自殺や未履修問題のどさくさにまぎれて、と言ってはきついかもしれませんが、昨日、教育基本法の改正案が、委員会で与党単独採決をされ、今日にも衆議院を通過する運びです。
安倍内閣の最重要法案で、“国民も改正を望んでいる” その根拠にしていたタウンミーティングの議論でやらせが発覚。大問題だと思うのですが、未解決のまま。一方の民主党も、自民党以上に乗り気かと思わせた時期がありましたが、いつの間にやら、絶対反対の社民党なんかと組んで審議拒否。
これまたどっちもどっちでがっかりです。 まじめにやれ!と言いたくなります。
さて、その教育基本法、”愛国心” ばかりが取り上げられますが、その疑問は以前に 『 愛国心 (田原総一朗、西部邁、姜尚中) 』 のところで触れました。
みなさんは教育基本法読んだことがありますか。わずかA4用紙に1ページくらいしかありませんので、ぜひ全文お読み下さい。 当教室のHP上にUPされています。
→ 教育基本法全文 http://tokkun.net/kihon.htm
どこを読んでもまずそうなところはないと思いませんか。この法律を急いで変える必要がどこにあるのか。
また、制定された当初(昭和22年)、日教組はこれを“官僚的な悪文だ”と、制定そのものに反対でしたが、今は「今の教育基本法は子どもたち一人一人を大切にする素晴らしいものだから改正は必要ない」と言います。あれ? このように日教組の姿勢が180度変わってしまったのはなぜでしょうか。
実は改正のポイントは第十条。そこに、「教育は、不当な支配に服することなく」 とあります。過激な教員や組合はこれを拡大解釈して、学校から “管理” という考え方を徹底的に排除してきました。
戦前の教育に対する反省から、権力に屈せず、良心に基いて生徒に向かい合うのは結構なことですが、干渉がないことをよいことに、教職を聖域化してしまい、日の丸、君が代問題や、指導要領軽視の根拠になっているとしたら、やはり大問題でしょう。
教育の場で政治闘争をするのは避けて欲しい、と度々訴えました。ですから、制度いじりをするならば、やはりもう少し現状を正確に把握して欲しいということで、佐藤氏の著作を紹介します。
佐藤氏は東大教授です。他の教育学の先生方と異なるのは、一貫した現場主義とでも言うような行動力です。教育というものに関してはとかく、政治家、官僚、学者、組合や親まで含めて、机上の空論がまかり通ってしまうことがあるということを認識しておられるのでしょう。
学級崩壊など問題のある学校に入り込み、徹底した議論を行い、改革を実践し効果が上がるまでつきあう、というかかわり方をするのです。“学校のお医者さん” あるいは、“先生たちの先生” と言えそうです。
以前、別の著書の中で、佐藤氏は、「新しく出たばかりの教育関連の本を10冊読んだが、著者10人、誰一人学校に足を運んでいない」 と憤慨しておられました。
本書では佐藤氏がかかわった実例を紹介しています。もちろんいくつかの共通の問題があるのですが、やはり子供に個性があるように学校も各々異なっているとおっしゃっています。
宮台真司氏などは、佐藤氏のことを 『学校が自由になる日(宮台真司、藤井誠二、内藤朝雄) 』 の中で強く批判しています。言いたいことはわかるのですが、今だ、学校は良いところという “ 共同幻想 ” を持っている私には、同意はできません(笑)。
父母というより、教育関係者向けの本かもしれません。
http://tokkun.net/jump.htm (当教室HPへ)
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