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一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『ラスト・サムライ』、観ました。

2005-09-25 15:29:09 | 映画(ら・わ行)
ラスト サムライ

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 『ラスト・サムライ』、観ました。
明治維新後の日本。近代国家の建設を目指し、武士を根絶しようとする
政府に雇われ、 近代的軍隊を訓練する教官として来日したオールグレン大尉。
武士の勝元と出会った彼は、 その誇り高き精神に心を動かされる‥‥。
 2003年度キネ旬5位にランクされた映画ですが、お世辞にも優れた映画とは
思えない。まぁ、青い目をした外国人が撮った「日本」だから、ボクら
日本人が見て笑っちゃうような時代錯誤があるのは当たり前。だからと言って、
今からそのあら捜しをするつもりはないし、そんな時間もありゃしない。
ならば、ボクから見たこの映画最大の欠点は《死こそ名誉》、《死こそ美学》のように
描きすぎてること‥‥。
 ボクは「特攻隊」という言葉が大嫌い。死をも恐れず突進する「特攻隊」‥‥、
ボクから言わせれば、失った彼らの尊い命は“犬死に”だよ(涙)。
ここに描かれるラストの合戦シーンは、まさにその「特攻隊」でしかない。
生きていく上の“誇り”‥‥それはボクにも分かる。だけどその“愚かな悲劇”を
さも「美談」として描くのは、あまりにも幼稚で馬鹿げている。
ボクは美しい死を選ぶより、惨めでも生きていく方が遥かに素晴らしいことだと
思うけどね。
 さてさて、ぐだぐだと酷評ばかりしてきましたが、勿論この映画を観て
嬉しかったこともありました。それは監督がこの作品を通して日本の文化に
心から“敬意”を持ち、何より“美しい日本”を撮ろうとしたのが分かったこと。
例え二流の映画でも、一生懸命作ってさえいれば、その気持ちは観客に
伝わるもの。その辺のところが受けて高評価をされているんでしょう。
観終わってスッキリ、“気持ちの良い駄作”でした。


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