「いい音」
これが実に難しい。
楽器の音の事を言っているんだけど、色んな要素が絡んでくるからね。
単体でいい音もあるし、バンドで混ざった時にいい音に聞こえる場合もある。
弦楽器で良くあるのが、単体で聞くと少しエッジがきつく感じるくらいの方が
全体で混ざった時にちょうどよくなる・・・と言う物。
主にドラムの金物に影響を受けるから、そのあたりの周波数、その音に
似ている部分はマスキングされて消えるから・・・ってのが主な理由だ。
2.5khzから4khzくらいかね。
ま、でもやり過ぎるとダメだし、金物と相まって耳に突き刺さっては本末転倒だ。
ベースに関してもローがあればいいってもんでもない。
ローがありすぎて他の音をマスキングすることもある。
ローを強調しすぎ、あるいはドンシャリにし過ぎたベース音って、3~4弦を
弾いているうちは問題ないんだけど、フレーズによって2~1弦を弾いた時に
ふっとローがいなくなっちゃうんだよね。
以前、素人にもわかりやすいバンドのダメなところとして、リズムの狂い、
音程の悪さって言ったと思うけど、もう一つ、今まであったローがなくなる・・・
ってのも付け加えたい。ずっとあったローが急になくなると不安感に襲われる
んだよね。
まあ、ここまではみんなある程度、予想もつくことではないかと思うんだけど、
それともうひとつ、俺が「これも一つの要素として頭の片隅に入れておけ」って
思うのは”小さい音でも抜ける音”。
音量を上げれば、どんな楽器だって、聞こえるし、フレーズもよくわかるだろうよ。
でも本当に優れた音を出す人は、それほど音量を上げなくても、何をやっているか
綺麗に聞こえて来て、しっかり人に伝わる。
ディストーションで歪み過ぎている人のギターって音量を相当上げないと、
自分が何をやっているか判別出来ないんだよね。
音の塊としては聞こえて来ているけど、フレーズが聞き取れない。
だから音量を上げる、と。そして、ドラムも返してくださいとか本末転倒なことを
言いだすわけ。結果、他のメンバーにも迷惑がかかると。
俺が一つの基準としているのは、いかに小さな音でも、ちゃんと自分が
何をやっているか判別出来る音になっているか。これを一所懸命追求する。
ただ、その音と自分の好みの音は違ってくるかも知れないので、その辺は摺合せを
していく感じかな。
もちろんバンドなんだからある程度のアンプからの出力は必要なんで、ちゃんと
アンプをならして芯を出すのはいいんだけど、必要以上に上げないってことだね。
一つの基準として、上記したわけだけど、バンドの方向性によっても違ってきて
当然だと思う。
例えば、俺はたまにステージに立つわけだけど、その際に、例えばニテレンの
場合は、優先順位が、歌(&コーラス)とパフォーマンス、楽器としてはギター2本が
最上位に来て、ついでキーボードやドラム、ベースなんざまさにベーシックなルート音が
きちんと鳴っていればいいって順位。だからしゃかりきになって自分の音を主張する
必要はない。そういう方向性のバンドだから。
そうやって、ある程度のバンドの方向性に合わせた音作りも必要だと思うよ。
ま、でも以前も書いたけど、民主主義のバンドなら自分の好きな音を追及していいし、
そうでないと面白くもなんともないので、その辺は許される範囲内で自己主張しよう。
爆音にしないといい音にならない音ってのはそもそもどこか間違ってる気がする。
ドラムもそう。結局、「あいつはうるさいんだよね」って言われる場合って、
迫力があるんではなくて、鳴らし方や叩き方がヘタ、あるいは周りを気にしていないから、
協調性のない不必要に手数が多かったり、強弱のない演奏になっているのかも知れない。
反対に音がでかい、迫力があるのにうるさく感じないドラマーっているもんね。
ニテレンのドラマーがそう。演奏中にちょっとドラムキッドに近づくと凄い迫力と音圧のある音が
鳴ってる。でも鳴らし方や手順や手数がうまいのでやかましい感じはしない。
個人的な見解は低音が安定していた方が迫力があって音圧もあり、いい音に聞こえる
気がする。キックよりも金物の方が目立った演奏は音量うんぬんよりやかましく聞こえる
ような気がする。あとはやっぱり手と足がきちんと揃って鳴らしてくれるかかな。
ズレてちゃ迫力も何も出ないよね。
個人的意見だけど。