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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

宮部みゆき「小暮写真館」

2011-09-22 | 小説
物語のすべてが詰まった700ページの宝箱。現代エンターテインメント長編。
もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか。ようこそ、小暮写眞館へ。
かなり分厚い一冊でありましたが…。
推理小説から時代小説。青春小説まで幅広いジャンルを手がける宮部さんらしく上手にまとまっていました。
幽霊じゃなくて、写真に写る超不思議な試写体は。人間の心理。
世の中には、何故か、理由もなく、不思議な出来事がいろいろあるけれど、人と心ほどフクザツなものはない。
最終章の「鉄路の春」では、ついに明かされる花菱家の家族の秘話。
4歳で亡くなった風子のこと。その想いを深く心に秘めている、一人一人の家族。そして、親族との確執。
特別じゃない普通の家族に。ちょっとのすれ違いやわだかまり。
様々な家族の形が、核家族の中で、更に多様化している感じがしました。
花菱家はもとより、友人のテンコ。橋本。コゲパン。そして、1章、2章で明かされた家族の物語。小暮さん。様々な人生を運んで物語は、進んでいく。
それが、どんどんと進んでいく電車のように。
垣本順子さんとは、ハッピーエンドかと思ったけど。
いい感じの別れが訪れて。
人生にはね。あるとき、ある場所で。
ある人に、自分にとってとても大切なことを知ってもらいたいと思う。
どうしても知ってもらいたいと思う。
けどね。それを知ってもらったら、もうそれまでもような距離ではいられない、ということがあるんだよ
人や想いでもあらゆるものを乗せることができる鉄道。
土地と土地を繋ぎ、人と人とを結びつける。
でも、そんな鉄道にも、たった1つだけ乗せられないものがある~それは駅
春、大学入学した英一のもとに届いた。春の駅の写真一枚~小湊鐵道、飯給駅
あたしはとっくに走り出している。
いつまでも停まってるんじゃないよ。駅は長居する所じゃない。走り出せ。英一
そうだ、走ろう。鉄路は続いているのだから。今はまだ見えないどこかに向かって走ろう。
そこにはきっと、春の花がいっぱいに咲いている。
おわりも。すっきり、そして分厚い表紙を閉じて。
装丁の菜の花と桜満開のなか、走る電車と青空をみて。余韻を感じる一冊です。


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2 コメント

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Unknown ()
2011-11-07 15:48:07
はじめまして。
トラックバックさせていただきました。
宜しくお願いします☆
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Unknown (mint)
2011-11-08 08:41:25
夏休みの宿題の読書感想文なみの文章ですが
訪れて頂き。ありがとうございます。
乱雑な読書記録です。よろしくお願いします。
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