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孤児院訪問 in ザンビア

2010年04月24日 | TICO ザンビア
この度、NPO法人「礎(いしずえ)の石孤児院」がザンビアのチョングェ県で営んでいる孤児院を視察させて頂きました。

この孤児院は、NPO法人「礎の石孤児院」によって2004年に設立されました。そのザンビア担当スタッフであるムタレ桜子(旧姓青木)さんが、ザンビア人であるご主人のジャスパーさんの協力によって運営しています。日本のNPO、NGOが直接経営している孤児院としては、ザンビアではおそらく唯一のケースでしょう。難しいと言われる孤児院プロジェクトに果敢に取り組まれている方々から、その成功の秘訣など学ぶべく、現地を訪問しました。

孤児院の近景

現在は、知的・身体的障害を持つ1名の成人女性を含む8名の孤児達(男子4名、女子4名)が、この施設で暮らしています。やはり、孤児院に来る子供達の多くは、「病気、自殺などの理由で両親が居ない」「両親が居ても、極度の貧困のため、面倒を見てもらえない」「様々な理由から無視されたり、虐待されていた」といった背景を抱えているとのこと。それゆえ、幼児期に肉親から十分な愛情を貰えていないので、まず子供達が「自分は愛されるに値する」という自覚を持てるようにするのが最大のテーマと青木さんは強調されていました。

その点では、孤児達は青木さんご夫婦やザンビア人の運営スタッフの愛情に育まれ、本当にすくすくと育っていると感じました。たまには子供達同志で喧嘩をしたり、規則が守れなかったりということはあるとのことですが、皆一様に礼儀正しさ、気持ちの純粋さといった印象を醸し出していました。元々ザンビアの人達は、「目上の人を敬う」「相手が話している時は静かに聞く」というような価値観を持っているとのこと。その点では日本人の伝統的価値観と相通じる所が多分にあります。子供達は朝6時には起床して、部屋や施設周りの掃除も行うとのこと。また、長期の休暇期間中でも補修を受けたりして勉強に勤しんでいるそうです。このような教育や躾を受けた子供達が、今後のザンビアを担うことを考えると、本当に彼らの将来が楽しみです。

虐待で傷付いていたというデヴィット君。今ではこの笑顔

さて、孤児院を運営するに当たっては、隣接するコミュニティーの理解と支持が不可欠であることは言うまでもありませんが、残念ながら孤児院を開いた当初は、言われの無い噂を立てられたり、冷たい視線を感じることが多かったとのこと。それでも、ご夫妻の努力の甲斐もあり、徐々に状況は改善。例えば、孤児院の子供達にもなるべく質の高い教育を受けさせたいという願いから始めたコミュニティースクールには、今では近隣の農村からも就学希望者が殺到しているとのこと。また、地元の少年達を集め、サッカーチームを結成。チームの戦績は周辺住民にとって、大きな関心事になっているそうです。さらにメイズの製粉機や溶接の道具が据えられていることもあり、それらの利用を求めて集まってくる村人達にとっては「社交の場」に成っています。

今回の視察を通じて感じたことは、この施設が孤児達に生活の場を提供するに止まらず、地域社会の活性化に大いに貢献していることです。特に外国(日本)のNPOが運営していることもあり、孤児院は村人にとって異文化交流の窓口として機能しているとの印象です。孤児院の活動に何かしら関わると、新しい情報、アイデア、異なる文化に出会えるという期待が、周辺に住む人々を惹きつけ、又協力を得るための大きなインセンティブになっていると感じました。その意味では、私どもが国際協力活動を行う上で、自国の文化的背景をもっと前面に出しても良いのではないかと、考えさせられました。

 


最後に、何と日本語で讃美歌を歌ってくれました。(ZIKOMO!)


文責:TICOザンビア事務所(藤村)


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