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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

長田弘「詩ふたつ」

2010-07-28 | 詩、短歌、俳句
「花を持って、会いにゆく」「人生は森のなかの一日」という長田弘の詩2篇と、画家クリムトの絵が対になった愛蔵版詩画集。誰にも訪れる、愛する人を失うという経験。「死」の悲しみをやさしく癒し、大切な人との「絆」を静かに伝えてくれる一冊 「花を持って、会いにゆく」 春の日、あなたに会いにゆく。あなたは、なくなった人である。どこにもいない人である。 どこにもいない人に会いにゆく。きれいな水と、きれいな . . . 本文を読む

道尾秀介「光媒の花」

2010-07-27 | 小説
印章店を細々と営み、認知症の母と二人、静かな生活を送る中年男性。ようやく介護にも慣れたある日、幼い子供のように無邪気に絵を描いて遊んでいた母が、「決して知るはずのないもの」を描いていることに気付く……。三十年前、父が自殺したあの日、母は何を見たのだろうか?(隠れ鬼)/共働きの両親が帰ってくるまでの間、内緒で河原に出かけ、虫捕りをするのが楽しみの小学生の兄妹は、ある恐怖からホームレス殺害に手を染めて . . . 本文を読む

長田弘「幸いなるかな本を読む人」

2010-07-26 | 詩、短歌、俳句
25冊の書物をモチーフに綴られた詩集 ・梶井基次郎「檸檬」 ~読むことは歩くことである。歩こう。空で。鳥の声がした。街へでる。じぶんの街を、初めて歩く街のように歩くのだ。…略。人は死ぬが、よく生きた人の言葉は、死なない。歩くことは読むことである。老人は掌に檸檬を握っていた。 ・プラトーン「ソクラテスの弁明」 ~人は今も、二千年前とすこしも変わらない理由で、死ぬ。時刻だからね。もう行かなけれ . . . 本文を読む

近藤史恵「エデン」

2010-07-24 | 小説
あれから三年―。白石誓は、たった一人の日本人選手として、ツール・ド・フランスの舞台に立っていた。だが、すぐさま彼は、チームの存亡を賭けた駆け引きに巻き込まれ、外からは見えないプロスポーツの深淵を知る。そしてまた惨劇が…。ここは本当に「楽園」なのだろうか?過酷なレースを走り抜けた白石誓が見出した結論. 春にサクリファイスを読み直して二度ブログに感想をかいたほど。魅力的なロードレース。待っていました . . . 本文を読む

「好き、だった。」

2010-07-17 | 小説
人生はじめての、たいせつな失恋。好きになったのは手に入ってはいけない人だった――有川浩「失恋の演算」安西さんには妻があるが、「そんなの構わない」と思っていた――朝倉かすみ「ノベライズ」売れない漫画家で実質ニートの僕の、娘ミカが最近初恋をしているらしい――石原まこちん「タマママーンを探して」好きって気がついたけど、村崎くんは遠くに行ってしまった――宮木あや子「はじめてのお葬式」もうこれでだいじょうぶ . . . 本文を読む

佐藤愛子「わが孫育て」

2010-07-16 | エッセイ
ある日、私は桃子に訊ねた。「桃ちゃん、サンタクロースは本当にいるのかな?どう思う?」桃子はいった。「去年まではいると思ってたけど…」「今年は?」「どうもいないらしいなァと思ってる」それから困ったようにつけ加えた。「いるといないとのせめぎ合いなのよ、今んとこ」「そうか…せめぎ合いねえ…」 孫への愛情あふれる日々をユーモラスに描くエッセイ集。 紹介文のわりには、お孫さんのエッセイは全体の1/5も無 . . . 本文を読む

有川浩「キケン!」

2010-07-12 | 小説
既にサークルの域は出た。活動内容もそうだが、集う人間の危険度が、だ。ヤバイ奴らが巻き起こす熱血青春ドタバタ劇。理系男子って皆こんなに危ないの? 成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。   有川さん。完全 . . . 本文を読む

恩田陸「私の家では何も起こらない」

2010-07-10 | 小説
この家、あたししかいないのに、人がいっぱいいるような気がする・・・・・・ようこそ、丘の上の幽霊屋敷へ。恩田陸が描く、美しく不穏なゴーストストーリー。小さな丘の上に建つ二階建ての古い家。この家は、時がゆっくり流れている。幽霊屋敷と噂されるその家にすむ女流作家は居心地のよいこの家を愛している。血の海となった台所、床下の収納庫のマリネにされた子どもたち・・・・・・いったいこの家にはどんな記憶が潜んでいる . . . 本文を読む

森田健「神のなせる技なり」

2010-07-09 | 小説
神に委ねられていた輪廻転生を人間の手によって行う物語。様々な角度から時空の不思議を研究してきた森田健の15年におよぶ調査結果から生み出された、衝撃の仮説小説。主人公たちが時空を自在に行き来し、魂や運命といったテーマを科学的アプローチで緻密に表現した短編連作小説三篇を収録。「神はなぜ宇宙を創り、知的生命体を創ったのか?」という問いに文学と科学の両面から圧倒的なスケールで迫る!●記憶の技最新のコンピュ . . . 本文を読む

有川浩「シアター」

2010-07-05 | 小説
小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は . . . 本文を読む