おかんのネタ帳

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奈良で総会

2020-09-28 15:58:01 | 演劇・舞台
今年も奈良へ行ってきました。
近畿演劇鑑賞団体連絡会議の、2020年度総会です。
「ひこね演劇鑑賞会」の幹事の一人として参加してきました。



演劇鑑賞会、正確には、鑑賞会運動、ですね。
元々は、勤労者のために会員制で発足した「勤労者演劇協同組合」だとか。

1948年に東京で生まれたのが「東京勤労者演劇協同組合」。
いわゆる「労音(勤労者音楽協議会)」よりもスタートは早いようです。
その後、同様の目的で、労演の他に、市民劇場、労映演、演劇同好会、演鑑協、芸協といった名称で、
各地に演劇鑑賞団体が設立され、1962(昭和37)年には、「全国演劇鑑賞団体連絡会議」が発足。
各地に散らばっている演劇鑑賞団体が、全国的な組織になったそうです。
翌年に、全国の5つの地方ブロック組織を基礎として、全国演劇鑑賞団体連絡会議(全国労演)が発足。
65年には53団体、会員数は10万人にもなったようです。

近畿で鑑賞会運動の中心となったのか、大阪勤労者演劇協会(大阪労演)。
東京に少し遅れて、1949年に設立されました。

会員は会費を払って、年に5、6本の作品を上演して鑑賞します。
ブロックごとに演目を選んで、順番にブロック内の各演鑑を回ります。

演劇鑑賞団体が誘致するのは、俳優座・青年座・文学座・民藝など、主に新劇の劇団。
大阪労演も、新劇全盛期の1960年代には、25,000人ほどの会員を抱えていたようですが、
小劇場演劇運動が始まった1970年代以降は会員数が減少。
2007年には会員数が400名ほどで、当時の新聞の記事によると、約1億円の負債を抱えて解散したのだとか。

大阪などの都市部では、いわゆる商業演劇の公演も多く、会員制の演鑑はその役目を終えたのかもですが、
地方ではやはり、観劇の機会はなかなかないので、演劇鑑賞会の文化的な意義は大きいと思います。
でも、インターネットの普及もあり、テレビだけでなく、いろいろなものを楽しめる時代にはなったけど。
なので、今、全国の鑑賞会の会員が減少しているのも事実なんですよね~
しかも、このコロナで、演劇は不要不急という扱いをされているし・・・



近畿の鑑賞団体は9つ。
そのうちの一つが、今年いっぱいで解散します。
会員数は、ひこねよりも多いのに・・・でも・・・すでに負債があるようです。

鑑賞会の収入は会費のみです。
それで、劇団や創造団体に支払う上演料やそれにともなう諸経費、事務経費等をまかなっているので、
潤沢に収入が入らないと、払っていけなくなるんですね。当たり前やけど。
なので、会員減はかなりの痛手になるんです。



というのも、上演予定は2年先まで先に決めているからです。
商業演劇でもそうですね。2年先、3年先のことを決めて動いてますし。
(キャストの多少の変更はあるやろうけど)
劇団やプロデュースする創造団体など、急に依頼してできるものではないので、
近畿演鑑連でも、今年は再来年の演目を決めています。
つまり、2022年の上演作品が決まってるのに、会員が減って上演できない、なんてことになると、
劇団や創造団体に迷惑をかけるだけでなく、一緒に決めた近畿の他の鑑賞会に迷惑をかけることになるんですね。
・・・・ブロックで分割している、キャストの交通費、宿泊費・・・もろもろの負担額が増えたり。



昼食をはさんでの総会。
外食しにくい状況なので、ひこねのメンバーと奈良文化会館の外のベンチでおにぎりを食べました。

そんな各鑑賞会の状況報告と、参加されてる劇団、創造団体の制作の方のお話もありました。
関西の劇団もありますが、多くは東京から、27団体お越しです。

今年はとにかく、コロナの影響が大変やったというお話。
演劇がストップしてしまったことで、過去にない状況になったようです。

文学座は7月から中国四国での巡回公演が開始できたと。
各地の鑑賞会の皆さんが、いかに、「演劇に飢えているか」を実感したと。
課題はあるけど、とにかく上演できることがうれしい、そうおっしゃってました。

こまつ座は、代表の井上麻矢さんが来られてましたが、
感染予防をしながら、近畿の12月例会の演目「私はだれでしょう」の稽古が始まったと。
10月に、サザンシアターで上演されるようなんですが、コロナ禍で考えたことは、
「自分たちの努力ではどうにもならない。とにかく、芝居を続けていくことが大事だと思う」
そう、おっしゃってました。

延期になった、「Sing a Song」をプロデュースしているトムプロジェクトの制作の森さんは、
出演している大和田獏さんの妻、岡江久美子さんのこともちらっとおっしゃってたけど、
最善の努力をして、観たいと思っている人がいる限り、届けていきたいとおっしゃってました。

文学座の制作は、友谷さんという方ですが(もともと役者とか?イケメン!)
「コロナ禍で、商業演劇は早々に中止を決めた。商売として成り立たないし。
でも、新劇はそうはいかない。経済も大切だけど、活動しないと。
劇団の片思いではなく、鑑賞会の皆さんも同じ。信頼関係があってこそ芝居ができます」
と、おっしゃってました。

鑑賞会運動、運動なんですけどね。
劇団・創造団体と鑑賞会は運動の両輪だと。
だから、鑑賞会がなくなると、劇団も成り立たないんですね。

イッツフォーリーズの制作の土屋さんがおっしゃってました。
・・・土屋さん、めっちゃ素敵な女性です。小柄やけどスタイリッシュで!
いずみたくさんの姪っ子さんだったかな。いずみさんが遺した劇団を引き継いではります。

「今のAIの時代に勝ち抜くには、狩猟民族に学ばなければいけないということに共感している。
狩猟民族は五感を鍛えてる、五感てアナログだけど、人間の価値はそこにあるから」

なるほどねぇ。

劇団NLTの制作の小川さんがおっしゃったことも印象深いです。

「演劇をやる本当の意味って何かを考えた。芝居をやってこその劇団、もう、本能のようなもの。
芝居をやったけど、感染予防の対策もいっぱいした。打ち上げは3月以来していない。
でも、つくづく、ここが自分の居場所だと実感した。
鑑賞会の人の言葉の中にも、自分の居場所とおっしゃったのが心強い。
年内で解散するという某鑑賞会の事務局長が、今はしんどくても、またこの地に、
新しい鑑賞会が生まれることを期待したい、という言葉に感動した」

そうか~~ 「壊して前へ進む」んやね。
・・・どっかで聞いた言葉やで~


最後に劇団東演の制作・横川さんがおっっしゃてました。

「実情に合わせていくのではなく、困難な時にこそ困難なことに立ち向かおう」

確かに。
神戸演劇鑑賞会の方のように、コロナのせいにせず、それを逆手にとって、
地道に、日ごろから、いろんな人に鑑賞会のことを話して、理解を深めてもらおう。
そうすれば、会費を払ってお芝居を観続ける、鑑賞会に共感してくれるはず、と。



奈良からの帰り、買って帰りましたよ、柿の葉寿司!



いろいろ入ってるのをチョイス。
県を二つまたいだので、帰宅後は手洗いうがい・・・
でないと、ベビーに触らせてもらえませんからね。

あ、劇団の方と少しお話ができました。
俳優座の制作のウツボさん。
イッツフォーリーズの土屋さん。
劇団1980の、代表の柴田さん。
(『楢山節考』でお世話になりました~)
そして、こまつ座の井上麻矢さん。
先日書いた、『きらめく星座』の記事をお渡ししてご挨拶・・・
昨年の『日の浦姫物語』をサザンシアターで観た時にも挨拶させてもらった話をしたら、

「今度の『私はだれでしょう』に(日の浦に出た)二人が出ますよ」と。

ほんとに!

「平埜生成くんは、他の舞台でも観ているので、楽しみです~」

いや、・・・たしかにそうやけど、そんなことを言うつもりなかったんやけどな(汗)

来年のこまつ座の上演ラインアップにある「母と暮らせば」のことやん。
洸平くんでやるんですか?って、聞けばよかった~~

だからどやねんて・・・(苦笑)