淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

柴崎友香の長編小説「寝ても覚めても」を読んだ。でも、ちょっと違和感あるんだよなあ。

2010年11月25日 | Weblog
 極上の恋愛小説が読みたくなる時がある。
 甘くても、切なくても、苦しさに塗れていてもいい。
 そんな素敵な恋愛小説が読みたい。
 無性に読みたい。そんな時がある。

 ・・・なんてこと考えてたら、最近巷の書評で絶賛されていたのが、柴崎友香の長編小説「寝ても覚めても」だった。
 10年間、好きなひとを想い続けた女の子の話だそうな。

 僕は彼女のデビュー小説「きょうのできごと」を行定勲監督で映画化された同名作を映画館で観ている。
 映画「きょうのできごと」は中々いい作品だったように思う。
 結局原作は読まなかったけれど、その柴崎友香による初の長編小説「寝ても覚めても」。評判も高いので、早速読んでみることにした。

 彼女は、保坂和志から高い評価を受けているらしい。
 確かに、読み始めると文体が似てなくもない。それと、全体に醸し出される小説全体を流れる雰囲気も2人は少し似ている気がする。

 僕も保坂和志の小説は嫌いじゃない。
 淡々と続く日常を丁寧に描きながら、(表面的には決して現れないけれど)その後ろ側に潜んでいる喪失感や空虚感のようなものが彼の小説の中に垣間見ることが出来るからだ。

 保坂和志は、そこがいい。
 どこか危うさのようなものが潜んでいるのだ。ほとんど事件らしい事件は起きず、ひたすら日常の細部を語っているのに、全然飽きがこない。

 不思議な作家である、保坂和志。
 ただし、読み手の評価は分かれるだろう。全然受け付けないという人も多いかもしれない。

 「寝ても覚めても」にも、波乱万丈の恋愛物語があるわけじゃない。
 ふと知り合った「麦(ばく)」という男の子を好きになった、泉谷朝子という女性の10年間を淡々と描いている。

 「麦」は主人公である朝子の目の前から突然姿を消し、彼女は彼を忘れられないまま、「麦」にそっくりな亮平という男性を好きになる。
 ところが、今度は人気俳優となった「麦」がメディアの前に登場し、朝子の心は少しずつ乱れてゆく・・・。

 大阪と東京を舞台にして物語は進む。
 女友達との関西弁での何気ない会話、四季の何気ない風景や移ろい、そんな平凡な日常を淡々と描きながら、そこに「麦」や「亮平」との恋愛模様が絡むのである。

 でも、最後まで柴崎友香の文体に乗れなかった。
 別に、ドラマがあろうとなかろうと、そんな事はどうでもいいのだけれど、僕が期待していた(というか想像していた)物語とは幾分違っていた。

 ラストの幕引きも感情移入出来なかった。
 ところどころ、凄く光る言葉があったりして、なんだかんだ言っても最後まで読んじゃうんだけど、どうも彼女の描く世界に没頭できないのだ。

 わからん。
 まあ、合わないんだろうな。相性が悪いのかも。

 でも。
 寝ても覚めても、ひとりの人をずーっと想い続けるなんてイカしてる。
 恋愛は、そうでなくちゃね。
 



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