60歳からの視覚能力

文字を読んで眼が疲れない、記憶力、平衡感覚の維持のために

広い視野で見る

2006-05-08 22:15:10 | 視角と判断

 小さな円に囲まれた円は大きく見え、大きな円に囲まれた円は小さく見えるのですが、これも視線を動かすからそのように見えるのです。
 ここで大きな円は左下にもあるのでこの円も含めて大きな円に注意を向けると、大小の円に囲まれている二つの円は同じ大きさに見えてきます。
 つぎに一番小さな円について見ます。
 大きな円の傍に一つ小さな円があるのでそれを含めて七つの円を見ると、大小の円に囲まれた二つの円も見えますが、二つとも同じ大きさに見えます。
 
 いずれの場合も二つの円を別々に見るのではなく、同時に見ているので同じ大きさに見えています。
 同じ大きさなのですから、同時に見たときに同じ大きさに見えるのですが、二つの円はそれぞれ別のまとまりの図に見えるので、別々に見てしまうのです。
 小さな円や大きな円を見るとき、それぞれ一まとまりのものとして見るため、大小の円に囲まれた円は同時に見えるので同じ大きさに見えるのです。
 基本的には視野を広げてみれば、全体をひと目で見渡せるので同時に見ることが出来、視野が狭すぎると別々にしか見れないということになります。
 
 二つの円が同じ大きさに見えているといっても、集中して見ているわけではないので、細かい部分まで本当に同じように見えているかどうか分かるわけではありません。
 細かい所まで詳しく見ようとすれば眼の中心窩で見なければならないのですが、その場合は非常に狭い範囲となるので、二つの円を同時に見ることは出来ません。
 二つの円を同時に見ているというときは、周辺視野で見ているので、粗い見え方です。
 それでも二つの円が同じ大きさに見えるということは、粗い見え方を脳が補完してみているからです。
 円形というものを脳が経験あるいは記憶イメージとして持っているため、およその形や、部分を見れば補完して円形だと判断しているのです。

 本当はハッキリ見えていないものでも、そのものをよく知っていれば、ハッキリ見えるように感じるものです。
 視力テストのときでも検査用の表を覚えてしまうと、本当はよく見えないところまで見えてしまい、視力が実際より高めに出てしまうということがあります。
 これは見えていないのに、記憶で答えるということでは必ずしもなく、記憶イメージがあると、部分的に見えていたり、不完全に見えていても脳が補完して全体的あるいは完全なイメージとして見せてしまうので、本人は見えたと思うのです。

 円のように単純な形の図形の場合は、脳の中にハッキリとしたイメージがあるので、じっくり見なくても大きさや形を判断できます。
 ものを見るとき、記憶しているものかどうかを判断するために、じっくり見なければ分からないというのでは、とても不便ですから、大まかに一致していればあとは脳が補完して判断しています。
 この円の問題でも、ひと目で二つの円を見て同じ大きさに見える程度の視野の広がりがほしいものです。