八月の最初の週末を迎えました。八月の声を聞くと、こちらでは総じて天気が不安定になってきます。気温はまだまだ10˚C前後ですし、時には15˚Cくらいにまで達することもあるのですが、雲、風、雨が今までよりも頻繁に現れるようになります。
今、これを書いているのは実はまだ七月末の金曜日なのですが、天気予報ではやはり曇りと雨マークが並んでいます。実際、目の前の窓は雨で濡れています。
アイスランドではこの八月の第一週末は「商人の週末」と呼ばれ、国民の祝日となっています。明日の月曜日まで祝日で、例年金曜日の夕方から祝日の週末が始まり、月曜の夜まで続くのです。
なかなか休みが取れない商店の従業員がゆっくり休めるように、という理由で始まった祝日であるようです。
夏休みの最後の砦 の週末
楽しみ方としては、あちらこちらで「ワイワイ野外パーティー」を開き、テント持参で「飲めや歌えや」「踊れや飲めや」の大騒ぎをするのがメインです。中でも1973年の火山噴火と島民総脱出で有名なヴェストマンナ諸島のThodhatidショーズハウティーズ「国民の祭り」は、外国からの観光客も呼び込んで一万五千人という参加者を得ています。
... ... いました。近年は。
日本や世界の各地と同じく、ここでも「例年なら...」という枕詞を述べたうえで「今年は様変わりしています」ということになります。
今年はこの「国民の祭り」は早々とキャンセルされてしまいました。言うまでもなくCちゃんのおかげです。それでも「なんとか規模を縮小してでもできないか?」という努力はもちろんあったようですし、完全になにもしないのかどうかは、これを書いている今現在では明らかではありません。と言うか、私は知りません。
本文とは無関係 清涼感を味わえますよう!
Myndin er eftir v2osk@Unsplash.com
この「国民の祭り」に加えて、八月のビッグイベントである「Gay Pride」も、早々に開催を見合わせる旨が発表されていました。
これも近年では八月第二週を彩る、一週間を通してのイベントに成長していましたし、外国からの観光客を巻き込む、文字通り「アイスランド最大のイベント」となりました。
Gay Pride プライドとは人の在りようを映すもの?
以前にも書いたことがありますが、レイキャビクに限って言いますと、八月はイベントが目白押しの月です。ゲイプライド以外にも、8月6日(あるいは9日)のダウンタウンのチャルトゥニ(池) でのヒロシマ、ナガサキを偲んでの「キャンドル流し」、月後半のレイキャビク・マラソンとそれに続くカルチャーナイト等がイベントのローテーションを組んでいます。例年ならば。
マラソンはそれでも行われる予定だったようですが、カルチャーナイトについてはあまり聞いていないなあ...
というわけで調べてみると... ... ありました。
カルチャーナイトは、今年は形式を変えて開催するそうで、8月13日から23日までの足かけ十一日間行われるということ。おそらく一時(いっとき)に多くの人が集まらないように分散する意図があるのでしょう。うまくいくといいですが。
例年なら... こんな感じのこの週末のヴェストマンナ諸島
Myndin er ur Visir.is
今年はこんな感じ
Myndin er ur Eyjafrettir
「Go to トラべル」を巡る、日本での混乱と相通じるものがあるかもしれないのですが、実はアイスランドでもコロナを巡る混乱というか、「再アジャスト」の必要がここで急に浮かび上がってきました。
こちらでは五月中旬より、コロナ感染はグッと下火になり「第一ラウンドは収束」の安心感が広まりました。
一時は「二十人」を限度とした集会規制も、順を追って緩和され、これまでは「五百人」まで上限が上がっていましたし、さらに緩和する準備がなされていました。
しかしながら、国境が開かれ人の移動が再開(まだ100%開放ではありません。EU諸国と「安全」認定された特定の国のみ)し、さらに人と人との接触が緩和されると、やはりどうしても新感染者が現れてしまうようです。
先へ進む前に、外国からの訪問者、帰国者が入国時にどういうプロセスをとるかを簡単にご紹介します。現在、外国からアイスランドへ入国する人は、到着時にPCR検査を受けるか、あるいは14日間の自主隔離生活に入るか、のどちらかを選びます。検査結果が出るのは4~5日かかります。
ちなみにPCR検査は無料ではなく、一回11000クローナかかります。事前に払込すれば9000クローナ。安くはないですよね。
ツーリストの場合は、それでも、まず間違いなくPCR検査を選択するでしょう。検査後は普通に観光に出かけられますから。ただ検査結果が陰性となるまでは、他者との接触に気をつけるようにと勧められます。ツーリストは「外貨」ですから、流通を妨げないように配慮?されているのです。
アイスランド人、またはアイスランド居住者がPCR検査を受けた場合は、結果が出るまでの五日間を、他者との接触を避けて過ごすように要請されます。さらに、五日ほど経った時点での、二回目のPCR検査を受けることになります。
ツーリストの人で、PCR検査で陽性の反応が出た場合には、すぐに通知が行き、国が用意した隔離ホテルへ収容されます。残念ながら観光はそこでおしまい!となります。
そんな中で、過去二週間内に31人ほどが新感染者として報告されました。トータルで50人が隔離状態にあり、287人が自主隔離期間にあります。
半数以上が国内感染者らしく、クラスターも生じています。ここではしばらくの間「感染ゼロ」が続いていましたので、当局はかなりこの数を深刻に受け取っています。
例年なら... こんな様子のReykjavik Gay Pride
Myndin er ur Common.wikimedia.org
先週水曜日に、カトリーン首相を始めコロナ関連の責任者が集まって記者会見を開きました。そこで「警戒感を高め、集会規制を元へ戻して厳しくし、また必要な安全確保措置を再確認する」こととなりました。
まず集会規制は、これまでの五百人を百人へと厳しい方向へ戻されました。飲食店等の営業時間をこれまでの午前1時までから夜11時までへ短縮。バス等の公共交通機関ではマスク着用を義務化。
さらに個人間のソーシャルディスタンス2メートルを厳守するよう要請がなされました。屋内等でどうしても2メーターの距離が取り切れない場合は、マスクを着用すること、となっています。
で、これらの「規制再強化」が、国民の祝日の週末の直前、さらに八月というイベント月の直前に発効されたため、いろいろドタバタが湧き上がった面もあるようなのです。もちろん、当局はそのような時期の前だからこそ、この規制再強化を決めたわけですが。
先にも述べましたように、大規模イベントである「国民の祭り」や「Gay Pride」は六月くらいに早々と開催見合わせを発表していたのですが、取り敢えずのコロナ収束を受けて、もう少し規模の小さいイベント関係者は「なんとか工夫して開催を」とトライしてきたわけです。
例えば、北の都アクレイリでは、今、この週末に「I Love Akureyri」とかいう町を挙げてのイベントを企画していました。ですが、この時点での「百人規制」を受けて、担当者は「アクレイリの人はともかく、今年はレイキャビクとかからの人は別の場所へ行ってくれた方がいいと思います。ここの住人だけで一杯になっちゃうからねえ」
ニュースによると、この他にも結局開催の取りやめや、開催方法を急遽変更したイベントは多数あるということです。
北の町アクレイリの赤信号はすべて愛が満ち満ち
Myndin er ur Common.wikimedia.org
まあ、私はイベント当事者ではないので、その方々のご苦労は察するだけなのですが、この「規制再強化」が良い意味でのウォーニングになってくれれば、と思っています。
町の様子とか見ていても、もうみんな、すっかり「コロナは終わった」感に浸っている感じを受けていましたから。固まって食事したり、歌ったりして、マスクなんて誰もしていない。
ちょっと気を抜き過ぎだろう。と、思わざるを得ませんでしたよ。
幸か不幸か、私は毎日日本のニュース バラエティを見続けているので、アイスランドが「コロナ収束」になっている間も、「東京460人」「岩手県でも初感染者」「石垣島等離島でも感染者」とかが頭に入ってきているので、「終わった」という感じはまったく持っていません。次に、いつ日本へ戻れるのかもわからないし。
皆さん、「コロナで計画が狂った」「夢がだいなしになった」という気持ちは、誰しもおありだろうと思います。でも、そうじゃない人はいませんから。互いに支え合って切り抜けたいものです。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
今、これを書いているのは実はまだ七月末の金曜日なのですが、天気予報ではやはり曇りと雨マークが並んでいます。実際、目の前の窓は雨で濡れています。
アイスランドではこの八月の第一週末は「商人の週末」と呼ばれ、国民の祝日となっています。明日の月曜日まで祝日で、例年金曜日の夕方から祝日の週末が始まり、月曜の夜まで続くのです。
なかなか休みが取れない商店の従業員がゆっくり休めるように、という理由で始まった祝日であるようです。
夏休みの最後の砦 の週末
楽しみ方としては、あちらこちらで「ワイワイ野外パーティー」を開き、テント持参で「飲めや歌えや」「踊れや飲めや」の大騒ぎをするのがメインです。中でも1973年の火山噴火と島民総脱出で有名なヴェストマンナ諸島のThodhatidショーズハウティーズ「国民の祭り」は、外国からの観光客も呼び込んで一万五千人という参加者を得ています。
... ... いました。近年は。
日本や世界の各地と同じく、ここでも「例年なら...」という枕詞を述べたうえで「今年は様変わりしています」ということになります。
今年はこの「国民の祭り」は早々とキャンセルされてしまいました。言うまでもなくCちゃんのおかげです。それでも「なんとか規模を縮小してでもできないか?」という努力はもちろんあったようですし、完全になにもしないのかどうかは、これを書いている今現在では明らかではありません。と言うか、私は知りません。
本文とは無関係 清涼感を味わえますよう!
Myndin er eftir v2osk@Unsplash.com
この「国民の祭り」に加えて、八月のビッグイベントである「Gay Pride」も、早々に開催を見合わせる旨が発表されていました。
これも近年では八月第二週を彩る、一週間を通してのイベントに成長していましたし、外国からの観光客を巻き込む、文字通り「アイスランド最大のイベント」となりました。
Gay Pride プライドとは人の在りようを映すもの?
以前にも書いたことがありますが、レイキャビクに限って言いますと、八月はイベントが目白押しの月です。ゲイプライド以外にも、8月6日(あるいは9日)のダウンタウンのチャルトゥニ(池) でのヒロシマ、ナガサキを偲んでの「キャンドル流し」、月後半のレイキャビク・マラソンとそれに続くカルチャーナイト等がイベントのローテーションを組んでいます。例年ならば。
マラソンはそれでも行われる予定だったようですが、カルチャーナイトについてはあまり聞いていないなあ...
というわけで調べてみると... ... ありました。
カルチャーナイトは、今年は形式を変えて開催するそうで、8月13日から23日までの足かけ十一日間行われるということ。おそらく一時(いっとき)に多くの人が集まらないように分散する意図があるのでしょう。うまくいくといいですが。
例年なら... こんな感じのこの週末のヴェストマンナ諸島
Myndin er ur Visir.is
今年はこんな感じ
Myndin er ur Eyjafrettir
「Go to トラべル」を巡る、日本での混乱と相通じるものがあるかもしれないのですが、実はアイスランドでもコロナを巡る混乱というか、「再アジャスト」の必要がここで急に浮かび上がってきました。
こちらでは五月中旬より、コロナ感染はグッと下火になり「第一ラウンドは収束」の安心感が広まりました。
一時は「二十人」を限度とした集会規制も、順を追って緩和され、これまでは「五百人」まで上限が上がっていましたし、さらに緩和する準備がなされていました。
しかしながら、国境が開かれ人の移動が再開(まだ100%開放ではありません。EU諸国と「安全」認定された特定の国のみ)し、さらに人と人との接触が緩和されると、やはりどうしても新感染者が現れてしまうようです。
先へ進む前に、外国からの訪問者、帰国者が入国時にどういうプロセスをとるかを簡単にご紹介します。現在、外国からアイスランドへ入国する人は、到着時にPCR検査を受けるか、あるいは14日間の自主隔離生活に入るか、のどちらかを選びます。検査結果が出るのは4~5日かかります。
ちなみにPCR検査は無料ではなく、一回11000クローナかかります。事前に払込すれば9000クローナ。安くはないですよね。
ツーリストの場合は、それでも、まず間違いなくPCR検査を選択するでしょう。検査後は普通に観光に出かけられますから。ただ検査結果が陰性となるまでは、他者との接触に気をつけるようにと勧められます。ツーリストは「外貨」ですから、流通を妨げないように配慮?されているのです。
アイスランド人、またはアイスランド居住者がPCR検査を受けた場合は、結果が出るまでの五日間を、他者との接触を避けて過ごすように要請されます。さらに、五日ほど経った時点での、二回目のPCR検査を受けることになります。
ツーリストの人で、PCR検査で陽性の反応が出た場合には、すぐに通知が行き、国が用意した隔離ホテルへ収容されます。残念ながら観光はそこでおしまい!となります。
そんな中で、過去二週間内に31人ほどが新感染者として報告されました。トータルで50人が隔離状態にあり、287人が自主隔離期間にあります。
半数以上が国内感染者らしく、クラスターも生じています。ここではしばらくの間「感染ゼロ」が続いていましたので、当局はかなりこの数を深刻に受け取っています。
例年なら... こんな様子のReykjavik Gay Pride
Myndin er ur Common.wikimedia.org
先週水曜日に、カトリーン首相を始めコロナ関連の責任者が集まって記者会見を開きました。そこで「警戒感を高め、集会規制を元へ戻して厳しくし、また必要な安全確保措置を再確認する」こととなりました。
まず集会規制は、これまでの五百人を百人へと厳しい方向へ戻されました。飲食店等の営業時間をこれまでの午前1時までから夜11時までへ短縮。バス等の公共交通機関ではマスク着用を義務化。
さらに個人間のソーシャルディスタンス2メートルを厳守するよう要請がなされました。屋内等でどうしても2メーターの距離が取り切れない場合は、マスクを着用すること、となっています。
で、これらの「規制再強化」が、国民の祝日の週末の直前、さらに八月というイベント月の直前に発効されたため、いろいろドタバタが湧き上がった面もあるようなのです。もちろん、当局はそのような時期の前だからこそ、この規制再強化を決めたわけですが。
先にも述べましたように、大規模イベントである「国民の祭り」や「Gay Pride」は六月くらいに早々と開催見合わせを発表していたのですが、取り敢えずのコロナ収束を受けて、もう少し規模の小さいイベント関係者は「なんとか工夫して開催を」とトライしてきたわけです。
例えば、北の都アクレイリでは、今、この週末に「I Love Akureyri」とかいう町を挙げてのイベントを企画していました。ですが、この時点での「百人規制」を受けて、担当者は「アクレイリの人はともかく、今年はレイキャビクとかからの人は別の場所へ行ってくれた方がいいと思います。ここの住人だけで一杯になっちゃうからねえ」
ニュースによると、この他にも結局開催の取りやめや、開催方法を急遽変更したイベントは多数あるということです。
北の町アクレイリの赤信号はすべて愛が満ち満ち
Myndin er ur Common.wikimedia.org
まあ、私はイベント当事者ではないので、その方々のご苦労は察するだけなのですが、この「規制再強化」が良い意味でのウォーニングになってくれれば、と思っています。
町の様子とか見ていても、もうみんな、すっかり「コロナは終わった」感に浸っている感じを受けていましたから。固まって食事したり、歌ったりして、マスクなんて誰もしていない。
ちょっと気を抜き過ぎだろう。と、思わざるを得ませんでしたよ。
幸か不幸か、私は毎日日本のニュース バラエティを見続けているので、アイスランドが「コロナ収束」になっている間も、「東京460人」「岩手県でも初感染者」「石垣島等離島でも感染者」とかが頭に入ってきているので、「終わった」という感じはまったく持っていません。次に、いつ日本へ戻れるのかもわからないし。
皆さん、「コロナで計画が狂った」「夢がだいなしになった」という気持ちは、誰しもおありだろうと思います。でも、そうじゃない人はいませんから。互いに支え合って切り抜けたいものです。
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
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