徒然草Ⅱ

「アッ!」「イイねえ!」「ウッソー!」「エーッ!」「オおぉ!」ということを書きたい!?
(読書日記備忘録を中心として)

敗者たちの想像力 ~脚本家 山田太一~

2012年11月16日 | 伝えたい思い

書名   敗者たちの想像力
      ~脚本家 山田太一~
著者   長谷 正人
発行社 岩波書店
発行年 2012年7月26日
頁数   233頁
価格   2,100円+税

『男たちの旅路』『岸辺のアルバム』『想い出づくり。』『早春スケッチブック』…。浪人生、障害者、四流大学生、高卒のOL、老人等、社会的な敗者たちが不自然なリズムで対話を重ねる山田太一のテレビドラマ作品は、一九七〇年代以降の日本社会に何を問うてきたのだろうか。
誰もが、負けること、失敗することを極度に恐れているようにみえるいま、山田作品を通して「負ける」ことの意味を考え直し、「敗者」の視点や想像力の可能性を描き出す。

目次

第1部 敗者たちのドラマ(遅刻者が書く山田太一論
「敗者」としてのテレビ脚本家
『岸辺のアルバム』―劣等感を生きる若者たち
『男たちの旅路』―「敗者」としての戦後日本)
第2部 後衛的作家としての山田太一(「敗者」のメタ不条理劇
前衛劇の後を描くドラマ―寺山修司と山田太一
『早春スケッチブック』―「敗者」の逆転劇
不機嫌なドラマ―「シラケの時代」のテレビドラマ
『それぞれの秋』―後衛のヌーヴェル・ヴァーグと内気な青年)
第3部 ポストモダン社会とテレビドラマ(『輝きたいの』―私生活とテレビの輝き
テレビドラマと消費社会
『思い出づくり。』―キャラが立つこととリアリズム
『シャツの店』―鶴田浩二というキャラクター
ドラマにおける一般性と固有性―大型ドラマの時代と山田太一)
第4部 テレビメディアという神秘―怪異譚の可能性(キツネに化かされる話
『日本の面影』―敗者の思想としての怪異譚
『異人たちとの夏』―優しい幽霊たち
孤独な声のコミュニケーション
『本当と嘘とテキーラ』―テレビに化かされる話)
第5部 終わった後からドラマが始まる(『終りに見た街』―戦時下を生き直すメタ・ドラマ
終わった後からドラマが始まる
『3人家族』―悔やむ恋愛劇
『墓場の島』―アイドル引退宣言のドラマ
敗者の想像力)

・「ここに自分がいるのは、目に見えない大いなるもののおかげかもしれないとは、思わないかね?」