私の履歴書という日経新聞朝刊のコラムは長年続く人気の欄である。私も当欄で何度か
印象に残った人物や記事を取り上げたことがあるが、池森氏もその生い立ちは興味深い。
11月4日の記事で「我が師の恩」というタイトルで綴られていた中に心に残った文章があった。
当時中学生だった池森少年は家が貧しくて修学旅行に行ける家計状態ではなかったので
本人はとっくに旅行を諦めていたという。ところが当時の担任だった先生は池森少年に
旅行費用の集金係を命じた。「なぜだろう」と思いつつ彼は懸命に集金係をこなした。
そして集金したお金を持って行くと、先生は「おまえも行くんだよ」と言ったという。
彼に集金係を命じたのは「私だけ旅費が払えないことを級友たちに知られないように
配慮してくれた」のだった。しかも旅費はその先生が出してくれたという。今もその
修学旅行で訪れた京都・嵐山の風景は忘れることが出来ないと述懐されている。
涙が出そうな嬉しい美談ではないか。それに引き替え昨今の教師による低レベルな
いじめ問題や教育界のモラル低下は教師のサラリーマン化がもたらすものなのか。
学校は単に教科を教える場ではなく、生身の人間による人間教育の場であることが
疎んじられているからではではないか。
恐らくこの池森少年が担任の先生から受けた温情、粋な計らいは彼の人生感に大きな
影響を与えたことでしょう。
本日は未だ5日目なのでこれからの25日間約1か月池森少年が歩んだ人生の軌跡を綴る物語
が楽しみである。皆さんも是非池森少年の栄光と成功の足跡を見届けて下さい。