淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

「11月も終わろうとしている金曜日の朝の、子猫みたいに優しい海風」

2010年11月26日 | Weblog
 11月26日、金曜日。

 朝起きて、NHK朝のテレビ小説「てっぱん」を観ながらこんがり焼いた食パン一切れにバターをたっぷり塗って、その上にピーナッツ・バターを重ね、それを食べながら熱い紅茶を飲んで外に出た。

 冷たい風が吹いている。
 真夜中過ぎに降った雨はもうすっかり止んでいて、朝の中途半端な太陽の光に舗道がきらきら美しく輝き、寒いけれど、透き通った空気と冷たい北風が、寝ぼけた体にちょうど良い目覚まし代わりになってくれる。

 鮮やかな黄色の落ち葉が街中の彼方此方に落ちていて、この街の美しい晩秋をより一層際立たせる。

 僕は自転車を漕ぐ。
 吐き出す白い息が朝の澄み切った大気の中に溶けていった。
 朝のラッシュに沸く国道を渡り、そこから中心市街地へと向かい、大きな△の形をした青森県観光物産館の脇から海辺へと出る。

 陸奥湾を含めた、北へと伸びる緩やかな稜線と海が、目の前に飛び込んできた。
 群青色した北の雄大な海が広がっている。
 11月も終わろうとしている金曜日の朝の、子猫みたいに優しい海風・・・。

 薄茶色した木製デッキを通って、青森駅方面へと走る。
 JR東日本が東北新幹線新青森駅開業日に合わせてオープンする、林檎シードル工房と物産品を扱う「Aファクトリー」、そしてその前方に、来年1月5日にオープンする「ねぶたの家 ワ・ラッセ」の斬新な躯体が迫る。

 携帯電話が鳴り、10分ほど朝の挨拶がてらの会話を進めながら青森駅のプラットホームを跨ぐ東西通路を登り、そこから今度は青森駅西口のヨットハーバーの前へと降りた。

 ただっ広い駅西口公園を通って停泊している何艘かの船を横目で追い、巨大な団地群を突きぬけ、執務室があるビルへと辿り着いた。
 ちょうど8時20分。
 玄関前に設置された「東北新幹線新青森駅開業カウントダウン・ボード」の真っ赤なデジタル表示が、開業まであと「8」の文字を浮き上がらせている。

 11月26日付けの「読売新聞」を眺める。
 一面に「裁判員 少年に死刑判決」。それから「北朝鮮爆撃」。仙石長官「問責」可決の見出しが躍っている。

 日本が失速している。
 もがき苦しみ、喘いでいるみたいに見える。
 この言いようのない閉塞感、圧迫感、遣り切れなさを、僕たちはどうしたら振り切ることができるのだろうか?

 びっくりしたのが、二面下から三面下四面下、それに続く五面全部を使った、井上雄彦の漫画「リアル」の斬新な新聞広告。
 これには驚いた。そう来たか!

 そして今日も朝から大忙し。
 すべての仕事の要務を終え、疲れた体を引き摺って、また自分のオフィスへと帰還した。
 こうして一日は一瞬で過ぎてゆく。鉄腕アトムよりも、宇宙戦艦ヤマトよりも速く、猛烈な勢いで時間だけが過ぎてゆく・・・。

 オフィスの壁時計が午後5時を示した。
 すっかり夜の帳が降り切って、暗闇がこの街を覆い尽くす。ゆっくりと。摺り足で。

 一週間の短期予報を見てみたら、来週の月曜日からずーっと雪マークが続いている。
 冬が来たのだ。僕の大嫌いな厳しい冬が。

 明日の土曜日も仕事。明後日の日曜日も仕事が続く・・・。
 新幹線新青森駅開業まで、残り8日。

 終わったらゆっくりしたい・・・。
 思いっ切り休んでやるっ!




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