たくさんの乗客で込み合う車内
けたたましく響く車掌のアナウンス
線路の軋む音
背の高い大人達に囲まれて胸糞を悪くしながらも角度によって目を閉じたり開いたりするシールで遊んでいる僕
遊んでいる僕
父も母も弟もいたのに
周囲に関心を払わない(いや、払えない)僕
子供だったのだ
なぜ思い出すのか分からないこの光景
昭和だった
とにかくあの時あの場所にいた人達の中には今はもうこの世には存在しない人達もいるのだろうなと気づいたら少し怖くなった
一人ひとり消えている
いつの間にか・・・
電車は今日も走る
人々を乗せて
人々は「お客」として
みんなどこかに向かっているのだが、みんな的を外しているような気がするのは僕だけか
いや、みんな気づいているのだ
でもはっきりさせたところで何になる?
だから閉じたり開いたり、閉じたり開いたり
終わりの時が来るまで・・・