Indoor airplane world
 





 ENC-03Rという超小型の圧電振動ジャイロ、単体ではなかなか入手できません。そこで秋月電子の圧電振動ジャイロキットを購入しました。



 この超小型ジャイロチップははんだ付け端子が基板に隠れてしまうため、通常のはんだゴテででは基板にはんだ付けできそうもありません。画像左は一世代前のENC-03Mです。キットにはほかにハイパスフィルタ、ローパスフィルタ、出力のDC成分除去回路パーツなどがセットされています。

 ENC-03Rは大きいENC-03Mに比べて温度ドリフトが大幅に少なくなっています。インドア・ヘリコプタに使う場合は少しでも軽いジャイロがよいので、周辺回路部品をなるべく省略したいところです。小さくできれば最も振動の少ないメインマスト付近に取り付けることも可能になります。

 ENC-03RもENC-03Mも2.7V-5.25Vの供給電圧で動作し、静止時の出力電圧は1.35Vです。回転角速度の変化により出力電圧が1.35Vを中心にプラス/マイナスに変化します。この変化をヘリコプタのテール・モータにフィードバックしてラダーを安定させます。

 さてジャイロを作るにはまず基板上のジャイロチップを取り外さなければなりません。はんだゴテでは難しいのでヒートガンを使います。ジャイロチップはピーク温度245℃を超えないようにしなければならないので、熱電対等で表面温度を測りながら外せばよいのですが、はんだが溶ける温度よりピーク温度のほうが高いので注意深く加熱すればその必要はありません。





 前回はジャイロの電源にDCDCコンバータで昇圧した5Vを供給しましたが、R4J受信機内部に安定化された3Vがあるので、その電圧をジャイロに供給することで少し軽くなります。

 ジャイロはゲイン調整ができたほうが便利ですが、4#3Bヘリコプタに搭載されている2.4GHz受信機はゲインが固定です。電池電圧の高い初期では若干ジャイロゲインが高く感じられますが、中盤は適切でとてもよくセッティングされています。そこで今回はジャイロゲインを固定にしてみました。

 ジャイロを作るには、ジャイロチップの出力電圧(アナログ)をデジタル変換できるA/Dコンバータ内蔵のPICマイコンを使います。受信機からの信号をジャイロ出力とミックスしてラダー用スピードコントローラに渡します。

 A/Dコンバータ内蔵PICマイコン(PIC10F222OT)、ジャイロチップ(ENC-03R)、コンデンサ、それに基板があればジャイロが作れます。ただしPICマイコンにプログラム書き込む必要があります。

 思い通りに動作するジャイロ・プログラムを作るにはそれなりに時間がかかります。開発環境のMPLABを使ってプログラムを組み、シミュレーション・デバッグし、出来上がったHEXファイルをPICマイコンに書き込み、入力と出力を(二現象)オシロスコープで確認します。

 今回はテストなのでプログラム変更ができるようにDIPタイプのPICとソケットを使います。ジャイロチップも大きなほうを使います。

 電源投入時に毎回ジャイロのキャリブレーション設定を行うのはわずらわしいので、静止時の出力電圧1.35V(カタログ値)と角速度変化出力電圧を比較するプログラムにします。これでバッテリ接続後すぐにフライトできるようになります。



 こうして作ったPICマイコンを受信機に貼り付け、ジャイロチップは極細ケーブルでメインマストに近いサーボケースに貼り付けました。ジャイロを受信機付近に取り付けるのに比べて格段に振動の影響を受けにくくなります。

 早速バッテリ4パック分テストしてみました。満充電した電池で初期のフライトから終了までジャイロゲインもほどよく、ジャイロのドリフトもほとんど感じられません。この状態でしばらくテストを続けてみようと思います。

■基板からジャイロチップを取り外す方法についての追記(2009/1/12)
 熱したホットプレートの上に基板を載せてピンセットでジャイロチップをつまみ、はんだが溶けたらすばやくつまみあげればジャイロチップにダメージを与えることなく外すことができそうです。試した人がいたらコメントしてください。


その2へ その4へ


コメント ( 4 ) | Trackback (  )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする


« 4#3Bをコンピ... 4#3Bをコンピ... »
 
コメント
 
 
 
ENC-03R (こうだ)
2009-01-12 10:07:13
tokoさんおはようございます、先日秋月に行きましたらENC-03R単品で販売をしていました、かなりの人が秋月に単品購入いらいが有ったようです。とりあえずお知らせまで。
 
 
 
情報ありがとうございます (toko)
2009-01-12 10:12:12
ENC-03Rが単品で購入できれば、ジャイロ製作も楽になりますね。
 
 
 
ホットプレートによる秋月キットからのジャイロ外し (沼田)
2009-01-15 15:49:46
tokoさんのアイディアのホットプレートによるジャイロ外しに挑戦してみました。私のところのホットプレートは丁度MAX温度が230度(破壊限界の240度以下)設定でしたので200度以上の温度に設定して、秋月キットのジャイロ基板側だけを折り取って、ホットプレートの上に載せて、ほんの数分でピンセットで簡単に取れました。これなら、秋月のキットから簡単にジャイロのみを確保できそうです。以上、参考になれば。
 
 
 
ホットプレートで (toko)
2009-01-15 18:38:44
簡単に外れたとの情報ありがとうございました。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。