
世間では徹底したコストダウンが行われていることに焦点が当たっているが、実はトヨタが乾いた雑巾を絞るのは、ケチるのが目的ではなく、知恵を出すということの表現なのだそうです。
例えば、トヨタの工場内には他社には当たり前のように導入されている部材の自動搬送機が殆ど導入されていません。何故なら、機械化されていると繁忙期のピーク時にも人手が掛からない効率化が一見良さそうに見えますが、閑散期には機械が遊んでいる訳です。
しかも、自動搬送には電気代もメンテナンス費用も重みます。
トヨタは、作業工程の流れにわずかな傾斜をつけて移動させて行く方式を採用し、ピーク時にはホワイトカラーの社員を導入して切り抜けているのだそうです。
これが知恵を絞ったコストダウンなのです。
私は、会社員時代自動車や物流業界を相手に商売をしていましたのでよくわかるのですが、同業界では企業理念の浸透や人材のレベルも明らかにクビ一つ抜けた企業でした。
徹底した合理化を進めた日産のゴーン氏が目立っていますが、トヨタは自社を立て直す為に末端の零細企業を切り落とすという手段を避けて工夫を続けた日本人らしい会社です。
社員も、仕入先部品会社も全て親戚同様に考え、その中で生き残る知恵と工夫を全員で考えようという姿勢です。
だから、彼らが乾いた雑巾を絞るというのは、もう無いと思っても、もう一度みんなで考えて知恵を出そうじゃないかという合言葉だったのです。
素晴らしい。
乾かない知恵とアイデアの泉 Topdas