にミステリ関連諸氏が出てくる興味というのもあってチャレンジ。

ミステリ作家竹本が雑誌に連載を始めた『ウロボロスの偽書』という作品。
その中には、連続殺人鬼が書いたと思われる章、
竹本氏が身辺をつづったという体裁の章、
竹本氏の創作による芸者をめぐるミステリの章、
この3つの章が何の脈絡もなくつづられている。
ところが、独立した章のはずが、それぞれ他の章を侵食し始めて・・・
謎と混沌に満ちた作品は、一体どこにたどりつくのか?

これは・・・かなり「痛い」場面も多い作品でした。
でもまあ、読み始めたものは仕方ないので読み進んでいきましたけど。

ウロボロスというのは永続性を表すもので、
自分の尾をくわえた蛇もしくは竜という姿をしているそうです。
で。この作品を読んで想像したのは・・・キングギドラ(笑)
3つの章が、3つの頭なんですね。
真ん中の頭が支配してると思ってたら、実は右の頭が・・・
と思ったら左の頭のふりして、真ん中が絡んでる、みたいな。

作家としての竹本氏&実在の人物が多く出ていることで、
「内輪受け」みたいなレッテルを貼られることも多いこの作品ですが、
実は作品の意図上、必然だったというのが本当のところかも。
要は「実際にあったこと(事実)として書かれているもの」と、
「作品(虚構)として書かれているもの」が、
同じ紙の上に載った場合、読者の視点で区別できるのかという問題提起。
構成をわざと錯綜させることで、虚構と実話が入り乱れ、
正直、見分けつかないよな~という結論。
ちょっと目からウロコのような気もしたこの作品でした。

でも、これは別にミステリのカテゴリでなくてもいいのでは?
う~ん。でも、やっぱり謎だからミステリなのかな・・・

メタもあってもいいと思うけど、あんまり居丈高にメタを主張されると、
メタじゃないミステリが脳天気だと言われてるみたいで、少し悲しい気が。
だから、メタな作品はたまにしか読まないぞ、と思いました。