レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

メロスよ、走れ! レイキャビク・マラソン

2019-08-25 00:00:00 | 日記
嗚呼(「ああ」と読みます)、ついに晩夏となってしまいました。次回のブログの更新はすでに九月になってしまいます。小中学校は (こちらでは十年制で、義務教育はひとつの学校が基本なですが、実際には日本のように「小」「中」で分かれているところもあります)先週の木曜日あたりに始業式があったようですし、大学も明日から正式に授業開始のようです。

つまり「夏」は終わりということです。悲しや。

好天が続いているとはいえ、朝晩はめっきり寒くなってきましたし、周囲にも風邪をひいてしまったしまった人がちらほらと散在するようです。

昨日、土曜日はレイキャビクのMenningarnottメンニンガー・ノホト「文化の夕べ」というお祭りの一日でした。夕方以降だけではなく、朝から多種多様なプログラムが「同時多発」的に組まれているイベントです。




どこからこれだけ出てきたのやら?スタート直後のレイキャビク・マラソン
Myndin er ur Whatson.is


当然、全部を見て回ることは始めからかないません。自分で面白そうなものを見つけて出向いていくことになります。はっきり言って、いつ、何が、どこであるのか、を把握するだけでも一仕事な気がします。

近年は「夏の締めくくりイベント」的なシンボリックな地位さえ手中にしたお祭りですが、引きこもり老人のワタシは当然参加しませんでした。五、六年前までは、「ヒロシマ・ナガサキの伝承のための紙芝居」「日本の文化紹介」だとか趣味の「詩の朗読会」だとかに参加していたのですが、だんだんと参加は尻つぼみになってきてしまいました。

もともと私は自分で何かをするのは好きなのですが、人がやっているものを見にいくことにはあまり関心がなく、つまりは自己中心的なのですが(^-^;、その結果は「引きこもり」となり、「孤独死」へ向かって真っしぐらの感があります。




「同時多発的」プログラムのほんの一部
Myndin er ur Menningarnott.is



さて、メンニンガー・ノホトのお祭りですが毎回朝8時40分スタートのレイキャビク・マラソンで開会します。このマラソンには外国から参加をする選手もありますし、参加者はかなりの数を数えます。

フルマラソンだけではなく、ハーフマラソンや10キロ、5キロなどというコースを選ぶこともできます。乳母車を手押ししながら、なんていう若いお母さんランナーも、毎年必ずのように見受けられるようです。

マラソンのようなチョー自虐趣味的な営みには、ワタシはもちろん参加しませんが(「キロ」で測る距離を走れない、と言った方が正解ですが)、私の息子は参加してきました。ハーフマラソン。

息子は現在スウェーデンの学校で学んでいるのですが、夏休みで八月中は私のところに滞在しています。別に本格的なランナーではないのですが、スウェーデンでもハーフマラソンを走ったことがあるようで、これで四回目くらいのエントリーだったと思います。

前に一度書いたことがありますが、このレイキャビクマラソンには多少の公共的?性格もあり、各参加者は「これこれの大義、目的のために走る」ということを宣言でき、それに賛同した人は、そのランナーに1000クローネ、5000クローネのようにお金を積むことができます。

「陸上賭博か!?」と思われる方があるかもしれませんが、そうではありませんよ。いわば「ランナーを通しての寄付・援助金集め」です。

マラソンのイベントにはちゃんとホームページが用意されていて、そこに参加者の一覧リストがあります。その参加者の紹介プロフィールに「何のために走るか」「何を目的とするか」も記されています。

そしてそれを見た人が「よし、その趣旨に賛同し、私も寄付を出そう」と思えば、パソコンからの銀行振込や、あるいは手軽に携帯のSMSを使って寄付の約束をすることができます。

SMSというのは日本ではあまり使われていないようですが、相手の電話番号宛にメッセージを送る仕組みです。この寄付に限っていうと、あらかじめ用意された番号、例えば9XX -1000、9XX-2000, 9XX-5000という番号宛にメッセージを送ることになります。

この際、9XX-1000なら1000クローネ、9XX-5000なら5000クローネの寄付となり、これは後日電話料金の請求に加算されてきます。そして、メッセージ欄に、その支援したいランナーの登録番号(背番号)を記入します。

これで、「誰に」「いくら」積んだかが登録されるわけです。

今、これを書いているのは、実は金曜日の午後なのですが、ホームページを覗いてみると、例えばOlgaさんという女性のランナーが1.320.000クローネもの約束を取り付けています。

「何のために?」と趣旨を読んでみると「一年前に悪性の脳腫瘍を診断された小さな妹のために走ります」とのこと。

難病の故に、治療費やその関係で大きな費用になるのでしょう。それでマラソンに参加し、病気のことを訴えると同時に財政的な支援も受けることを目的としていることがわかります。

次いで830.000クローネ余り(23日午後2時現在)の約束を得ているAglaさんという、これも女性ランナーの趣旨を見てみると、やはり「十歳で急性白血病と診断された弟のために走ります」とのこと。




様々なストーリーがある参加者の動機
Myndin er ur Rmi.is


もちろん、寄付はマラソンに結びつけずとも可能でしょうが、より大衆に語りかけ、大衆から支援を受ける可能性が増しますし、またマラソンそのものも個人の勝手な趣味の域から、社会性のあるイベントとしての性格を帯びてきますから、これは「ウィンウィン」の関係なのでしょうね。

私の息子はというと、これまで17.000クローネの約束。額はそうたいしたことはありませんが、趣旨は「『ワーブルク・ミクロ症候群』という稀な病気にかかってしまっている少年を支援するため」だそうで、多少なりとも力になれるなら、それに越したことはないという気がしています。

このマラソンを通じての寄付、同じく金曜日午後の時点で、総額はすでに一億クローネを超えています。結構集まるものですねえ... おそらく個人からだけではなく、法人や企業からの寄付も入っているのだとは思いますが。

そうか、もしかしたらこれは一考に値しますね。今、難民の人たちの支援のための基金が底をつきかけていて、困っているのです。来年はワタシも走るかも。10キロ走るとして(あるいは歩くか)、どのくらいかかる?一時間?一時間半?

その自虐タイムで支援金が十万クローネ集まるとしたら、これは断然我慢しがいがあるかも、ですね。どうやら来年の夏の目標が与えられたようです。ただ、あくまでこれは「今、そういう気がする」という段階ですので、悪しからず。

いずれにしても「夏」は終わりました。いつまでも惜しんでいてもあと九ヶ月は待たないと、また「夏」は来ませんので、これにて「夏」のコメントはお終い。

日本の皆様におかれましては、まだまだ残暑が厳しいでしょから、くれぐれもお身体に気をつけてお過ごしください。熱中症も、まだ要注意でお願いします。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (まさ)
2023-08-30 20:48:30
はじめまして。レイキャビクのマラソン走ってみたいと思い調べていたところ本記事にたどり着きました。寄付のシステムは面白いですね。
返信する
ブログ当事者 (Toshiki Toma)
2023-08-30 23:32:29
まささん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

そうですね、かなりユニークで、かつ賢い方法だと思います。今でも同じ仕方でやっているみたいです。
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Unknown (まさ)
2023-09-03 21:12:39
Toshiki Tomaさん

返信ありがとうございます。
日本のマラソン大会でこのような取り組みはまだ見たことがありません。とても興味深いですね。

日本からエントリーしたとしてこの取り組みに参加できるのかどうか…は不明ですが、それを抜きにしてもいずれ走ってみたいものです。
返信する
ブログ当事者 (Toshiki Toma)
2023-09-05 02:41:18
まささん、
日本からのエントリーでも、参加できないことはないと思いますが... その辺はわりと柔軟なはずです。
私のブログメイルの方へご連絡いただければ、問い合わせ先をご紹介できると思います。
nishimachihitori @gmail.com
返信する
Unknown (まさ)
2023-09-23 20:20:00
Toshiki Tomaさん

ありがとうございます。
ぜひ宜しくお願いします。
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