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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

乃南アサ「すれ違う背中を」

2010-12-29 | 小説
「過去」の背中に怯える芭子。「堀の中」の体験をいまだ不用意に口走る綾香。しかしやっと、第二の人生が、ここ谷中で見えてきた二人だった。コトが起こったのはちょうどそんな頃。二つの心臓は、すれ違った彼らにしばし高鳴り、しばし止まりかけた。ムショ帰りコンビのシリーズ第二弾 「いつか陽のあたる場所で」を読んでいないし、乃南さんの本はそんなにも読んで強い印象が残っていない。 読みやすい。女性っぽい感情。日 . . . 本文を読む

伊坂幸太郎「バイバイ、ブラックバード」

2010-12-27 | 小説
「理不尽なお別れはやり切れません。でも、それでも無理やり笑って、バイバイと言うような、そういうお話を書いてみました」(伊坂幸太郎)。太宰治の未完にして絶筆となった「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語! 太宰治の未完の絶筆「グッド・バイ」から想像を膨らませて創った、まったく新しい物語。1話が50人だけのために書かれた「ゆうびん小説」 読みながら笑った小説は、久々だな~。 . . . 本文を読む

伊坂幸太郎「ラッシュライフ」

2010-12-25 | 小説
泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる lash~名詞・鞭打つこと、(機械可動部 . . . 本文を読む

三崎亜記「となり町戦争」

2010-12-23 | 小説
ある日、突然に始まった隣接する町同士の戦争。公共事業として戦争が遂行され、見えない死者は増え続ける。現代の戦争の狂気を描く傑作。文庫版のみのボーナストラック短編を収録。小説すばる新人賞受賞作品。 ある日、突然にとなり町との戦争がはじまった。だが、銃声も聞こえず、目に見える流血もなく、人々は平穏な日常を送っていた。それでも、町の広報紙に発表される戦死者数は静かに増え続ける。そんな戦争に現実感を抱け . . . 本文を読む

まどみちお「百歳日記」

2010-12-22 | 新書・社会
百年を生きた詩人が見つめた、いのち、自然、宇宙――NHKスペシャル「ふしぎがり~まど・みちお百歳の詩」から生まれた本。童謡「ぞうさん」で知られる詩人まど・みちお。老いてなお、果てなく自由な感性の源はどこにあるのか。身辺の小さな発見を書きとめたノート、入院を機に再び描き出した絵を引きながら、百歳の日々を語る。NHKスペシャル『ふしぎがり~まど・みちお 百歳の詩』待望の書籍化。「れんしゅう」「トンチン . . . 本文を読む

朝倉かすみ「声出していこう」

2010-12-20 | 小説
平凡な街の地下鉄駅構内で通り魔事件が発生。怪我人、十数名。犯人はそのまま逃走、まだ捕まっていない。  その事件の余波で部活が休みになった男子中学生・マサノリは、母親に頼まれて大型スーパーに買い物に行き、小学校の同級生・西田とばったり会う。西田には「うざキャラ」のためかつて軽くいじめられた過去があった。  作家に恋する女子高生。自称「モテ男」の家業手伝い(ラーメン屋)兼自宅浪人生。4歳のとき世界 . . . 本文を読む

「このゆきだるまだーれ?」

2010-12-17 | 絵本
もみちゃんがそりにのろうとしたら、りすくんとぶたさんとくまさんといぬくんとうさぎさんが「のりたいな」「のってもいい?」とやってきました。そこで、みんなで山の上から、しゅうううううっ。 ところが、まずりすくんがおっこっちゃった!「くるくる とん!」おや、ぶたさんも「ころん すとん ぶー」そしてくまさんも…。 動物たちはつぎつぎにおっこちて、ころがって、ころがってもみちゃんだけが、そ . . . 本文を読む

武田康男「世界一空が美しい大陸南極の図鑑」

2010-12-17 | 図鑑
世界一美しい星空、圧倒されるようなオーロラ、信じられない景色をつくり出す蜃気楼、言葉を呑むような美しさを持つ朝焼け・夕焼け。 南極でしか見られない自然現象を170点以上の写真と科学的な解説で紹介する。 南極へ行きたいと思ったのは、そこに世界で一番美しい空があるからです。… 空の現象を追い求めて、観察・撮影をする武田さんが、南極地域観測越冬隊員として昭和基地に自然現象を科学のデータ . . . 本文を読む

伊坂幸太郎「グラスホッパー」

2010-12-14 | 小説
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説 . . . 本文を読む

朝倉かすみ「ともしびマーケット」

2010-12-11 | 小説
吉川新人賞受賞後第一作の長編小説” 自己破産した男、片思い中の中学生、行き遅れた中年女性──ここ「ともしびマーケット」で、いろいろな人生が重なり合う。それぞれの「いい日」を夢見て。 誰かの「いい日」に、ともしびを。たくさんの買い物客がうごめいています。みんなあんなに生きている。スーパーマーケットの白くあかるい照明にひとしく照らされている。たくさんの人生の「一日」 ほのぼの~っとした . . . 本文を読む

益田ミリ「オトーさんという男」

2010-12-04 | エッセイ
なんでもお母さんを経由して言う○二人っきりになると話すことがない○好きなレストランはバーミヤン○チャンネル権を握っている○誉められたいと思っている......身近なはずなのに、なんとなく距離がある。好かれたい気持ちが空回りで、なんだか見ていて気の毒になる。娘の目から見ると、わかりやすいようでわかりにくい、「オトーさん」の生態を優しく鋭く観察? するコミック&エッセイ。 「娘」の目に、オト . . . 本文を読む

「通勤電車でよむ詩集」

2010-12-03 | 詩、短歌、俳句
次の駅までもう一篇。足りないのは、詩情<ポエジー>だった。 北原白秋、谷川俊太郎、ディキンソンなど、生の真髄をうたう古今東西の名詩41篇。 多くの人と乗り合わせながら、孤独で自由なひとりの人間に戻れるのが通勤電車。揺れに身を任せ、古今東西の名詩をよめば、日常の底に沈んでしまった詩情がしみじみとたちのぼる。生きることの深い疲労感を、やさしくすくいあげてくれる言葉の世界へ、自らも詩人である編者が誘 . . . 本文を読む