7月4日(月)に、私の投稿記事が日本経済新聞の教育欄に載りましたので、すでにお読みになった方もいらっしゃると思いますが、ご報告しておきましょう。
1か月ほど前ですかね、国立大学財務経営センター主催の研究会で、世界の主要国が軒並み学術論文数を増やしているのに、日本だけが減少し、国際競争力が急速に失われつつある、という私の発表を聞いていた日経新聞の記者さんが、私にぜひ記事を書いて欲しいとおっしゃったんです。その記者さんは教育関係の担当をしておられるのですが、今は東日本大震災に関する記事ばかりで、教育に関する記事はなかなか載るチャンスがないのだが、豊田の主張していることは大変重要なことなので、震災後の教育欄の記事として載せたい、とのことでした。
文章1900字と図1枚で、と言われたので、いいですよ、とお引き受けして書いたのが、この新聞記事なんです。1900字というと、けっこう新聞の紙面を占めるものですね。思ったより大きな記事になっていました。
原稿を書く時には、まず、書きたいことをどんどん書いていきます。そうすると、たいていは、予定の文字数を大きく超えた文章ができあがりますね。次にはそれを、内容を変えずに短くすることを試みます。ちょっとした言葉づかいの工夫で、相当短くなるものです。
そして、1文1文、ちゃんと根拠に裏付けられているか確認します。確実な根拠のある事柄は断定的に表現し、ある程度根拠があって、自分が推測している事柄については、「思う」とか「だろう」とか、推測していることがわかる表現にします。学術論文を書く時にはあたりまえのことですけどね。
論文数の分析は私自身でもやっており。ある程度データも持っているのですが、今回は文部科学省の「科学技術政策研究所」が昨年報告した資料192の学術論文数の分析データを使わせていただくことにしました。阪さんという優秀な研究員の方が、被引用数Top10%の論文数で、しかも分数カウント法で分析しておられます。被引用数は、その論文が他の研究者に引用された数のことで、通常、質の高い論文数のカウントに使われます。分数カウント法とは国際共著論文の場合に、各国に貢献度分を割り当てるカウント法で、例えば2つの国の著者が論文を書いている場合は、それぞれの国のカウントを1/2を割り当てます。質の高い論文数がイノベーション力を最もよく反映すると考えられており、阪さんのデータが最も説得力が高いと判断しました。
次のステップは、何人もの方にチェックをしてもらうことですね。自分で完璧な文章が書けたと思っていても、他の人の目を通すと、気づかなかった点がいっぱい出てくるものです。それを、素直に受け入れて直すと、いい文章ができあがりますね。今回も、6人の方々にチェックをしていただきました。
私の原稿では、被引用数Top10%の論文を、「高注目度論文」というふうに表現しています。ほぼ「質の高い論文」と同じ意味になるのですが、厳密にいうと、100%合致しないかもしれないので、より正確な表現として「高注目度論文」という表現にしました。これは、たぶん私の造語だと思いますが、阪さんにも相談をさせていただき、賛同を得ました。
私のブログ等にいつも鋭いアドバイスをいただく三重のYさん。三重大学の産学連携にご尽力いただいている民間企業出身の方ですが、Yさんには、図だけでなく、文章の中にもデータをできる限り挿入した方が良い、とアドバイスいただきました。やはり、数字があるのとないのとでは説得力に雲泥の差が出ますからね。
ほかの皆さんからも有用なご意見をいただき、すべて反映した結果が、今回の記事の文章です。
前置きが長くなってしまいましたね。
下に記事のコピーを張り付けたのですが、読み取ることが困難だと思いますので、次回からは、中身について説明をしていきますよ。
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