それからパパは、しばらくの仕事を休むことになった。そして、夜中にふらりと、いなくなってしまう。木靴をはき、ウインドヤッケを着て。近所に行くときの木靴。遠くへ行くときのウインドヤッケ。近くと遠く。いったいどこをさがしたらいいんだろう。そんなときはいつも、あの鳥が、ヨアキムの夜をおおった。ノルウェー文学賞、ドイツ・ユーゲンバッハ賞などに輝く北欧文学の傑作。
北欧の美しい自然を背景に、心の病に悩む父親に小さな胸を痛める少年の不安を、ファンタジーとリアリズムを見事に融合させた手法で描く。
叙情的な文章。公園、雨のなかの散歩。世界の果ての日向山…。の風景や自然のささやきは、一切の無駄がなく。書かれていない心情を読者が想像するような余韻を残していく。
ヨアキムの不安、葛藤。そしてパパやママの世界。また、その他の子ども達を取り囲む世界は、日本も北欧もないんじゃないのかな?
大人の世界は同時に子どもの住む世界をであって、切り離せるものでは無い。同じ時を生きる人間として、対立せず同時に描かれているものだと思う。
心の不安が膨らんで、夜の鳥がばたばたざわめく…。
とっても不安だけど…。
希望がないわけじゃない。
魔女だと思っていたおばあさんは、子ども好きの優しいおばあさんだったし、
知らないで恐れていたことや、友達の抱える事情などを知るたびに。
怖がらないで、ちゃんと、嫌って言える勇気も…。
心を痛めながらも、ヨアキムは、少しずつ成長していきます。
児童文学って、いうけど、大人の読むような小説に感じます。
続編もあるようなので読んでみたいです。