ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

大学改革の行方(その5)

2012年09月20日 | 高等教育

 昨日の9月19日に、学術総合センターで開催された、国立大学協会主催の平成24年度大学マネジメントセミナー〔企画戦略編〕で話をさせていただきました。今回の対象は、主として理事・副学長・事務局長といった大学の役員が中心で、約190人集まりました。

 今回のマネジメントセミナーに参加できなかった方で、ぜひブログ上で紹介して欲しいというご要望がありましたので、鼎談のご紹介ももう少ししないといけないのですが、これから数回にわけて、僕の講演内容を紹介させていただきたいと思います。

 今回の企画の全体テーマは「法人化の原点に返って」ということでした。この6月に文部科学省から「大学改革実行プラン」が出され、各国立大学には思い切った改革が求められているわけですが、大学の執行部が代替わりしていることもあり、2004年の国立大学法人化の時のことをあまりご存じない方もおられるので、ここで、法人化の時の時になされたマネジメント改革を振り返って、考えなおしてみようという企画でした。そして、ちょうど法人化の時に三重大学長をつとめさせていただいた僕に、白羽の矢が当たったわけです。

 最初に文科省高等教育局の長谷浩之さんから「国立大学法人を巡る情勢について」、二番手が僕の「マネジメント改革について」、三番手が東京大学監事の有信睦弘さんの「大学マネジメントにおける役員、副学長等幹部職員の役割について」というレクチャーが続き、そのあとはパネルディスカッションという構成でした。

 司会の方が、この日の講演を順番に紹介されました。僕の講演については、「2番目は刺激的な内容の豊田先生のお話です。」なんて紹介されたので、ちょっと、言い過ぎた面もあったかなあ、ちょっとあそこは直しておいた方が良かったかなあ、と思いつつ、まあ、いいかという感じで臨みました。

 僕に与えられたテーマは「マネジメント改革」について、ということなので、法人化の頃のことを思い出しつつ、自分自身が実際に経験したことを中心に、これからの大学改革の原動力になる大学執行部の皆さんのお役に立てそうなことをまとめてみました。前半は「法人化に際しての三重大学のマネジメント改革」、後半は「政策・政治リスクにどう対応するか?」という内容です。

 そうそう、例の鼎談の記事については、数日前に、大学マネジメント誌9月号が発刊され発売されています。すでに、聴衆の中に、僕の鼎談の記事を読んだ方がおられました。一生懸命財務省と戦っておられましたね、と言われました。ご興味のある方は、ぜひとも大学マネジメント研究会(http://anum.jp/)に申し込んで、入手頂きたいと思います。

 ちょっと、順序が逆になってしまいますが、講演終了後のパネルディスカッションの時に、ある大学の先生から、国立大学への基盤的運営費交付金の削減は、いったいいつまで続くのですか、というご質問があったんです。パネリストのお一人である文部科学省の合田哲雄さんが、社会保障費が毎年1兆円増え、他の予算がその分削減されつづける状況であり、財務省になんとかならないかお願いをしているのだが、なかなか難しいというご説明をされました。

 僕も追加発言をさせていただき、例の鼎談について、財務省や大学外の皆さんからの国立大学を見る目はたいへん厳しいこと、財務省神田主計官が「運営費交付金は意味が無い」とおっしゃっていることをご紹介しました。そして、僕なりに、運営費交付金の削減に対しては精一杯反論を試みたのだが、社会保障費を抑制してまで国立大学へ国費を投入する価値があることを根拠をもって示さないことには無理であること、このままいくと、さらにどんどんと国立大学の研究機能が低下していくだろうということを申し上げました。

 ちょっと会場がしーんとなってしまいましたけどね。

 後で、大学マネジメント誌の入手方法をお聞きになられた方がおられたので、大学マネジメント研究会の事務局の電話番号”03-3230-8687”とe-mail: "info@anum.jp"をお教えしました。滝口さんという女性が対応してくれますよ。

 それでは、次回から、司会者の弁によると”刺激的な”豊田の講演内容をご紹介していくことにします。

(このブログは豊田個人の感想を述べたものであり、豊田が所属する機関の見解ではない。)

 

 

 

 

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