徒然にふる里を語る

 一市井の徒として、生まれ育った「ふる里」嬬恋村への思いをつづります。

祖父

2012-08-12 16:23:03 | Weblog
 午前中、お墓の掃除をした。草を刈り石塔を洗った。暑い日差しを浴びながらタオルで拭いていく。刻まれた文字を読むと少し感傷的になる。我が家の墓地には2つの石塔が建っている。そのうちの一つには父親の兄の名が2つ刻まれている。私が軍服姿しか知らない2人の伯父だ。太平洋戦争の末期、激戦地のフィリッピン諸島で死んでいる。

昭和32年、好きだった酒を断って祖父が建立したものだ。我が家の墓を直すとき、父親は一つにまとめたい意向だったが、私が反対した。3人兄弟の2人を戦争で亡くした祖父が、楽でない生活の中でやっと建てたものだ。晩年、祖父は酒が入ると愚痴をこぼした。出来の良い奴から死んで、どうでもいいのが残ったと。父親も死んだ兄と比べられては可哀そうだが、子供心に祖父の悔しい気持ちが理解できた。そんな祖父の思いを引き継いでいかなければと思ったのだ。

汗を拭いながら、石塔を洗う。祖父母や両親の姿が胸をよぎるお盆の前日。