レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

往く年来る年と「ホントは天使」

2016-01-01 02:00:00 | 日記
新年明けましておめでとうございます。2016年、明けちゃいましたね!

と言いながら、実はこれを書いている今現在、ここアイスランドはまだ2015年の大晦日午後五時になろうか、というところです。まだ「明けて」ないんです。

毎年この日には日本とアイスランドの間の「九時間差」をひたひた感じます。このブログ自体は日本にいる方を念頭において書いていますので、なんとなく自分が、往く年来る年「の間」にいるような気にさせられます。

その「往く年」である2015年ですが、私にとっては相当楽しい年になってくれました。「楽しい」というのは語弊がありますすね、楽しくないこと、残念なこともたくさんありましたから。

「やりがいのある年」だった、という方が正確でしょう。相当忙しかったのも事実で、職務日記をくくってみると、デイオフをとったのが前半(一〜五月末)八日、夏休みが二十一日間、後半(六月半ば以降)が十日と年間で三十九日間でした。

働き蜂の日本の皆さんからすれば、夏休みの二十一日間などは破格でしょうが、休みはガッツリ取るこちらの常識からすると、かなり「不健康」な勤務なのです。まあ不健康とみなされても、自分の好きな仕事をしていられるというのはありがたいことで、本人はただ楽しいだけなのですが。

また「楽しい」という言葉を使ってしまいましたが、それは「笑顔でルンルン」という意味ではありません。私は牧師ですので、おめでたい事柄にも接しますし、難しいこと、つらいことにも接します。自分のことではなくて、相談にくる人のことですが。

そういう周囲に喜んでいる人、泣いている人、怒っている人がいる状況の中で自分自身の職務に取り組むことができるのが「楽しい」「やりがいがある」のです。

新約聖書の中で使徒パウロがこう述べています。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」(ロマ書12:15)

私はこの言葉は好きなのですが、実はパウロという人はあまり好きではありませんでした。やたらとほめたり、叱ったり、泣いたり、わめいたりと落ち着きがない人に思えたので。まあ、最近では多少よく理解できるようになってきましたが。「好き」とまではいきませんが。(^-^;





さて、このパウロの言葉ですが、これは周囲に付和雷同しなさい、とか、横目で様子を見なさい、ということではありません。その意味するところは「良いことの時であっても、悲しいことの時であっても、あなたの隣人と共に生きなさい」ということです。

楽しいことの輪に加わって一緒に喜ぶのは容易いでしょうが、悲しんでいる人の輪の中に入っていくのは、普通には避けたいことではないでしょうか?難病にかかった人が「あっという間に周りから人が消えてしまいました」と嘆いていたのをどこかで聞いた覚えがあります。

ですが、私はなにか倫理道徳的な観点から「悲しんでいる人と共にいないのはよろしくない」などというつもりはありません。そういう風な物言いをする牧師さんは苦手です。

そういう倫理道徳からではなくて、私は、むしろ自分の実際の体験から断定できることがあります。それは、悲しんでいる人や難しい状況にある人たちと「その時、その状況」を共有するからこそ得られる素晴らしいものがある、ということです。

詳しいことは書けませんが、ここ数日、とても大きな悲しみに襲われた家族の方とお会いしています。ご家族の味わっている悲しみとつらさは、私に理解できる範囲のものではありません。「つらいだろうな」と思いながらそこにいるだけが精一杯です。

ですがそんな中で、その家族の方たちと面識があったわけでもないのに、本当に献身的に愛情を持って接している若い夫婦があります。その様子を目撃できるのは、本当に祝福です。ホッとさせられるのです。私はその夫婦は「ホントは天使」に違いないと思っています。

そして、家族の小さな女の子が、泣き悲しんだあとで笑顔を見せてくれました。その笑顔が与えてくれる祝福は、他のなにかで測れるようなものではないと感じました。今年、おそらく最後のblessingです。

困っている状況にある人に援助をしていうように見えながら、実は自分の方がその人からエネルギー、励ましをもらっている、という経験を私は何度もしてきました。これを「神の前での人の平等の一断面」と私は決めつけています。

良いこと悪いこと、嬉しいこと悲しいこと、すべて「往く年」に起こりました。そして、すべて、また「来る年」にも起こるでしょう。

「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい」 新年もそのように心がけていきたいと思っています。せめて時々でも。

この一年、ブログを覗いてくださった皆さん、ありがとうございました。新年もよろしくお願いします。2016年が皆さんにとって幸多い年となりますことをお祈りしています。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント (2)
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