いわゆる人間宣言の意味するもの

人間宣言とは俗称であり、正式名称は「新年ニ當リ誓ヲ新ニシテ國運ヲ開カント欲ス國民ハ朕ト心ヲ一ニシテ此ノ大業ヲ成就センコトヲ庶幾フ」である。

これを「人間宣言」と命名した真意は

【昭和天皇による『神話と伝説』の否定】

を強調したかったからである。

では誰がという主語であるが、GHQが神の末裔であることの否定を要求していたことが、当時の侍従次長の木下道雄の日記に書かれている。

したがって極めて長文の詔書のほんの一部分の訳が非常に難解となる不自然な文章になっているのも吉田茂と木下の尽力からかもしれない。

兎も角、これによって日本国外では「天皇が神から人間に歴史的な変容を遂げた」として歓迎され、退位と追訴を要求されていた昭和天皇の印象が好転した。

国内では日本人にとって当たり前のことを述べたにすぎなかったため、この詔書はあまり注目されていないばかりかタイトルのみが前面に押し出されることとなったのだ。

更に、人間宣言のタイトルとは裏腹に天皇の祖先が日本神話の神であることや歴代天皇の神格も否定してはいない。また神話の神や歴代天皇の崇拝のために天皇が行う神事を廃止するわけでもなかった。

つまり、GHQは神道指令で国家と神道を切り離し、直接的に皇室財産を国庫に帰属させ11宮家を皇籍離脱、天皇自らに人間宣言させたのである。

敗戦と占領に際して昭和天皇の心情がこの人間宣言直前の起草の経緯の御動向をみることで伝わってくる。

❶いわゆる人間宣言が昭和21年1月1日で、前年12月23日の更に前日の学習院教授板沢武雄の「マッカーサー司令部の神道に関する司令について」の講義の内容に関して昭和天皇が侍従次長木下へ語った。

その講義の最後の言葉

『この司令部の司令は顕語を以て幽事を取り扱うものでありまして、譬えて申しますならば、鋏を以て煙を切るようなものと私は考えております』というものだった。

また昭和天皇が、興味を持たれた点について、

『後水尾帝御病にて疚（お灸）の必要ありしも、現神には疚を差上ぐる訳にはいかぬと云う所から御譲位の上、治療を受け給いしこと』

『徳川氏が家康を東照宮と神格化し、家康の定めたることは何事によらず神君の所定となし、改革を行わず、時のよろしきに従う政事を行わず、遂に破局に至りしこと』

『幽顕二界のこと。謡曲の発達、君臣の濃情を言い現わせる謡曲はかえって皇室衰微の時代に発達せること。顕界破れて幽界あらわれたること』

の3点を挙げた。

❷12月24日、昭和天皇は幣原喜重郎総理を召して、『ご病気の後水尾天皇が側近に医者を要請されたところ、医者の如き者が玉体に触れることは、汚らわしいとの理由でおみせしなかった。同天皇はみすみす病気が悪化してなくなられた』

という歴史的実例を挙げて、神格化の是非について暗示した。

また、昭和天皇は『明治天皇の五箇条の御誓文を活用したい』とも話した。

これに対し幣原は「これまで陛下を神格化扱いしたことを、この際是正し改めたいと存じます」と答え、昭和天皇は静かに肯定し『昭和21年の新春には一つそういう意味の詔書を出したいものだ』と言った。

この❶❷の昭和の発言は伝聞形式で極めて主語が曖昧で口語も混じり、分かりにくいが、昭和天皇の戦前のお立場と占領下の御状況もあって直接の発言の発表も旧来の詔書となる。これと側近の証言とで擦り合わせるしか術はないのだ。

つまりポツダム宣言を受諾した瞬間から昭和天皇はマッカーサーに逆らえないことを自覚されており、寧ろ側近がその意を汲んで確認する形式を使い判断し、國體を護持していたことが伺える。

したがって人間宣言と云うタイトルを受け入れ詔書では五箇条のご誓文を主に発すると云う知恵を使ったことはほぼ間違いはない。

この人間宣言という意図的な誤訳がされたのが以下の部分であるが、ネットで拾った現代語訳二つと私の訳を以下に記載する。

『朕ト爾等國民トノ間ノ紐帶ハ、終始相互ノ信賴ト敬愛トニ依リテ結バレ、單ナル神話ト傳說トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現アキツ御ミ神カミトシ、且日本國民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル觀念ニ基クモノニモ非ズ。 』

A,『私とあなたたち国民との間の絆は、いつもお互いの信頼と敬愛によって結ばれ、単なる神話と伝説とによって生まれたものではない。 天皇を神とし、または日本国民は他より優れた民族だとし、それで世界の支配者となる運命があるかのような架空の概念に基くものでもない。』

B.『私とあなたたち国民との間の絆は、いつもお互いの信頼と敬愛によって結ばれ、単なる神話と伝説とによって生まれたものではない。天皇を現御神とし、同時に日本国民は他より優れた民族で、ひいては世界の支配者たるべく運命づけられたとする架空の概念に基くものでもない。』

会長訳

『私と国民との絆は、お互いの信頼と敬愛によって結ばれたのであって、単に神話と伝説からのみ生まれたものではない。その上天皇を現御神としているのは、日本国民が他の民族より優越される民族として世界を支配すべき運命であるという架空の観念に基くものでもない。』

最後になるが若者の2ちゃんねるから核心をついたスレを貼っておく。

［なんJより］

【悲報】天皇「戦争終わったからぶっちゃけるけどワイは神やなくてただの人間やで」

・ネズミーランドの○ッキーが「実は中に人間が入ってんねん」ってぶっちゃっけてるようなもん

・あれアメカスが日本人は天皇を絶対神だと思ってると考えたから出させたんやで 
凄い人＝神みたいな使い方をするのは一神教のキリスト教徒には理解出来なかったんやろな

つまりは日本は戦いには敗れたが戦争には勝っていたということである。