図の線aとbを比べるとbのほうが長く見えます。
縦の線と横の線で縦の線が長く見えるのですが、cとdを比べた場合はdのほうが長く見えます。
片方の線が二分割されているためで、縦横の関係より分割のほうが強く影響しています。
ところで右の図で、AとBを比べるとBのほうが長く見えます。
つぎにBとCを比べればCのほうが長く、CとDをくらべれば、Dのほうが長く見えます。
そうすると当然DはAよりも長くしかもかなり長く見えるはずです。
ところがDとAを比べればAのほうが長く見えます。
論理的には A<B, B<C, C<Dならば当然 A<Dのはずが、A>Dに見えるのです。。
一つ一つを比べて見た場合は矛盾が出てきますから、これを説明するにはA,B,C,Dをそれぞれ二つづつ比較したとき、一方が長く見えたのは錯角なのだといわざるを得ません。
A,B,C,Dは実際には長さが等しいので、このうちの二本の線を比べて一方が長いというのは錯覚です。
しかしA<Dに見えるはずのところがD>A に見えるというのはおかしいでしょう。
これは見方がそのつど変わっていることに気がついてないので矛盾に感じるのです。
AとBを比べたときBのほうが長く見えたのですが、つぎにBとCを比べるときには、先ほど見たときとBは同じ見え方ではなく、同じ長さに見えているわけではないのです。
同じようにCとDを比べるときのCの見え方はBと比べたときの見え方ではなく、DとAを比べたときのDの見え方は、Cと比べたときの見え方ではないのです。
見方がそのつど変わっているので、記号が同じであっても見え方が変わっているのです。
aとbのように比べて見たとき短く見えたほうの長さの見え方をS、長く見えたほうの長さの見え方をLとしてみましょう。
右の図ではAとBを比べたときBの長さはLに見えますが、Cと比べるときはSに見えるのです。
同じようにCはBと比べたときはLに見えますが、Dと比べるときはSに見えます。
DもCと比べるときはLの長さに見えますがAと比べるときはSの長さに見えるので、見え方の上では結局矛盾がなくなるのです。
A,B,C,Dすべてをひと目で見ればそれぞれが同じ長さであることは自動的にわかるのですが、部分的に比較していくと見え方が違うために混乱するのです。
視線を動かして見方が変わったとき見え方は変わるのですが、それに気がつかず同じものは同じ長さに見えていると思うから錯覚が生じるのです。