黒人であるスパイク・リーは、これまでも様々なテーマを掲げ、様々な角度から、アメリカにおける暗部としての黒人問題を抉ってきた。
前作の「インサイド・マン」は、スパイク・リーとデンゼル・ワシントンがタッグを組んだクライム・サスペンスという体裁を取っていて、ある銀行に人質を取って立てこもった頭脳明晰な犯人と捜査官たちとの息が詰まるほどの緊張感を持続させながら進んでいったが、その最後に、歴史のある暗部が鮮やかに浮かび上がるという見事な映画に仕上がっていた。
「クローサー」のクライヴ・オーウェンと、「パニックルーム」のジョディ・フォスターの2人も力演していたし。
そんな社会派監督(なんか、こういう言い方って厭だけど)スパイク・リー監督が、今回は、史実をベースに書かれた同名の小説を映画化した戦争ドラマを作り上げた。
約3時間にも及ぶ超大作「セントアンナの奇跡」が、それだ。
80年代に突入した時期のアメリカ・ニューヨーク。
ある日、郵便局に現われた男性客を、定年が間近に迫った黒人の郵便局員が突然ピストルで射殺する事件が発生した。
警察に逮捕されたその黒人男性犯人に対して、殺人動機や被害者との関係を追及するのだが、何故か男は供述を一切拒み、家宅捜索の結果、男の部屋からは歴史的に重要なイタリアの彫像が発見される・・・。
そこから、場面は突如一転する。
第二次世界大戦下のイタリアである。
アメリカ軍の黒人だけで組織された部隊「バッファロー・ソルジャー」は、イタリア最前線でナチスと決死の攻防戦を行っていた。
激戦の最中、黒人兵の4人が、白人将校率いる部隊か戦闘中に逸れてしまい、アンジェロという負傷した少年を救ったために、ドイツ敵陣で孤立してしまう。
4人は、さ迷いながらも、トスカーナのある小さな村へ身を寄せる。
そしてそこで、彼らと村人たちとの間に、ほのかな交流が芽生えていく。ところが平和だった村に、パルチザンのスパイの導きで、ナチス軍が大挙して押し寄せようとしていた・・・。
映画は、何故、冒頭で殺人が起きたのかを縦軸にしながら、謎を紐解くかたちで進んでゆく。
しかし、映画の大半を占めるのは、第二次世界大戦下のイタリアだ。それも、風光明媚で美しいトスカーナ地方が描かれることで、残酷で悲惨な戦いとのアンバランスが、余計に際立ってゆくことにもなる。
映画評の中には、少し長過ぎる、もうちょっと短く纏めても良かったのではないかとの批判もある。
でも、個人的に言えば、短いエピソードが丁寧に豊かに重なり合っていて、それがラストの感動を生み出していることから見ても、これはこれで正解だったのではないかと思っている。
確かに、ラストは素晴らしい余韻を残す。
僕は、この映画、好きである。
前作の「インサイド・マン」は、スパイク・リーとデンゼル・ワシントンがタッグを組んだクライム・サスペンスという体裁を取っていて、ある銀行に人質を取って立てこもった頭脳明晰な犯人と捜査官たちとの息が詰まるほどの緊張感を持続させながら進んでいったが、その最後に、歴史のある暗部が鮮やかに浮かび上がるという見事な映画に仕上がっていた。
「クローサー」のクライヴ・オーウェンと、「パニックルーム」のジョディ・フォスターの2人も力演していたし。
そんな社会派監督(なんか、こういう言い方って厭だけど)スパイク・リー監督が、今回は、史実をベースに書かれた同名の小説を映画化した戦争ドラマを作り上げた。
約3時間にも及ぶ超大作「セントアンナの奇跡」が、それだ。
80年代に突入した時期のアメリカ・ニューヨーク。
ある日、郵便局に現われた男性客を、定年が間近に迫った黒人の郵便局員が突然ピストルで射殺する事件が発生した。
警察に逮捕されたその黒人男性犯人に対して、殺人動機や被害者との関係を追及するのだが、何故か男は供述を一切拒み、家宅捜索の結果、男の部屋からは歴史的に重要なイタリアの彫像が発見される・・・。
そこから、場面は突如一転する。
第二次世界大戦下のイタリアである。
アメリカ軍の黒人だけで組織された部隊「バッファロー・ソルジャー」は、イタリア最前線でナチスと決死の攻防戦を行っていた。
激戦の最中、黒人兵の4人が、白人将校率いる部隊か戦闘中に逸れてしまい、アンジェロという負傷した少年を救ったために、ドイツ敵陣で孤立してしまう。
4人は、さ迷いながらも、トスカーナのある小さな村へ身を寄せる。
そしてそこで、彼らと村人たちとの間に、ほのかな交流が芽生えていく。ところが平和だった村に、パルチザンのスパイの導きで、ナチス軍が大挙して押し寄せようとしていた・・・。
映画は、何故、冒頭で殺人が起きたのかを縦軸にしながら、謎を紐解くかたちで進んでゆく。
しかし、映画の大半を占めるのは、第二次世界大戦下のイタリアだ。それも、風光明媚で美しいトスカーナ地方が描かれることで、残酷で悲惨な戦いとのアンバランスが、余計に際立ってゆくことにもなる。
映画評の中には、少し長過ぎる、もうちょっと短く纏めても良かったのではないかとの批判もある。
でも、個人的に言えば、短いエピソードが丁寧に豊かに重なり合っていて、それがラストの感動を生み出していることから見ても、これはこれで正解だったのではないかと思っている。
確かに、ラストは素晴らしい余韻を残す。
僕は、この映画、好きである。