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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『遺書―5人の若者が残した最期の言葉』Verb (幻冬社)

2006年11月13日 | 教育関連書籍

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このままでは、自殺は無くならないし、無責任体制も温存されてしまう” 

と、コラム に書いたばかりなのですが、また、“生徒の自殺”と “校長の自殺” が同じ日に報じられるという、やはり異常事態ですね、残念ながら。

自殺報道は連鎖を引き起こすということの証明にもなってしまいました。こんな風潮の中で、絶対に死んではいけません。子どもはもちろん、校長先生だって。

もちろん、私には自殺を止める権利も義務もないけれど、本当にそう思います。教育問題で自殺者が出るのは、特に悲しいと感じます。


“校長先生” という立場は、生徒にとっては当然、“一番偉い先生” ですが、現在の教育委員会や文部科学省のしくみ全体で眺めて見ますと、実態は“中間管理職” のようなものに見えます。


これまで、『高校を変えたい や 熱血!ジャージ校長奮闘記 をご紹介しましたが、校長の悩みは、端的に言えば、教育論や子どもや親そのものというよりも、日本の教育制度とそれにまつわる人間関係です。上(教育委員会)と下(教員)に反感を持たれたら何もできず、その中で必死に工夫をされています。


生徒が自殺をする。いじめがささやかれ、遺書や家族の証言が紹介され、テレビで顔を隠した同級生の、“いじめ” をほのめかすインタビュー。そして、校長の会見、“自殺の原因をいじめとは断定できない”という趣旨の、はんで押したようなコメント。

なぜ同じコメントなのだ、きっとそう言わざるをえないのではないか、という印象を持つのは私だけではないと思います。

もし制度が今のままなら、自殺報道の際は、校長と一緒にその学校を管轄する教育長がきちんと顔を出すべきだと強く感じます。品川区の教育改革をご存知でしょうか。賛否両論あるようですが、若月教育長が子どもや地域のために先頭に立っているからこそ、学校のまとまりという大きな組織が “動く” のだと思います。

具体的な施策がすばらしいというより、とにかく仕組みがそうなっている、学校を変える早いやり方は、校長を責めるのではなく、教育長の意識改革することではないでしょうか。

逆に…、ゆとり教育の論争時に盛んにゆとり教育を持ち上げていた、文部科学省の寺脇研氏。盛んにテレビに出演されていましたし、著作もいくつか残っていますから、ご存知の方も多いでしょう。

彼が、テレビなどに出演する以前、広島県の教育長時代にやったことを見れば、システムがよく理解できると思います。なぜ当時、広島の教育があれほど荒れたのか、やはり校長の自殺もありました。興味のある方はぜひお調べ下さい。


本書は、悲しくも自殺を選んだ若者の遺書の実物の公開、そして自殺後の遺族などを取材したドキュメンタリーで、すべて実名、完全ノンフィクションです。

第1章:前島優作(13歳)
第2章:伊藤大介(25歳)
第3章:伊藤準(13歳)
第4章:鈴木善幸(14歳)
第5章:秋元秀太(19歳)

いずれも読むに耐えないような内容です。実際の遺書は、警察に指紋採取され、汚れてしまっています。 主にいじめを苦に自ら命を絶った若者の遺書を編集したものです。

遺族のコメントを交えてつづられる文面にはものすごい重みを感じます。 もちろんこのようなことをして失われた命が戻ってくるわけではないのですが、無念を世に伝えるため力を振り絞る遺族の方の気持ちを察すると言葉を失います。


自殺は、本人は覚悟の上ですが、そののち、まわりにどれほどつらい思いをさせてしまうのか、知ってもらいたい。それ以上に…、

いじめている連中に読ませたいのです。


遺書―5人の若者が残した最期の言葉

幻冬舎

詳  細

http://tokkun.net/jump.htm (当教室HPへ)




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『遺書―5人の若者が残した最期の言葉』Verb 
幻冬社:231P:520円