蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

親族の基本構造社会学からの説明ホームサイト投稿

2021年03月10日 | 小説
レヴィストロース著「親族の基本構造Les structures élémentaires de la parenté初版1947年」の紹介を本年1月5日から始め、3月8日の14回目を持ってとりあえずの終了とします。3月1日から8日、4回に分けて投稿した「近親婚禁止の社会学的説明」を部族民通信ホームサイトに上梓しました(親族の基本構造6,7回)。ブログは幾日かに連載するので、どうしても前回部分を幾分か述べて本文が始まります。その重なりを排除しているから、軽く読みこなせるかと思います。是非、ご訪問を(WWW.tribesmman.net)ないしGooleで部族民通信を検索してください
前述「とりあえず終了」との意味は14回かけて紹介したのは導入章(Inroduction)の26頁分のみで、このあと限定交換(l’échange restreint)230頁が控えているから。4月以降に取り上げます。そのあと本書は一般化した交換(l’échange généralisé)に入るのですが、こちらは面白くない。族民文化範囲を越えて交換と言うよりも取引(transactionのおもむきを感じてしまい(個人嗜好で申し訳ないが)取り上げる予定を入れていない。
さて14回の投稿で2部構成Introductionの「自然から文化へ」、「近親婚禁止の問題」を取り上げた訳ですが、ここでまとめの意味から、若干の解説を;
前段部の「自然から文化へNature et culture」では近親婚の禁止の社会制度での性格を一般性(universalité,本紹介では汎人類性と訳した)と個別特殊性に浮き上がらせた。汎人類性とはその禁止が「いつでもどこでも」社会の制度として表出している。例外はある古代エジプトの王族は血の繋がりの濃い親族と通婚していた。レヴィストロースは「その中でも規則はあるはずだ、例えば実の姉との婚は許されるが妹とは許されないなど。その傍証に古事記軽皇子の例をあげた」(軽皇子と妹の衣通物語はブログ及びサイト本朝婚たはけ2000年で解説している)
いつでもどこでもの理由に「近親婚の禁止はヒトが自然状態の時代に発生し」それが「社会制度を形作って、ひいては人類が進化した」と大胆な仮説を開陳している。自然状態とは何時のことか、レヴィストロースはなにも述べない。そこで部族民蕃神は旧石器時期とした。このあたりの省察の流れを過去ブログないしサイトで追ってください。
禁止の特殊性は「必ず罰が」を上げている。他の罪との比較検証は展開されていない。自殺に関してのみ状況によっては「容認される」けれど、近親婚禁止の違反は「必ず罰せられる」として特殊性を強調している。
この「いつでもどこでも必ず掣肘」が禁止に足を踏み入れた者への三角関係であると、これはボードビル喜劇の結婚物語に匹敵する三角であると、大まじめに語っている。
第2部は近親婚禁止への学説紹介で
生物学から(遺伝劣化)
心理学から(深層心理、オイデプスコンプレックス)
社会学から(族外婚が始めにありき)
を取り上げそれぞれを批判している。
批判の原点は「制度が近親婚を禁止したのではない。近親婚の禁止が制度(文化)を形成したのだ」に尽きます。
以上ホームサイト更新の案内でした。
追:来週から「サルトル批判」を再投稿します。


ピカソの母子像、オイデプスコンプレックスなんて無い!の証明のつもり(再掲)


著作権について。この画像は市販されている絵はがきを当方が購入したものです。著作権はピカソ遺族に残りますが、市販の印刷物であることから違反はないと考えました。
コメント
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