ひねもす日報

このブログももうすぐ開設20年とは

さとにきたらええやん

2016年08月20日 | 本・映画
【8月21日追記しました 後半に記しています】
 今月は週に一度横浜吉野町にあるY.Y.World内のはじめしょうぎ教室へ
息子を送迎した。数か月前に行った時は夜で、周辺を散策するも
「何もないー」と思っていた。夏休み期間中は夕方の教室にした。
だから「関内 2キロ」の看板を見つけられたのか。
 関内まで二キロなら隣町の坂東橋までは二キロ未満。それで
歩いた。するとシネマジャックアンドベティにたどり着き、
映画のリーフレットをたくさん取り、その時見つけたのが
「さとにきたらええやん」という映画。
この「こどもの里」に関しては、NHKの福祉番組で観たことがある
気がするがいかに。

「こどもたちの遊びと学び 生活の場です。
誰でも利用できます。
子どもたちの遊びの場です。
お母さん お父さんの休息の場です。
学習の場です。
生活相談 何でも受け付けます。
教育相談 何でも聞きます。
いつでも宿泊できます。
・・・緊急に子どもが一人ぼっちになったら
・・・親の暴力にあったら
・・・家がいやになったら
・・・親子で泊まるところがなかったら
土・日・祝もあいてます。
利用料はいりません。」

 映画のチラシの文字を読み行くことにした。
公開初日に飛び込んだこの映画。爆泣きだった。オープニング。自転車をこぐ
中学生のジョウくんの背中をカメラが追う。ジョウくんの目の高さで
カメラがこの映画の舞台の入り口まで行く映像がとても印象的だった。
ジョウくんの視界ってこんなかなー、と。エンディングはもっと小さい子と
自転車と同じ高さでそのこの背中を追いかける映像だった。

 わたしが印象に残ったのはジョウくんがSHINGO☆西成のライブ
を見ている映像。夢中で目をキラキラさせていた。この「こどもの里」に
くる子らは、「しんどさ」を抱えて暮らしている子が多い。ジョウくんも
そう。SHINGO☆さんもこの辺りの長屋で育ったとのことで、
里近くで野外ライブをすることがある模様。その映像が流れた。
ベタな歌を斜に構えて見る傾向がわたしにもある。
けれど今回この映画ではSHINGO☆さんの歌はピシャリやったなー。
胸アツっていうんですか。ボブマーリーがライブで大統領と誰かを
握手させるという伝説的なライブ映像を10代の頃観たことがあるのだが、
それを思い出すくらい、胸に迫るライブ映像だった(わたし的にはですよ)


 この映画は説教くさくもシンキ臭くもない。日本の福祉に対する怒りもない。
ただそこにある日々を、そして時折起こるハプニングを映像化されていた
印象。とはいえ、嘘ではない現実のドラマがそこにはあって泣けた。
施設長が退院してきて、マユミちゃんが里を卒業するときの
屋上バーベキューのときのコメント(涙)。ジョウくんが包丁を握るシーンも
良かったなぁー。さらに監督がまだ31歳というお若さにもびっくり。

 寒い冬に夜回りを施設の子らがやるシーンも良かった。里の付近の野宿者の
方にカイロをわたしたりあたたかい味噌汁を手渡したりする。そうしながら
ことばを交わす。何で夜回りをするのか最初におとなが説明する。
夜回り後にみんなが感想を話し合う。子らにもいいなぁと思った。

 施設利用をする親に対しても講義みたいなのを行っている様子があった。
「親の会」「エンパワメントの会」「本気で勉強会」「萩の森プレーパーク」など、
パンフレットで見る里のイベントは盛りだくさん。わたしも参加したら勉強になりそうな
ことがあった。

 映画館を出たら、小学校4年生前後の姉と息子を連れた父親が
この映画を観終えたらしく、映画のチラシを子らに持たせて映画館の
前で記念撮影をしていた。弟くんの目が涙でぬれていた。
お父さん、ナイス教育ですよ!と思った。

 学童で仕事をして一年が経過して思うのは、ありきたりなのだが
子どものまっすぐさ。わたしはこどもに嘘をついてもばれると思っている。
どこかで嘘が漏れてしまうと思っている。
 ゴキブリポーカーや人狼をしても自分は嘘をつくのが苦手。
裏をかくのも苦手。出来るだけシンプルに出来たらと思っている
自分としては、そういう子らと時間を共有出来る職場というのが、
楽しいばかりではもちろんないけれど、良い時だなぁと感じるし、
思うところもたくさんある。出来るだけ彼らに寄り添って。

●追記●
 映画を観た夜に800円で買ったパンフレットを熟読。
施設長さんインタビューや、数年前にジャック&ベティで鑑賞した
「隣る人」の監督インタビューが掲載されていた。
 今回は物語の縦糸となった3名の児童に、それぞれ希望が見える
エンディングだったが、そうでない子もたくさん里には遊びに
きていることを分かっていて欲しい、というような文章があった。 
 ジョウくんのライブシーンについてまた思った。
釜ヶ崎ライブの様子は、ジョウくんを始めそこで暮らす方たちに、
SHINGO☆さんの音楽が切実に必要なものに見えたから胸に迫った
のだなぁ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大阪の思い出 聖の青春編 | トップ | 2016 大阪旅行記 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

本・映画」カテゴリの最新記事