60歳からの視覚能力

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意味の補完

2006-05-09 23:35:10 | 言葉の記憶

 漢字かな混じり文というのは、単に漢字と仮名が混じっている文章というわけではありません。
 図のような文章は平仮名部分をすべて伏せたものですが、大体の意味はとらえることが出来ます。
 これは例がニュース文であるため、漢字の割合が多く、文章の構造が複雑でないためです。
 これが逆に漢字を伏せて、平仮名部分だけを表示した場合であれば、何が書かれているかはまるで分かりません。
 また「税務署、警察■■■■福祉関係■事務所■調査、知能検査■■■■■■個人■■■■■情報■得■、■■個人■対■■対策■■■■■■調査■統計調査■■■■」のような文章構造が複雑な例であれば、何についての文章かはある程度分かっても正確な意味をとらえることはかなり困難です。

 チンパンジーが覚えた「僕 食べる バナナ」という文章のように簡単なものであれば、つなぎの言葉はなくても意味が分かりますし、言葉の並べ方を変えても意味が分かります。
 普通の日本語の漢字かな混じり文では、意味のある部分を主として漢字で表記し、つなぎの部分をカナで表記しているので、おおよその意味は漢字の部分を見るだけで分かるようになっています。
 つながりの部分が伏せられていても、脳が推測によって文章を補完するため意味を理解することが出来るのです。

 補完するといっても文字を一つ一つ追っていってはできません。
 文全体を見渡して、配置されている意味のある単語をまとめるためには、ある程度の視野の広さが必要です。
 視野が広ければ、一度に目にする単語が多くなるので意味のまとまりが推測しやすくなります。
 推測するということは隠されている部分を補完して解釈するということで、経験や知識が根拠となります。

 ふつうの文章を読む場合はカナの部分が伏せられているわけではないので、漢字を中心に見ていっても、カナは目には入っています。
 したがって、肯定か否定かといった重要な部分については判断に組み入れることが出来ます。
 ひらがなは漢字に比べ周辺視でも認識しやすいので、漢字重点で見ていってもポイントで判断要素に入れることが出来ます。
 漢字かな混じり文というのは、意味の主な担い手の部分である漢字よりも、補助的な部分であるカナのほうが認識しやすい形になっていることで、うまい具合に文章がつかみやすくなっているのです。
 文字を一つづつ追うのではなく、ある程度広い範囲をひと目でみて理解するのに向いているので、理解力を高めるためにも視幅を広げる必要があります。