ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

政策コンテストに向けて、大学と科学技術の要望枠パブコメに一人でも多くの意見を

2010年09月29日 | 日記
いよいよ昨日(9月28日)の12時に、来年度概算要求の「要望枠」の政策コンテストに向けてのパブコメ募集が開始されましたね。各省からの概算要求のうち、基本的な要求額については前年度の10%に当たる額を削減し、削減した分を「要望枠」(総額約3兆円)として要求し、政策コンテストで約1兆円強を選ぶということになっています。

http://seisakucontest.kantei.go.jp/


大学と科学技術の要望枠について、ぜひとも一人でも多くの国民の皆さんからのパブコメをお願いします。パブコメはどのような政策を優先するかということについて、国民が意見を述べられる貴重な機会ですからね。逆に、このパブコメで意見が集まらなかった政策については、優先順位が低くつけられてしまい、我が国の将来が大きく左右される可能性があります。

今、尖閣諸島問題で、今後の日本の国をどのように持って行くのかという、重大な課題が待ったなしで突きつけられています。レアアースを止められるだけでお手上げの日本では、生きてくことはできません。日本人が資源の少ないこの島で生きていくためには、菅総理は「強い経済」を所信表明演説で述べておられますが、そのためにも「強い人材と科学技術」を持つことが必須。

今、日本の学術論文については数が減少しつつあり、そして、論文の質についても低下しつつあります。こんな状況で、大学や科学技術の予算をさらに削るなんて、とんでもないことです。どうすれば、拡大し続ける中国を初めとする大国や新興する諸外国に対して、どれだけの科学技術の質的量的シェアを確保できるか、そして、それをいかに効果的に「強い経済」に結びつけることができるか(つまり広い意味での”イノベーション”の創出)を真剣に考えて実行に移す必要があります。

日本人の中から女性も含めて優秀な頭脳が研究に邁進できる環境を整えるとともに、世界中から優秀な頭脳をたくさん集めてくることが必要。そのためには、他の分野の予算を削ってでも、科学技術予算を効果的に増やす政策が必要です。

今こそ「米百俵」の政策を思い出すべきです。

アメリカも今リーマンショックによる不況から立ち直れず、政府の予算も危機的状況です。しかし、昨日カリフォルニア大学の工学部教授から届いたメールでは、

"President Obama has proposed a substantial increase in support for university research.  Hopefully, Japan will follow that lead and perhaps others in the world making the same commitment."

「オバマ大統領は大学の研究支援を実質的に増加させることを提案している。日本もこのリードや、たぶん同じコミットメントを出している世界の他の国に続くことを期待している。」

アメリカを初めとして世界の他の国は、国の予算が苦しい時にこそ「米百俵」の言葉通り、大学や科学技術予算を増やしているんですね。

日本政府の大学への公的投資は対GDP比当たりで先進国の半分。これだけでもひどい状況なのに、さらに大学や科学技術予算を減らそうとしている。資源のない日本は、他の国以上に教育と科学技術に力を入れないと食べていけないのに・・・。

一人でも多くの国民の皆さんの賢明な政策選択をお願いします。締め切りは10月19日です。




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