K:これだけ文明が発展したのにこの世に破滅する人間が跡を絶たないのは何故なのかな?
P:そうだね。単に不幸の軽重によるのではないね。何が人間を破滅する人間と破滅しない人間とに二分するのだろうね。
K:人間はみな最後には死ぬという点で一致するのだけどね。
P:それにしても自分が無限の存在者ではないと思考することは辛いことだね。
K:自分は無限の存在者だと思い込めたとしても別の苦しみが待っているけどね。
P:肉体は弱いからね。
K:ところで死を想えと言われるけど想ったって死そのものには触れられないよね。
P:確かにね。人間にできることは他人の死体を見たり触ったりすること位だね。
K:自分の死体は見たり触ったりすることすらできない。
P:そこに魂の不滅という観念が入り込む余地があるのだろうね。
K:生命というけど僕たちは生まれてこの方動きっぱなしだね。
P:心臓に向かって動け!と頭で考えたわけではないのにね。
K:自意識はあるけど自分というものが分からない。
P:人間とは不思議な生き物だね。
K:でもとにかく人間にとって己を知るということは大切なことだと思うよ。
P:己を知るためにはよく分からない他者と関わらなければならないよね。
K:滅ぶべき肉体が精神を持つというのは何だかややこしいね。
P:結局、人間の栄光も悲惨もそこに由来するのだね。