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矢野直美「北海道幸せ鉄道旅15路線」

2010-04-26 | エッセイ

ガイドブックにない風景との出合いを求めた、約3年にわたる各駅停車の旅。「鉄子ブーム」のパイオニア的存在として知られる著者が、出身地・北海道の鉄道の魅力を旅情あふれる写真と文章でていねいに綴ります。廃止された「ふるさと銀河線」の貴重な写真を含め、15路線を徹底網羅。北海道と鉄道旅がもっと好きになる、旅のおともに最適の一冊です。

大好きな北海道にちゃんと好きだと言いたい~そう思いながら写真を撮り文章を綴った。北海道へのラブレター。

一枚一枚の写真を見るだけで、納得します。愛が…あふれちゃって。

高い空。美しい原野。どこまでも続く緑のグラデーション。大げさな表現の北海道気質の人たち。鉄道でしか行けない無人駅。行ってみなければ分からない。何が起こるか分からない旅の面白さ。市電。真っ白に輝く雪原。樹氷の景色。動物の足跡。アイスキャンドル。なぁんにもないのが心地いい。金色に枯れる秋の原野。雪化粧の大地で、サラブレット達が白い息を吐きながら駆け回る。花に彩られる山。牧場風景

何か特別な理由があって旅するのではない。目的もない。ただ旅したい気持ちがあって、移動して、知らない土地を歩くのが好き。季節の香りに包まれながら流れる景色を眺めるのがいい。ただ揺られて運ばれていくだけの目的のない旅。

人には想像の翼があるから、いろんな旅ができる。物語を読み、映像を目にし、話を聞き、見知らぬ場所を想像する。インターネットが普及した今は、世界中を旅した気分にもなれる。けれど、やっぱり自分の足で歩きたい。風に吹かれ、言葉を交わし、不確定的要素に迷ったり悩んだり笑ったりしたい。自分の足で歩き続けられる限りは、ずっと~。

行ってみたいと思う場所があり、帰りたい町がある。このふたつを結ぶ鉄道に、恋をしている。たぶん、これからもずっと。

各駅停車の旅。心の中の中心にある北海道。どこを旅しても、どこで暮らしても。そんな故郷があるのは幸せだという著者の愛が溢れるエッセー集です。

 



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