おかんのネタ帳

日々の雑感や興味のあることを書いています

きらめく星座

2020-09-08 23:45:48 | 演劇・舞台
いつものように、月末~月初は、演劇の紹介記事を書いています。
ささやかな謝礼ですが・・・しゃ、しゃれい、なんやな(汗)

今年はこんな状況なので、何度も言うてますが観劇も、もっぱら映像です。
紹介記事は鑑賞会がらみのお仕事なので、「新劇」でないといけないんですよね。

「新劇」って~?

ちなみに・・・私がイケメンを観に行くのは、たいてい「商業演劇」なんですね。

新劇と商業演劇、どう違うか。
そらぁもう、お金の掛け方が違う、ってとこですかね。

商業演劇は主演がアイドルやったり、大手プロダクション所属の有名な俳優であったり、
スポンサーがついていたり(新聞社、放送局、大手制作会社、プロダクションなど)。

・・・私が観に行ってるのは、〇ャニーズの若い子が主演やったり、
東宝系のグランドミュージカルやったり、2,5次元ミュージカルやったり・・・
要は、応援するノブオさん出演の舞台なんですけど~ うふっ!

新劇は、主催の多くが劇団、または新劇をプロデュースする会社です。
たまに、テレビなどで活躍する有名俳優さんが出演されることもあります。

一昨年の「ら・ら・ら」は、劇団朋友の舞台に、原日出子さんが客演されました。
今年4月の「Sing a Song」は、トムプロジェクトがプロデュース、
戸田恵子さん、大和田獏さんが出演されました~

そういう作品を上演する時は、演劇に感心をもってくれる人が増えたり、
鑑賞会に入会する人が増えたりするんやけど・・・
コロナ禍の今年は・・・(涙)

最近、好きやな~と思って観ているのは、こまつ座さんの作品。
今回、紹介記事で書いているのも、こまつ座さん。
お盆にCSで放送されていた『きらめく星座』。



こまつ座は、劇作家井上ひさしさんの作品を上演する劇団です。
井上ひさしさんは、日本を代表する劇作家さんですが、
『きらめく星座』の初演は、こまつ座立ち上げの翌年の1985年。
井上さん自身が演出して上演したそうです。
それ以来、何度も…9回? 上演されてきた作品。
最近は、これまた日本を代表する演出家の、栗山民也さん演出で上演されてます。

実は今年も、キャストを大幅に替えて3月から上演。
コロナ渦で、東京公演も一部中止。
地方も全部はできなかったようですが、演劇鑑賞会で上演されたようです。

私が観たのは、衛星劇場で放送されてた2017年度版。
・・・兵庫公演があったのに、予定が会わず観に行けなかったんよね~~~

先日、『木の上の軍隊』も衛星劇場で観ましたが、これもこまつ座。
こちらは井上ひさしさんの残したメモと資料をもとに、蓬莱竜太さんが書いた物語。
『父と暮せば』『母と暮せば』と並ぶこまつ座「戦後“命”の三部作 」と言われています。
井上さんが書きたくて書けなかった沖縄の話なんですね。

・・・長崎を舞台にした『母と暮らせば』も書きたかったのに書けず・・
井上さんの原案をもとに、畑澤聖悟さんが脚本を手掛けました。

『きらめく視座』は、井上さん自身が「私戯曲」と言い、
後の『闇に咲く花』『雪やこんこん』へと続く「昭和庶民伝三部作」だとおっしゃってます。

昭和庶民伝、なんともすごい言葉ですが~
物語は、真珠湾攻撃前夜の1941年12月7日までの約1年間を舞台に、
激動の時代を懸命に、そして活き活きと生きたレコード店オデオン堂の人たちの物語です。

一家は、お父さんの信吉さん、後妻のふじさん、娘のみさをさん。
そして、下宿人の、広告文案家の竹田さん、夜学生の森本くん。

中央に大きな電蓄が置かれ、下手の奥にはピアノがあります。
夜学生の森本くんが、誰かが歌いだすとピアノを弾いて、
いつのまにかみんなで大合唱するんです。
歌うのは、"仮想敵国のジャズ"や"軟弱な流行歌"
「青空」「一杯のコーヒーから」タイトルにもなっている「きらめく星座」とか。

ある日、陸軍に入隊していた長男の正一くんが脱走。
オデオン堂は「非国民の家」と噂されます。
でも、妹の女学生のみさをさんがたくさんの傷病兵と文通していて(軍国乙女と言われるらしい~)
結婚相手をその傷病兵の中の人を選び、一転して「美談の家」になります。

逃げ回りながら時々姿を見せる正一くんも、歌が好き。
(毎回かっこうが可笑しい~ あるときは漁師、ある時は船員・・など)
そして、彼を追いかける憲兵伍長の権藤さん(しまいに、オデオン堂に下宿するという~)
戦地で右手を失ってもなお軍国主義の塊である、みさをさんの婿の源次郎さん。
(オデオン堂の人たちに触れることで、凝り固まった軍国主義が変化していきます・・・)

太平洋戦争の開戦に向けて、日本中が暗いはずなのに、オデオン堂の人たちは明るい。
軍国主義に凝り固まった源次郎さんにもおおらかやし尊敬してる、
でも、正一くんのことも、家族として守ってあげようとします。
そして、いつだって、歌うんですよ。

♪男純情の~ 愛の星の色~

音楽の力はすごいなというのもあるけど、庶民はそういう暮らしをしていたのかも。

でも、戦争の足音は近づいてきます。
それぞれ信じてきたものが壊れていく中で、時代の波に流されるオデオン堂の人たち。
太平洋戦争前夜、長崎へ向かう信吉夫婦、満州へ向かう竹田さん。
えっ、長崎? 満州?? 

その後の日本・・・彼らの行く末を思うと切ないです。
でも、これが現代の私たちへの、井上さんの強烈なメッセージなのかもと思ったり。

井上ひさしさんの作品は、台詞がいいんですよね。
広告文案家の竹田さんが、人間の広告文を語るシーンがあるんですが、印象的です。

「この宇宙には4000億もの太陽が、星があると申します。それぞれの星が平均10億の惑星を、引き連れているとすると、惑星の数は約4兆。その4兆の中に、この地球のように、程よい気温と豊かな水に恵まれた惑星はいくつあるでしょう。たぶんいくつもないでしょう。だからこの宇宙に地球のような水惑星があること自体が奇跡なのです」
「水惑星だからといって、必ず生命が発生するとは限りません。しかし地球にある時小さな生命が誕生しました。これも奇跡です。その小さな生命が数限りない試練を経て、人間にまで至ったのも奇跡の連続です。そしてその人間の中にあなたが居るというのも奇跡です。こうして何億、何兆もの奇跡が積み重なった結果、あなたも私も今、ここにこうしているのです」 「私たちがいる、今生きているというだけで、もうそれは奇跡の中の奇跡なのです。こうして話をしたり、誰かと恋だのけんかだのをすること、それもその1つ1つが奇跡なのです。人間は奇跡そのもの。人間の一挙手一投足も奇跡そのもの。だから人間は生きなければなりません」。
(2017年11月、日刊スポーツさんの記事より)

人間の奇跡、だから人間は生きなければいけません。
名言ですね。そういう竹田さんは満州に行くんですけど・・・

ちなみに、この長いセリフを言う竹田さんを、2017年は木場勝己さんが演じてます。
源次郎さんは、山西惇さんね。『木の上・・』では上官。ドラマ『相棒』ではヒマ課長!
そして、ラストに、♪狭いながらも楽しいわが家~~と「青空」を歌うのは秋山菜津子さん。
この作品で、読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞されてます~~

こまつ座の作品はいいなぁ~

コロナ禍がなければ、『雪やこんこん』、観に行きたかったのに~
(熊谷真実さん主演、中止になってしまいました~)

そういえば、こまつ座さんの来年の上演予定。
『母と暮らせば』もラインナップされてるんやけど、松下洸平くん出るんかしら??
・・・ちなみ、彼はこの作品で、文化庁芸術芸術祭演劇部門新人賞を受賞、
その後の『スリルミー』と合わせて、読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞も受賞してます。

だからぜひ、また、出演して欲しいですけどね~

書きたいことがいろいろあるんですが・・・
相変わらず多忙にしてます。
最近、子守りまで入ったんで(汗)