歴歩

歴歩 歴史は歩く。ゆっくりと歩く。それを追いかける。

鳥取市・良田平田遺跡 飛鳥末期(7世紀末~8世紀初頭)の文書木簡出土

2013年03月06日 | Weblog
 鳥取県教育文化財団は4日、鳥取市良田(よしだ)(注1)の良田平田遺跡で、7世紀末~8世紀初頭(飛鳥時代末頃)の文書木簡が出土したと発表した。木簡は昨年10月の調査で新たに出土し、 近くから出土した須恵器や、木簡の内容から時代を特定した。 同遺跡では昨年2月に平安時代前半(9世紀後半~10世紀前半)の木簡などが出土し、役所関連施設が存在したことが明らかになっているが、今回の発見でさらに200年近く前の律令制施行前にも同様の施設があったとみられる。
 (注1)良田地区は律令時代の高草郡(たかくさのこおり)に含まれる。

 木簡は下半分が欠け、二つに折れた状態で穴(直径70cm、深さ45cm)から出土した。残存長さは18・7cm、幅2・5cm、厚さ0・5cmで、赤外線カメラで撮影し解析したところ、両面に墨書され、
  表は「□□□御前謹?白寵命□」 (□□□の御前(おんまえ)に謹みて白(もう)す、上司の命令を伺って…」
  裏は「使孔王部直万呂午時」
の文字が判明。 地方役所間の行政連絡に使われていた文書(もんじょ)木簡の「前白(ぜんぱく)木簡」と言われ、701年に制定された大宝令で公文書の様式が整えられる前の7世紀末頃に多用されたもので、口頭での伝達を文書化したものという。
 同じ書式の木簡は他に、藤原京跡(橿原市)や西河原森ノ内遺跡(野洲市)など全国4カ所で出土しているが、中国地方では初めてで、文書木簡としては中国地方最古となる。 ただし、出雲国府跡(松江市)からは荷札か名簿とみられる同時期の木簡が発掘されている。
 今回の調査で掘立柱建物跡や硯なども見つかった。
 県立博物館で3月6日から4月7日まで出土品を展示する。 木簡は10日までの5日間だけの展示になる。
[参考:共同通信、日本海新聞、山陰中央新報、読売新聞、産経新聞、NHK鳥取]

過去の関連ニュース・情報
 2012.2.25 鳥取市・良田平田遺跡 「孔王部」姓が記された平安時代前半の木簡が出土
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宇治市・松殿跡 藤原基房の「別業」土塁で包囲

2013年03月06日 | Weblog
 京都府宇治市は5日、平安時代末期の関白藤原基房(1145-1230)の別業(別荘)跡といわれる遺跡「松殿跡(まつどのあと)」(同市木幡)で、敷地を囲む土手が最大で高さ1・7m、幅2・5mに土を盛り上げた土塁だった可能性が高いと発表した。  
市は「源平の兵乱期を反映した特別な防御施設だったのではないか」とみている。
 松殿跡は財団法人「松殿(しょうでん)山荘茶道会」が所有している。 市が遺跡の保存方法を検討するため2012年度から5年計画で発掘調査を行う。 今回は敷地を囲む計約400mの土手で2カ所を調査した。  
 現地説明会は9日(土)午後1時から開かれる。
[参考:京都新聞]


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