恐らく聖人と呼ばれる人にも動物化の欲求はある（むしろそれは一般人よりも強いかもしれない）が、余程自制心が発達しているか、さもなければ刺激の少ない生活をしているのだろう。
「言葉は刃物」と表現されるからといって「刃物は言葉」と思う奴はいないだろう。
いたとしたら倒錯的。
物（モノ）と事（コト）をさかさまにしても平気な奴はこれらが非対称だということを知らないからだろう。
自分にとって貴重なモノを守りたいという意識（愛）が強ければ強い程、心理的に四六時中外敵の脅威に晒され気が休まらなくなり自らそれを破壊してしまおうとする衝動を抑えられなくなる。
これも一種のポトラッチ？
でも気前がいいわけではない。
知性が発達するとその分悩みが増える。そのストレスを発散するために動物化の欲求が高まる。
つまり知性の発達と動物化の欲求は正の相関関係にあると言ってよいのではないかと。
頭のいい奴ほど下品になるのはそのためではないかと。
楽になるためだったら手段を選ばないというか。
人間はしばしば期待（あるべき自己）と現実（あるがままの自己）との間の乖離感に苦しむ。
だが、この状態を免れている者は、悟ったからではなく、むしろ動物化したからかもしれない。
外形は似ているけど中身は雲泥の差。
世の中が不倫する者だらけになれば罪悪感は薄れるかもしれない（赤信号みんなで渡れば怖くない）が、果たして罪の重さが軽くなるかは別問題である。
マルクスが述べたように確かに宗教は阿片かもしれないが、だからといって仮に世俗的な社会改革を行っても民衆の欲望にはキリがないので、そのうち不平不満が出てくるだろうな。
悟りが悩みのない境地だからといって悩むのをやめれば悟れるわけではないよね。
それでは倒錯的と言われても仕方ないだろう。
だいたい悟りとはあくまで理解したからもたらされるのであって無関心を装うことではないと思うよ。
むしろそれは他者について関心を保ちつつ比べず欲しがらず居られる状態のことではないかな。
だからありのままを受け入れろと言うのだろう。
「タダでセックスさせてもらえることほど男にとって好都合なことはない」よね。
「損得勘定で他人と付き合うな」
そのように社会学者の宮台真司は言うが、「自分のような優れた人間が一人の女に縛られるのは割に合わない」という傲慢さがあるから、そんなことを言うのではないの。
つまりそういう彼自身が損得勘定で生きていることに無自覚なのだ。
勉強し過ぎてバカになっちゃったのかな。
