60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

漢字表記の利点と穴

2007-05-01 23:23:18 | 文字を読む

 漢字は一つ一つの文字が意味を持っているので、漢字を組み合わせて新しい言葉を作れば、文字を見るだけで意味が分かるように見えます。 
 見学なら「見て学ぶ」、視力なら「視る力」、矯正なら「まげて正しくする」といった具合です。
 さらに工場見学、新鋭工場見学、新鋭工場見学旅行など文字を次々に加えて湯新しい言葉を作ることができ、新しい言葉は説明されなくても意味は文字を見れば理解できます。

 こういう例を多く見れば、漢字を組み合わせた単語は、文字を見れば単語の意味の構造が透けて見え、自動的に意味が分かるような気がします。
 ところが「会社」とか「銀行」とか「帽子」などのように、二つの文字を組み合わせるとなんだか分からない(漢字にすごく詳しい人には分かっても)ものがあります。
 見慣れてしまっていて、意味が分かっていれば文字の意味が分からなくても平気で使っているのです。
 慶応大学と書くところを図のcのように麻ダレの中身をKOとしても使い慣れれば平気なのです。
 新しい単語とか、見慣れていない単語なら、文字の助けを借りて意味を理解しようとしますが、見慣れて意味が分かったような気になれば、文字の意味に注意を向けないのです。
 
 これとは逆に、文字を見て意味が分かると単語の読み方が分からないまま、誤読し続けたりすることがあります。
 「場末」を「バマツ」と読んだり、「相殺」を「そうさつ」と読んで誤読に気がつかないのは意味が分かるからです。

 漢字を組み合わせできた単語の意味が推測できるという原理を文字にまで広げたのが字源解釈です。
 漢字を構成している部品に意味があるので、部品の組み立てを見ればその漢字の意味が分かると考えるのです。
 たとえば、東という字は日が昇って木に重なると様子を示しているので、「ひがし」をあらわしているというのです。
 文字を作成した人がそういっているならともかく、このように表せば誰でも東と解釈するとは限りません。
 木と日が重なるなら「にし」でもいいし、「朝」の意味でも良いので、これはこじつけではないかと思われます。

 傑作は親という字の字源解釈で,親は木の上に立って子供を見まもるという事をあらわしているというのがあります。
 冗談かと思うと結構まじめにそうした説をとく本が多いので驚きます。
 木の上に立ってみているといえばフクロウのほうが連想しやすい気がしますが、まさかフクロウはオフクロと似ているとか言う駄洒落ではないでしょう。

 漢字の形から類推できるといっても、現代の知識には会わなくなっているものもあります。
 蝙蝠や蛙、蛇、蛤、など現代の常識では虫でないものが虫偏になっているので、意味が分からなければ虫の一種と誤解するでしょう。
 鯨や鰐、鮑などが魚偏というのも、鯨は仕方がないにしても現代の感覚と外れているので、むやみに難しい漢字を使うのは考えものです。