joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

自己と“流れ”

2005年10月06日 | Book
  以前にポストした文章でアメリカの社会心理学者チクセントミハイを引用しました。このチクセントミハイの議論はもっと自分なりに消化したいと思っているのですが、読んでいる間はフムフムと納得しても、読後に記憶にフックしていない感じで、なんだかすっきりしない感じです。

チクセントミハイの議論が興味深いのは、個々人にとっての「ライフワーク」というものを実証的に議論していること。アメリカ流の自己啓発ではよく「好きなことをやろう!」と言われますが(それ自体は20世紀の重要な提言だと思いますが)、その「好きなこと」とは個人にとってどういう意味をもつのかをさしあたり突き詰めているのがチクセントミハイのように思います。

今日、ずっと図書館から借りていた『フロー体験』を返すのですが、チクセントミハイの言う「フロー」とは決して大袈裟なものでもないし、むしろ地道な体験の積み重ねです。それは必ずしも快楽を安易にもたらすのではなく、かといって苦行でもないもののようです。

チクセントミハイは人がフローに入るきっかけとして、「フィードバック」の大切さを指摘します。つまり、自分のしていることの成果が一つ一つ、結果を通して、あるいは他人との対話を通して、自分に感じられていくことです。その中で、自分の取り組むことについて一歩一歩進み、その一歩一歩の中で自然と自己が作業の中に没入し、その作業と自分が一体化することで、もはや外界は彼に対して大きな影響をもたらさず、その作業の経過それ自体が自己であるような状態を生み出すもののようです。

それは自己が消えることを意味しません。むしろ「自己」と外界との区別がなくなり、自己がまさに“流れ”の存在へと消化されるような状態です。

これはちょっと抽象過ぎる説明で、チクセントミハイ自身はもっと実証的な議論を積み重ねている人です。

また彼について話すことができればと思います。

涼風