ザ☆シュビドゥヴァーズの日記

中都会の片隅で活動する8~10人組コーラスグループ、ザ☆シュビドゥヴァーズの日常。
あと告知とか色々。

『魔法使いの嫁』における種﨑敦美の演技

2018-03-19 23:59:54 | かみさと
こんばんは。かみさとです。
最近このブログを借りて好きなものを紹介してしかいない気がしますが改める気はありません。


10月頭の記事で紹介した17年秋アニメのひとつ『魔法使いの嫁』も、ついに今週末の24(土)が最終話です。
その最終話の最速先行上映会が、23(金)18:00〜から新宿ピカデリーにて開催されます。
席がまだ空いています。
主演キャスト2名(もちろん種﨑敦美さんも)登壇します。
行きませんか。


というのは3割くらい冗談ですが、実際『まほよめ』はここ数年でも指折りのオススメ作品です。
人×人外がイケるカップリング厨ならまず間違いなく琴線に触れるでしょう。
というか、以前カップリング厨の記事を書いたのも少なからず『まほよめ』の影響があります。

しかし、何を隠そう僕はプレゼンテーションがド下手なので、この記事を読んだ全員に『まほよめ』を見てもらうのは土台無理な話です。
なので、ここはもう開き直って、

『まほよめ』各話における種﨑敦美の名演技

を、ネタバレにならない範囲でご紹介しようと思います。
言い換えればブログの私的利用です。
今に始まったことでもないのでセーフですね。


ちなみに『魔法使いの嫁』は、Netfilx、バンダイチャンネル、GYAO!、Amazon Primeビデオ等で配信しております。
有料会員なら見放題です!!
もし興味がおありでしたら下記のシーン一覧を見ながらぜひどうぞ!!!!



1話:April showers bring May flowers.
「……ない……! 良かったことなんて、一度もない!!」
チセの特異体質をエリアスが「運がいい」と評したことで、チセの脳裏に過去の記憶がフラッシュバックします。
大人しいキャラクターが声を荒げるシーンは"そのキャラクターらしさ"を保つのが難しいのですが、このシーンの種﨑さんは見事です。

3話:The balance distinguishes not between gold and lead.
「とても……綺麗でした」
老いた竜、ネヴィンの助けを借りて"空"を飛び、彼との別れを経験したチセ。
感動的な印象を受ける言葉と裏腹に、その声は掠れ、呆然とした様子です。

5話:Love conquers all.
「あなたの言ったことが嘘でも本当でもどっちでもいい。あの人は誰よりも先に私を買った。
 だから、エリアスが私の手を離すまでは……私はあの人のものです」

「解放されたくないのか」と問うレンフレッドへ、チセが投げかける言葉。
愛というよりも依存、チセの内面の病的な部分が浮き彫りになっているセリフです。
このセリフは放映前のPVにも採用されており、意味ではチセとエリアスの関係性を象徴するセリフと言えるでしょう。

6話:The Faerie Queene.
「そんなに怖がらなくてもいいんです。
 (——貴方が要らないと言うまで)私は、あなたの……そばに……」

魔力を消耗したチセが、まどろむ中でエリアスを見る。
「表情は変わらないのに、目の光だけが子供みたいに見える」と、チセはこの時点でエリアスの持つ"幼さ"、"不安定さ"を見抜いています。
5話のセリフとは真逆に、これから発展していく二人の関係の起点となるセリフです。

8話:Let sleeping dogs lie.
「エリアス……エリアス……!
 ごめんなさい、ごめんなさい……言いつけを、ごめんなさい……!」

一時は怒りに身を任せエリアスの言付けを無視したチセ。
魔力の過剰な行使にチセ自身の体も悲鳴を上げていますが、それよりも約束を破りかけたことを必死に謝ります。
それは今のチセにとってエリアスが唯一の"家族"であり、チセ自身がそこに自分の居場所を見出しているからです。
ちなみにこのシーンのチセは前後で激しく息を切らしていますが、聞いてるこっちが苦しくなるくらい迫真の息の演技です。

9話:None so deaf as those who will not hear.
「おかえり、ルツ」
新たに家族となったルツ。彼を出迎えるチセは、まるで年の近い弟と姉のよう。
もしかしたら、ここが一番"明るい"チセの演技なんじゃないでしょうか。
「だからって! いくら私が自分勝手でも……何も知られずにいられるほど、
 私はあなたに興味ないわけじゃない!」

危険に晒されたことよりも、事情を話してくれないことが嬉しくないチセ。
6話からさらに歩み寄り、チセはエリアスのことを深く信頼し、だからこそもどかしさを感じていることが伺えます。

11話:Lovers ever run before the clock.
「だから私も、あなたに言えなかったこと……話します。
 杖ができたらすぐ帰りますね」

水鏡を通じて言葉を交わす二人。
ここはですね〜〜演技っていうか作画も音楽も演出も全部ひっくるめて作中屈指の名シーンなんですよね。
カップリング厨は必見の回です。悶え苦しむので絶対見て。

13話:East, west, home's best.
「い…嫌です!
 大事なヒトの、ことなので……いらなく、ないです」

チセの持つ"いらない記憶"を消そうとするエリアスを、チセはがむしゃらに止めます。
ここまでくるとチセはエリアスに対して明確に好意を持っていますね。
溢れるような『嫌です』、必死になって付け加える『大事なヒトのことなので』、絞り出すような『いらなくないです』。短いセリフのなかで揺れ動く感情を精緻に描き出した名演です。

14話:Looks breed love.
「先生になれなくて、ごめんなさい」
チセ自身にも説明しきれない感情が胸の内に渦巻く。
その体質から何度も別れを経験してきたはずのチセがこのシーンで泣くのは、それだけ彼女が今いる世界が、彼女にとって特別だからでしょう。

17話:Look before you leap.
「君は何を支払ってくれる?
 僕らはヒトを助けるとき、見合った対価をもらう。
 君は僕たちに何をしてくれる?」

(おそらく)ステラを警戒させないよう、チセを通じて語りかけるエリアス。
竹内良太さん演じるエリアスの喋り方の"クセ"を完璧にトレースする種﨑さんのこのセリフは、見事と言うほかありません。

18話:Forgive and forget.
「今夜は……一緒に寝ましょうか。ほら、帰りましょう」
「…………うん」

ひどく取り乱した様子のエリアスをなんとか落ち着かせたチセ。
最初は父と娘のようだった二人の関係は、いつしか母と子のようにもなっていました。
ちなみにこのエリアスの『うん』は、種﨑さんイチオシの演技だそうです。「かわいい」とのこと。
わかる。

20話:Necessity has no law.
「私は一緒に……一緒に考えさせてほしかった!」
「結局……あなたも……!」
「私は、今のあなたのそばにはいられない」

チセの命を救おうと独断で行動したエリアスを、チセは激しく糾弾します。
エリアスに対してチセがここまで激しい感情を露わにするのは、9話か1話かぶり、あるいは初めてのことかもしれません。
それまでチセが積み重ねてきて、そしてエリアスが裏切った信頼は、それほどまでに深いものだったのです。

21話:As you sow, so shall you reap.
「許さないよ」
「ありがとう。あの時、あの手を離してくれて。
 許さないけど……私はまだ、あなたを忘れないけど。
 あなたを置いて、前に進むよ」

自身の記憶のなかで、チセは一つの過去に整理をつけます。
チセが前に進むために、己と向き合うために。



困ったことに種﨑さんの演技は(チセのような大人しいキャラだと特に)、『すごい!名演技!』と喝采を浴びるようなわかりやすいものではないんですよ。
役作り・感情の動きに一切の瑕疵がなく、ともすればそのまま気にも留めず受け流されてしまいそうなほど、あまりにも自然な演技が、種﨑さんの真骨頂だと思っています。
上に挙げた名演技の半分くらいも、どちらかと言えば"名シーン"と呼ぶべきかもしれません。

逆に言えば、知れば知るほど深みにはまっていくのが種﨑さんの演技です。
『まほよめ』をご覧になっている方は、よければほかの種﨑さん出演作品に手を出してみてください。
ご覧になっていない方は、まず『まほよめ』から始めてみてはいかがでしょうか。
「こういうテイストの作品が好きなんだけど、種﨑さん出てるのある?」みたいなのがあったらお申し付けください。



そんなわけで、過去に類を見ない熱量で種﨑さんについて語った記事でした。
立派な声優オタクですね。もう戻れないと思います。