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金海市・大成洞91号墳 韓国最古4世紀前半の「ローマン・グラス」が出土

2013年03月10日 | 韓国の遺跡・古墳など
 金海市は8日、4世紀前半(西暦340年前後)に築造された金官伽耶王級墓である大成洞91号墳(대성동91호분)で、長さ約5㎝のガラス瓶の破片(注1)が出土したと発表した。 大成洞古墳群7次学術発掘調査時(平成24年6月4日~9月26日)に出土した。
 これまで、国内で最も古いローマン・グラスは5世紀前半慶州月城路 カ-13号墳(경주 월성로 가13호분)で出土(注2)したものだった。 大成洞91号古墳出土品はこれより70年ほど遡る。
 発掘した金海市大成洞古墳博物館は、出土したこのガラスの破片を国立金海博物館の協力を受けて国立中央博物館保存科学チームでガラスの成分を分析した。
 その結果ガラス破片の化学組成がローマン・グラス(로만 글라스)とほとんど一致することが判った。
 博物館発掘チームはローマン・グラスが金銅製遺物らと共に中国の前燕を経て入ってきたと推定している。
[参考:聯合ニュース]

(注1) 鳳首瓶?の取っ手の部分
(注2) 「ローマ文化王国―新羅」(由水常雄著、新潮社2005年5月改訂新版)に書かれている波状文杯(復元推定:波高12.5cm、口径11.8cm、5世紀)と思われるが、金冠塚の波状文台付き杯(5世紀)や皇南洞第98号南墳の波状文網目文杯(4世紀末~世紀前半)と共通する技法と意匠感覚によって作られた作品であるが、製作年代は、それらよりもやや降るであろうとしている。

過去の関連ニュース・情報
2012.9.16 大成洞古墳群88号墳と91号墳のその後
 91号墳墓は4世紀第2四半期築造と見られ、龍文金銅辻金具、金銅鈴など慕容鮮卑系の遺物が出土した。
2012.8.9大成洞古墳群 4世紀の木槨墓2基を発見 うち1基は鮮卑族との交流を示す遺物が出土

2012.9.8 三次市・松ヶ迫矢谷遺跡 3世紀前半の方形周溝墓から出土したガラス玉はローマ帝国産か
2012.6.22 長岡京市・宇津久志1号墳 副葬品として出土していた重層ガラス玉が古代ローマ製

キーワード
로만 글라스 ローマン・グラス ローマガラス Roman Glass 
유리 琉璃 ガラス 
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福岡県糸島市・三雲・井原遺跡 国内最古級の「模倣鏡」出土  

2013年03月10日 | Weblog
 福岡県糸島市教委は8日、同市三雲の三雲・井原遺跡で、弥生時代後期初頭(1世紀半ば)とみられる国内最古級の小形仿製(ぼうせい)鏡が出土したと発表した。
 鏡(復元推定直径約5cm)の一部が古墳時代前期後半(4世紀後半)の地層の水路の遺構から5点の破片として出土した。 つなぎ合わせると全体のほぼ4分の1に当たる。 出土品は石製鋳型で鋳造され、不鮮明だが、蕨(わらび)文様が描かれている。 鏡の縁は幅3mmと狭く、縁部の櫛歯文帯(くしはもんたい)が欠如している。 文様帯や縁の形状から、弥生時代後期初頭(1世紀半ば)のものと推定される。
 小形彷製鏡は、中国から持ち込まれた銅鏡を模して、弥生時代に日本で作られた直径10cm未満の銅鏡。 国内で数百面が見つかっている。 同遺跡から出土した小形彷製鏡は3例目である。
 今回、国産初期段階とみられる鏡が見つかったことで銅鏡の国産化の過程を知る上で、貴重な史料としている。
 現地説明会が16日(土)午前10時から開かれる。
[参考:西日本新聞、読売新聞、毎日新聞]

過去の関連ニュース・情報
 2012.9.5 三雲・井原遺跡 遥か遠い海から渡った黄色と紫色のガラス小玉
 2010.3.9 三雲・井原遺跡 「三雲南小路王墓」の周溝?を発見
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