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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

小川洋子の偏愛短篇箱

2009-10-31 | 小説
「この箱を開くことは、片手に顕微鏡、片手に望遠鏡を携え、短篇という王国を旅するのに等しい」小川洋子が「奇」「幻」「凄」「彗」のこだわりで選んだ短篇作品集。谷崎から田辺聖子まで。各作品ごとに書き下ろしエッセイ付き。 奇…「件」~内田百、「押絵と旅する男」~江戸川乱歩、「こおろぎ嬢」~尾崎翠、「兎」~金井恵美子 幻…「風媒結婚」~牧野信一、「過酸化マンガン水の夢」~谷崎潤一郎、「花ある写真」~川 . . . 本文を読む

中島京子「女中譚」

2009-10-30 | 小説
昭和初期の林芙美子、吉屋信子、永井荷風による女中小説が『FUTON』の気鋭作家によって現代に甦る。失業男とカフェメイドの悪だくみ、麹町の洋館で独逸帰りのお嬢様につかえる女中、麻布の変人文士先生をお世話しながら舞踏練習所に通った踊り子……。レトロでリアルな時代風俗を背景に、うらぶれた老婆が女中奉公のウラオモテを懐かしく物語る連作小説集。 行間もあり、難しい言葉もなく。すみ婆さんの語りが、昭和初期の . . . 本文を読む

「ぐりとぐらのおまじない」

2009-10-29 | 絵本
中川李枝子・作  山脇百合子・絵のロングセラー大好きな「ぐりとぐら」シリーズ 「あめが ふろうと かぜが ふこうと きょうは いいこと あるように ちちんぷいの ぱっ……」「なみだが でそうに なったらば はを かみしめて なきむし おいだせ ちちんぷいの ぽい……」あら、不思議、おまじないを唱えると、気分爽快、元気いっぱい、困ったこともたちまち解決。ぐりとぐらから、子どもたちへ贈る応援歌のよう . . . 本文を読む

嵐山幸三郎「文人悪食」

2009-10-27 | エッセイ
「何か喰いたい」臨終の漱石は訴え、葡萄酒一匙を口に、亡くなった。鴎外の好物は、ご飯に饅頭を乗せ、煎茶をかけて食べる「饅頭茶漬」。鏡花は病的な潔癖症で大根おろしも煮て食べたし、谷崎は鰻や天ぷらなど、こってりした食事を愉しんだ。そして、中也は酒を食らって狂暴になり、誰彼構わず絡んでいた。与謝野晶子、北原白秋、江戸川乱歩、三島由紀夫ら文人たちの意外な「悪食」の数々 三十七人の文士の食卓それぞれに物語が . . . 本文を読む

谷川真理「マラソン完走BOOK」

2009-10-25 | 実用書
目標を持って走れば、ランニングはどんどん楽しくなる。42.195kmを無理なく走れるようになるプロセスを段階ごとにビジュアル解説。シューズ・ウェアの選び方、効果的な食事内容もわかりやすく紹介 わかりやすく。とにかく、オールカラー谷川さんの写真、全身写真付きだ。 正しいフォームの確認。など、文字を読まなくてもよいし。どのページを開いても、美しい。体幹がしゃんとした。均整の取れた谷川さんの肉体美に . . . 本文を読む

「仕事力」紅版

2009-10-24 | 新書・社会
朝日新聞求人欄に連載中の、元祖「仕事本」シリーズの第3弾。茂木健一郎、小柴昌俊、森永卓郎、矢沢永吉など15人が、自らの体験や、「仕事」「働くということ」への思い、社会で生き抜くコツを語る。大不況の今こそ原点に戻り、充実した人生を得るヒントが満載。 15人の「仕事力」 「理想(雇用)と現実(経営)」の相反する思いを同時に受け止める必要がある。働く人それぞれが仕事の意味を見つけ。経営者は従業員、地域 . . . 本文を読む

辰巳芳子「いのちの食卓」

2009-10-23 | エッセイ
料理をすることは、人を信じて、愛することです。料理をするすべての人へ。なぜ人は食べるのか、なぜ料理するのか…日々食卓をととのえるお母さん方におくる、『食』を生きる“いのちのことば”集。じつはいちばん手間のかからない「シンプル蒸し料理」12品、幼児や老親のいる家庭にこそ「厳選煮物料理」6品、人生を幸せに終えるための「基本介護スープ」3品のレシピ付 食べること、料理を作ることとは? 食の安全に対して . . . 本文を読む

田辺聖子「女のおっさん箴言集」

2009-10-21 | 新書・社会
「死んだときに『ええ子やったなァ。あれは』とまわりが言ってくれるというのが、人間の仕事みたいな気がするわ」 「女というのは、(ウソだ)と思っていても、酔わされるのが好きなんである」 「女にとってグチをいいあう相手のないのはじつに不幸なことだ」---- 小説の中で、男や女が<やっさもっさ>の最中、フト思いつくこと。ストーリーの脇道にあるけれど、なぜか心に残る言葉。それらの中に、思わずドキリとす . . . 本文を読む

辰巳芳子「この国の食を守りたい」

2009-10-16 | 新書・社会
人の生命を確かに守り育て得る食べ物の向こうには、必ず信頼に足る人物が存在している。 世界の食の問題の中における日本の食の位置づけ。良い仕事をする人を知って欲しい。作る人の志に思いをはせる事が、この国の食を守ることだと。 本物の向こう側にある人の姿。 1章主食と調味料、2章海産物と農作物、3章、肉類、乳製品と果物甘煮、嗜好品類、4章対談。日本全国から作り手の真意が伝わる食材を写真入りで紹介。ま . . . 本文を読む

湊かなえ「告白」

2009-10-10 | 小説
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である 愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。第29回小説推理新人賞受賞。 30代で、デビ . . . 本文を読む

「自然について私の考えを話そう」

2009-10-08 | 新書・社会
各界の著名人が、独自の視点と言葉で山と自然を語るインタビュー集。専門的な山の世界の視点ではなく、外の世界の人間からみた山、そして、自然の姿とはどういうものか。普遍的かつ深い示唆に富む内容がごく平易に語られ、どんな読者にとっても、自然に思いを致すきっかけとなる一行がある。『山と溪谷』本誌連載を単行本化 そうか、こんな考え方もある。自らの仕事をとおして語る、人と山と自然。 安藤忠雄~建築家・機能性 . . . 本文を読む

谷村志穂「空色 水曜日」

2009-10-07 | エッセイ
作家・谷村志穂が生まれ育った北海道の思い出やお気に入りの場所を綴ったエッセイ集。イラストマップなどガイドブック的な要素のほか、札幌を舞台にした2本の書きおろし短編小説を収録。 北海道を離れ、東京にお住まいの谷村さん、お子さんの誕生をきっかけに、ちょくちょく札幌に帰省してお仕事もするようになったようですが、そんなおりに、改めて、この地の素晴らしさを感動と共に伝えてくれます。同世代である彼女から見 . . . 本文を読む

「満月をまって」

2009-10-03 | 絵本
BASKET MOON 文~メアリー・リン・レイ、絵~バーバラ・クーニー、訳~掛川恭子 2000年3月に亡くなった人気絵本作家クーニーの最後の作品。木の声を聴き、風のうたを編む、かご作り職人の美しい心を描いた絵本。 今から100年以上前、アメリカのニューヨーク州ハドソンからそれほど遠くない山あいの地方に、かごをつくつて生計をたてる人たちがいました。じょうぶで美しいかごをつくるための技術としずかな . . . 本文を読む

”手”をめぐる四百字

2009-10-02 | エッセイ
手の宇宙について、五十人が想いをめぐらせ、自筆で綴った。その手の跡をたどれば、書き手の息づかいが聞こえ、生きる姿があらわれる。 手は小宇宙だ 合掌 弥勒菩薩の右手 拍手は無言の心の玉手箱 持ち手と受け手 てのひらというばけもの 左右の手は神を呼ぶ 手の始末 男の手 手が誘う笑い 計る手 手の記憶 悪の手 よく働く手 父のにぎりこぶし 母の手 手は何でもする 妙なる手 手いじらば意地ひけ てのひ . . . 本文を読む

村上春樹「意味がなければスイングはない」

2009-10-01 | エッセイ
シューベルトからスタン・ゲッツ、ブルース・スプリングスティーン、スガシカオまで、音楽と作家のファンキーだけど奥の深い十篇。 月が消え、恋人に去られ、犬に笑われても、なにがあろうと音楽だけはなくすわけにはいかない。良き音楽のある世界の成り立ちについて、どこまでも語り尽くす全10編。 表題は、「スイングがなければ意味はない」It Don't Mean a Thing, If It Ain'tGot . . . 本文を読む